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第三章_六日前
一色_3-4
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「アース博士について、他に知っていることや気になることはありますか?」
「いや、特には――あぁ、そうだ。警察には報告したことですが」
職員の男は頭の中の引き出しを漁ったあと、一度は諦めようとしたが、一つへそくりを隠していたことを思い出したようだ。
「アース博士ですが、個人で護衛用のロボットを大量に買っていたそうです。あと、この会社には彼女が持ち込んでいたロボットもあったのですがいつの間にかなくなっていました。推測ですが……もしかしたら、人が信じられず、ロボットによる自衛を考えていたのかもしれません。でも、自ら命を絶ってしまっては意味のないことですが……」
悲痛、という表情を浮かべ、彼は語る。そこには嘘はなく、一人の天才の孤独を察しようとする思いやりのようなものが感じられた。
「それらを発注した場所や届け先は解りますか?」
「いえ、そこまでは。プライベートの買い物だったので。この情報も職員の一人が偶然のぞき見したらしいので」
「そうですか」
その話に興味を持った一色に一つの考えが浮かぶ。
――真木に依頼して調べれば何か解るかもしれないな。
「いや、特には――あぁ、そうだ。警察には報告したことですが」
職員の男は頭の中の引き出しを漁ったあと、一度は諦めようとしたが、一つへそくりを隠していたことを思い出したようだ。
「アース博士ですが、個人で護衛用のロボットを大量に買っていたそうです。あと、この会社には彼女が持ち込んでいたロボットもあったのですがいつの間にかなくなっていました。推測ですが……もしかしたら、人が信じられず、ロボットによる自衛を考えていたのかもしれません。でも、自ら命を絶ってしまっては意味のないことですが……」
悲痛、という表情を浮かべ、彼は語る。そこには嘘はなく、一人の天才の孤独を察しようとする思いやりのようなものが感じられた。
「それらを発注した場所や届け先は解りますか?」
「いえ、そこまでは。プライベートの買い物だったので。この情報も職員の一人が偶然のぞき見したらしいので」
「そうですか」
その話に興味を持った一色に一つの考えが浮かぶ。
――真木に依頼して調べれば何か解るかもしれないな。
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