有栖と奉日本『カクれんぼ』

第二章：もういいかい？

有栖_2-1

「大丈夫かな、反保の奴」
　反保達が桜花学園の応接室に案内された同時刻。有栖は自身のできることを模索しながら外回りをしていた。
　イジメを受けているかもしれない一色楓も裏金の疑惑も全ては桜花学園が絡んでいる以上、中心は学園になる。そして、そこを捜査している反保に比べると有栖が収集できる情報は少なく、重要な手がかりを得られる可能性も低い。出来ることも限られているだろう。否が応でも有栖は歯がゆさを感じていた。
「やっぱり、学生が集まる場所とかに行くべきよね」
　そう呟くと頭に浮かぶのはゲームセンター、カフェ――と思い浮かべたと同時に空腹を感じた。
「高本さんのカフェに行ってみるか、そろそろランチの時間だし」
　有栖の知り合いの中で、最も学生に関して情報を得ていそうなのは高本だろう、と思い、彼女はランチの時間に訪れる連絡を入れていた。
「反保には悪いけど、自分はランチしながら情報収集といきますか――」
　そう思って反保のことを考えたとき、ふと、有栖の頭に彼と一緒に我孫子の姿が浮かんだ。そして、同時に空腹感をかき消す嫌悪感に苛まれ、吐き気がこみ上げてきた。

　――反保はアイツから『何か』聞いただろうか。