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クーン20歳

第241話 ローシェ・ボル

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 さて、ニールスを除く【雲外蒼天】のメンバー5人はやっとニールスの手がかりを得た訳だが、この後どうするかで揉めた。
 その訳は・・・・

「え?あっちでしょ?」
「何言っているのよ、向こうよ。」
「ちょちょ一寸待って!一体何を聞いていたのよ!このまま回れ右よ回れ右!」
「そうじゃないでしょ!前進あるのみよ!交代しても手がかりなんてないんだから!」
「山の方へドラゴンが飛んでいくのを見たという目撃情報があるのですよ?そちらに向かいませんか?」

 若干1名ほど正解なのだが、皆自分の直感を信じてやまない。
 その結果真実が混じっている事に気付かず御覧のありさま。

 しかしそれは全否定された。
「目撃情報って、一体いつの話よ?」
「は、半年ほど前と言っていました・・・・」

「そんな半年も前の話なんてあてにならない!」
「そうよそうよ!それに私が聞いたのは、空高くへ消え去ったドラゴンの事ばかりだったわよ!」

 確かにドラゴンは空高く上昇し、その後何処かへと去った。

 しかしその後ドラゴンを密かに追跡していた冒険者が居たのだ。
 その冒険者によれば、山の向こうへ飛んでいったとの事。

 彼女の名は、

 ローシェ・ボル

 水魔法と投擲スキルの持ち主である。
 そんな彼女は内気で内向的、そして引っ込み思案。
 唯一男性ではニールスが気にかけてくれ、そして雲外蒼天のメンバーに励まされつつここまでやってきた。そんな彼女は自己主張が乏しすぎる。

 テンションが上がっている時はいいが、そうでない時はこうして正しい意見も自己主張の強いメンバーに押され、消極的になってしまう。

 そんな彼女が聞きだした情報は埋没してしまった・・・・

 その後尤もらしい意見が採用されたが、それはドラゴンがやって来た方向へ移動する事だった。
 ある意味正解かもしれないが、結局ドラゴンが何者で、何が目的だったのかわからずじまい。
 そんな中でこの判断。

「さあ出発だ!!待っていろよニールス!」
「待って下さいノールチェさん!」
「は!ヘンリエッテは相変わらずトロいなあ!こういうのは早いもん勝ちだぜ!という事で、抜け駆け―!」
「あー!もう少しで私にも【ピピー】が!」
「そうよそうよ!5人中3人が【ピーピッ】なのよ!うわあああ!」

 4人は駆けていく。
『うう、絶対信用できる情報だったのに・・・・いつか私の・・・・駄目、無理!』

 こうして5人はニールスの現在地から遠ざかって行く事となる。
 そして当然ながら移動中にドラゴンの目撃情報は多数あった。
 何せドラゴンが今向かっている方向からやってきたからだ。

 半年無駄にした。



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