84 / 104
現在_奉日本_2
奉日本_3
しおりを挟む
「俺が間接的に関わっている……ですか」
奉日本を少し驚いた表情を作って、有栖の言葉に反応した。
「はい。まず、この男を殺した犯人は、自分の元上司です」
「犯人は明確なんですね」
「えぇ、自首していますから。ですが、今大事なのは犯人よりもこの男が知っていた情報です」
「ですが、その男と話した記憶はありませんよ」
「えぇ、自分も高本さんがこの男と直接話したとは思っていません。ですが、この男と確実に接した人間とは知り合いだったはずです」
「……なるほど。続けて下さい」
「落が殺害されたのは――ユースティティアの打ち上げがあった日なんです。その場には自分もいました。もちろん、殺害を実行した上司も。そして、二次会にも行っています」
「…………」
「殺害をした上司は聴取で、落のその日の行動については当日にバーテンダーから聞いた、と自供しています。つまり、そのバーテンダーは落と事前に接触しており、様々な情報を得ていたことになります」
「そうでしょうね」
「ですが、そのバーテンダーは既に捕まっています。正確に言えば、過去に自分が捕まえましたが、警察に身柄を確保され、今も拘留中です。警察に話を聞きたいと言っても無理かと思います。不思議な力が働きそうで」
「不思議な力は解りませんが、有栖さんが捕まえて、警察に身柄を確保されたバーテンダー、というのは聞き覚えがありますね」
「はい、その男の名前は――伊東貞正(いとう さだまさ)。高本さんの先輩のバーテンダーでしたよね?」
「はい」
「そして、落が殺害された日とユースティティアのその上司が二次会を開いた日、これは一致しており、そのバーの店主が伊東でした。しかし、その伊東からは情報は聞けません」
「それは困りましたね」
「ですが、その日、伊東のバーには他にも店員がいました。自分も覚えています。伊東はカウンターの向こうで酒を作っていましたが、店内の客にメニューを渡したり、注文を聞いて伊東に伝えたりしていた青年がいたことを。調べたところ――それは高本さん、アナタですね?」
奉日本を少し驚いた表情を作って、有栖の言葉に反応した。
「はい。まず、この男を殺した犯人は、自分の元上司です」
「犯人は明確なんですね」
「えぇ、自首していますから。ですが、今大事なのは犯人よりもこの男が知っていた情報です」
「ですが、その男と話した記憶はありませんよ」
「えぇ、自分も高本さんがこの男と直接話したとは思っていません。ですが、この男と確実に接した人間とは知り合いだったはずです」
「……なるほど。続けて下さい」
「落が殺害されたのは――ユースティティアの打ち上げがあった日なんです。その場には自分もいました。もちろん、殺害を実行した上司も。そして、二次会にも行っています」
「…………」
「殺害をした上司は聴取で、落のその日の行動については当日にバーテンダーから聞いた、と自供しています。つまり、そのバーテンダーは落と事前に接触しており、様々な情報を得ていたことになります」
「そうでしょうね」
「ですが、そのバーテンダーは既に捕まっています。正確に言えば、過去に自分が捕まえましたが、警察に身柄を確保され、今も拘留中です。警察に話を聞きたいと言っても無理かと思います。不思議な力が働きそうで」
「不思議な力は解りませんが、有栖さんが捕まえて、警察に身柄を確保されたバーテンダー、というのは聞き覚えがありますね」
「はい、その男の名前は――伊東貞正(いとう さだまさ)。高本さんの先輩のバーテンダーでしたよね?」
「はい」
「そして、落が殺害された日とユースティティアのその上司が二次会を開いた日、これは一致しており、そのバーの店主が伊東でした。しかし、その伊東からは情報は聞けません」
「それは困りましたね」
「ですが、その日、伊東のバーには他にも店員がいました。自分も覚えています。伊東はカウンターの向こうで酒を作っていましたが、店内の客にメニューを渡したり、注文を聞いて伊東に伝えたりしていた青年がいたことを。調べたところ――それは高本さん、アナタですね?」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
双極の鏡
葉羽
ミステリー
神藤葉羽は、高校2年生にして天才的な頭脳を持つ少年。彼は推理小説を読み漁る日々を送っていたが、ある日、幼馴染の望月彩由美からの突然の依頼を受ける。彼女の友人が密室で発見された死体となり、周囲は不可解な状況に包まれていた。葉羽は、彼女の優しさに惹かれつつも、事件の真相を解明することに心血を注ぐ。
事件の背後には、視覚的な錯覚を利用した巧妙なトリックが隠されており、密室の真実を解き明かすために葉羽は思考を巡らせる。彼と彩由美の絆が深まる中、恐怖と謎が交錯する不気味な空間で、彼は人間の心の闇にも触れることになる。果たして、葉羽は真実を見抜くことができるのか。
密室島の輪舞曲
葉羽
ミステリー
夏休み、天才高校生の神藤葉羽は幼なじみの望月彩由美とともに、離島にある古い洋館「月影館」を訪れる。その洋館で連続して起きる不可解な密室殺人事件。被害者たちは、内側から完全に施錠された部屋で首吊り死体として発見される。しかし、葉羽は死体の状況に違和感を覚えていた。
洋館には、著名な実業家や学者たち12名が宿泊しており、彼らは謎めいた「月影会」というグループに所属していた。彼らの間で次々と起こる密室殺人。不可解な現象と怪奇的な出来事が重なり、洋館は恐怖の渦に包まれていく。
無能力探偵の事件簿〜超能力がない?推理力があるじゃないか〜
雨宮 徹
ミステリー
2025年――それは人類にとって革新が起きた年だった。一人の青年がサイコキネシスに目覚めた。その後、各地で超能力者が誕生する。
それから9年後の2034年。超能力について様々なことが分かり始めた。18歳の誕生日に能力に目覚めること、能力には何かしらの制限があること、そして全人類が能力に目覚めるわけではないこと。
そんな世界で梶田優は難事件に挑む。超能力ではなく知能を武器として――。
※「PSYCHO-PASS」にインスパイアされ、本や名言の引用があります。
どんでん返し
あいうら
ミステリー
「1話完結」~最後の1行で衝撃が走る短編集~
ようやく子どもに恵まれた主人公は、家族でキャンプに来ていた。そこで偶然遭遇したのは、彼が閑職に追いやったかつての部下だった。なぜかファミリー用のテントに1人で宿泊する部下に違和感を覚えるが…
(「薪」より)
魔法使いが死んだ夜
ねこしゃけ日和
ミステリー
一時は科学に押されて存在感が低下した魔法だが、昨今の技術革新により再び脚光を浴びることになった。
そんな中、ネルコ王国の王が六人の優秀な魔法使いを招待する。彼らは国に貢献されるアイテムを所持していた。
晩餐会の前日。招かれた古城で六人の内最も有名な魔法使い、シモンが部屋の外で死体として発見される。
死んだシモンの部屋はドアも窓も鍵が閉められており、その鍵は室内にあった。
この謎を解くため、国は不老不死と呼ばれる魔法使い、シャロンが呼ばれた。
殺人推理:配信案内~プログラマー探偵:路軸《ろじく》九美子《くみこ》 第1章:愛憎の反転《桁あふれ》~
喰寝丸太
ミステリー
僕の会社の広報担当である蜂人《はちと》が無断欠勤した。
様子を見に行ってほしいと言われて、行った先で蜂人《はちと》は絞殺されて死んでいた。
状況は密室だが、引き戸につっかえ棒をしただけの構造。
この密室トリックは簡単に破れそうなんだけど、破れない。
第一発見者である僕は警察に疑われて容疑者となった。
濡れ衣を晴らすためにも、知り合いの路軸《ろじく》九美子《くみこ》と配信の視聴者をパートナーとして、事件を調べ始めた。
僕達の恋愛事情は、それは素敵で悲劇でした
邪神 白猫
ミステリー
【映像化不可能な叙述トリック】
僕には、もうすぐ付き合って一年になる彼女がいる。
そんな彼女の口から告げられたのは、「私っ……最近、誰かにつけられている気がするの」という言葉。
最愛の彼女のため、僕はアイツから君を守る。
これは、そんな僕達の素敵で悲劇な物語──。
※
表紙はフリーアイコンをお借りしています
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://m.youtube.com/channel/UCWypoBYNIICXZdBmfZHNe6Q/playlists
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる