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過去との対話_有栖_6

有栖_6-7

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 そこからの『私』は上手くやっていた、と思う。
 酒を勧められても適度に交わし、適度に飲む。会話も交わしても不快な内容は聞き流す。
 その場で平等だったの時間だけだった。時間だけは全員に平等に流れ、進んでいく。祝勝会は約二時間半ほど。我孫子が女子隊員を呼んだのが中盤だったので一時間ぐらい耐えれば終わる……そう思って耐えてきた。コース料理のデザートが出されたときはゴールテープが見えたようにも思えた。
 宴もたけなわの雰囲気が漂い始めたとき、

「まだ飲み足りねぇな。おい、二次会行こうぜ」

 我孫子がそんなことを口走り、少し周囲が凍り付くが問答無用で数人を名指しで呼びつける。

「おい、有栖。お前も来い」

 当然断る――つもりだった。

「お前とちゃんと話したかったんだよ。女性隊員が前線の捜査に参加することについて。お前が本当に出来るのか聞いてみたかったんだよ」

 その言葉は『私』を呼び止め、引き寄せるには充分な甘言だった。
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