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第五章:毒の在処
有栖_5-3
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「ど、どういうことですか?」
林の言葉で混乱した頭の中は整理できず、有栖は答えを要求した。
「棚神さんは確かにメディア、SNSでは海外進出や合併に対して否定していますが、実際は誰よりもそのことを推進しているんです」
「何故、そのような逆の態度を?」
「あの人が『太陽』だからさ」
そう言った藤内選手はまるで自身の好きなことを話すように得意げな表情だった。
「棚神さんはプロレス界で象徴のような人だ。あの人の言葉、態度はファンも含め様々な人が注目しているし、目に入る。それを自覚した上で発言してるのさ」
「つまり、それを解って今は『逆』の発言をしていると?」
「そういうこと。周囲はプロレスの今後を考えると海外進出や合併も視野に入れた方が良い、というのが大多数だ。だからこそ、まるで邪魔者のような発言をする。結果、周囲はより反応し、他の人も見るようになり、広がり、注目する。それを解ってコントロールしているんだよ」
「……ユースティティアも含め踊らされたってことか」
今回の件について調査を開始した際、少し調べれば先程、藤内選手が話していた内容は溢れかえっており、目につき、次々と流れ込むように入ってきた。それは平等の目を持つことを心がけても無意識に流されてしまうほどだ。更に、当事者がそれを促すような発言をしているなら、それが『真実』のように映っても仕方がない。
電子上の情報は今や自由という無法状態だ。それは濁流で注意していても飲み込まれてしまいそうになる。それをコントロールしようとしているのだから、棚神選手は恐ろしいことをしようとしている――と、それが『レシエントメンテ』と重なることを感じ、有栖は背筋が寒くなった。
林の言葉で混乱した頭の中は整理できず、有栖は答えを要求した。
「棚神さんは確かにメディア、SNSでは海外進出や合併に対して否定していますが、実際は誰よりもそのことを推進しているんです」
「何故、そのような逆の態度を?」
「あの人が『太陽』だからさ」
そう言った藤内選手はまるで自身の好きなことを話すように得意げな表情だった。
「棚神さんはプロレス界で象徴のような人だ。あの人の言葉、態度はファンも含め様々な人が注目しているし、目に入る。それを自覚した上で発言してるのさ」
「つまり、それを解って今は『逆』の発言をしていると?」
「そういうこと。周囲はプロレスの今後を考えると海外進出や合併も視野に入れた方が良い、というのが大多数だ。だからこそ、まるで邪魔者のような発言をする。結果、周囲はより反応し、他の人も見るようになり、広がり、注目する。それを解ってコントロールしているんだよ」
「……ユースティティアも含め踊らされたってことか」
今回の件について調査を開始した際、少し調べれば先程、藤内選手が話していた内容は溢れかえっており、目につき、次々と流れ込むように入ってきた。それは平等の目を持つことを心がけても無意識に流されてしまうほどだ。更に、当事者がそれを促すような発言をしているなら、それが『真実』のように映っても仕方がない。
電子上の情報は今や自由という無法状態だ。それは濁流で注意していても飲み込まれてしまいそうになる。それをコントロールしようとしているのだから、棚神選手は恐ろしいことをしようとしている――と、それが『レシエントメンテ』と重なることを感じ、有栖は背筋が寒くなった。
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