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追憶_6

一色_三十三歳_2

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「聖、アホかお前。なんであんな無理すんねん!」
「あの場合は、あれが最善策です。犯人を一網打尽にできたでしょう!」
「どこが最善策や、他の署員が怪我したし、市民にも――」
「多少の犠牲でしょう」
「このアホ!」

 聖が入署してから数ヶ月……俺と聖の喧嘩や言い合いは日常茶飯事になった。周囲も、
「またあの相棒同士の喧嘩だよ」
 と、呆れたように見とったわ。

「貴方の言うことや行動は綺麗事なんですよ! 結果が出ればそれで――」
「その結果を出したいんはお前の都合やろが。それに納得してへん他の奴や市民を巻き込むな」
「だから多少の犠牲は――」
「多少の犠牲でも、それに一生苦しむことになる人がおったらどうすんねん」
「それは……」
「お前が選んでるのは最高の結果にたどり着く可能性があるのに、それを諦めて、妥協した結果やろが。俺ら警察はな可能性があるなら追求しなアカンねん。ホンマの『最善策』を見つけなアカンねん。その為に、アホほど悩んで、苦しんで、選ぶんや。せやないと、いつか『もっとこうしていれば』なんて後悔しても、手遅れになるんや」
「…………」
「それでも、どうしても解らんかったり、犠牲が必要やったら――俺に頼れ!」
「……いつかダイナマイトくくりつけてテロリストに突っ込ませてやる」
「聖、なんか言うたか?」
「別に何でもありませんよ。全く、ここまで口うるさくて面倒な人は初めてだ」
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