241 / 262
クーン20歳
第240話 精霊剣【イフリート】
しおりを挟む
ここに一振りの剣がある。クーンとヤーナの手により生み出された精霊剣【イフリート】である。
今は無残にも粘着物質に覆われ、半ば地面と同化している。
そして精霊剣は使い手の魔力を糧とし、その力を維持している。
だがここ暫くニールスの手から離れていたため、精霊剣に宿っているイフリートはすっかり参っていた。
イフリートは火属性の精霊。
剣に宿っているとはいえ、魔力を糧としている事に変わりがない。つまり剣に宿っている以外は、他の精霊と同じなのだ。
そんな状態の剣を無防備に人が触れるとどうなるか?
あっという間に剣を通じて己の魔力をごっそりと持っていかれる事だろう。
精霊剣とは言うものの、これでは魔剣、妖剣の類と何ら変わらない。
しかもクーンとヤーナは、この剣をニールス以外が使用する事を想定していなかったので、宿る精霊との相性も考え、ニールスの負担にならず、尚且つ精霊の力を十全に発揮できるようにしていたのだ。
だが他人ではそうはいかない。
で、ここにきて問題が。
このままでは精霊剣はこの場に放置されてしまう可能性が高いのだ。
何せ誰かが知らず手に取ったが最後、きっとそのまま意識を失い倒れてしまうだろう。
そうすると、次に剣を手にしようと考える人間がいるとは思えない。
なのでイフリートは悩んだ。
今この場へ集っている人間には覚えがある。
自身の所有者であるニールスと行動を共にしているメンバー達だ。
しかし残念ながら彼女達には火属性の適正はない。
最低でも火属性持ちでないと扱えないのだ。
そしてニールスは剣術持ち。
この2つが合わさってニールスは精霊剣を扱っている。それにイフリートとの相性もある。
精霊関連のスキルは持っていなくても問題ない。
何せイフリートは剣に宿ったのだから。
だが現実問題イフリートは詰んでいた。
剣に残る魔力が少なく、外へ訴える事が出来ないのだ。
そのまま沈黙するしかないイフリートだった。
「ところでニースル様の剣、どうしよう?」
ヘンリエッテはどうすべきか決めかねていた。
何故この場に剣が残されていたのかわからない。
たまたまドラゴンがニールス様を口にした時、剣が手から離れていただけなのか、何か意図があったのか。
そしてニールス様以外が剣に触れていいものかどうか。
更に付け加えるならば、ねばねばをどうにかしないと、触れた個所もねばねばになる。
「どうしようって持っていくだろう?」
ノールチェは持っていく気。
「手で触れても問題ないかしら?」
「いや、ねばねばは嫌だし、何かに包んでいけばいいんじゃね?」
悩んだ私は何だったのだろう。
結局布を用いて剣を包み、回収する事に成功する。
イフリート
・・・・何とこのような小細工が効くのか。人間とは面白い生き物だな。
イフリート微妙な感想を感じたが、誰も気づかないのだった。
今は無残にも粘着物質に覆われ、半ば地面と同化している。
そして精霊剣は使い手の魔力を糧とし、その力を維持している。
だがここ暫くニールスの手から離れていたため、精霊剣に宿っているイフリートはすっかり参っていた。
イフリートは火属性の精霊。
剣に宿っているとはいえ、魔力を糧としている事に変わりがない。つまり剣に宿っている以外は、他の精霊と同じなのだ。
そんな状態の剣を無防備に人が触れるとどうなるか?
あっという間に剣を通じて己の魔力をごっそりと持っていかれる事だろう。
精霊剣とは言うものの、これでは魔剣、妖剣の類と何ら変わらない。
しかもクーンとヤーナは、この剣をニールス以外が使用する事を想定していなかったので、宿る精霊との相性も考え、ニールスの負担にならず、尚且つ精霊の力を十全に発揮できるようにしていたのだ。
だが他人ではそうはいかない。
で、ここにきて問題が。
このままでは精霊剣はこの場に放置されてしまう可能性が高いのだ。
何せ誰かが知らず手に取ったが最後、きっとそのまま意識を失い倒れてしまうだろう。
そうすると、次に剣を手にしようと考える人間がいるとは思えない。
なのでイフリートは悩んだ。
今この場へ集っている人間には覚えがある。
自身の所有者であるニールスと行動を共にしているメンバー達だ。
しかし残念ながら彼女達には火属性の適正はない。
最低でも火属性持ちでないと扱えないのだ。
そしてニールスは剣術持ち。
この2つが合わさってニールスは精霊剣を扱っている。それにイフリートとの相性もある。
精霊関連のスキルは持っていなくても問題ない。
何せイフリートは剣に宿ったのだから。
だが現実問題イフリートは詰んでいた。
剣に残る魔力が少なく、外へ訴える事が出来ないのだ。
そのまま沈黙するしかないイフリートだった。
「ところでニースル様の剣、どうしよう?」
ヘンリエッテはどうすべきか決めかねていた。
何故この場に剣が残されていたのかわからない。
たまたまドラゴンがニールス様を口にした時、剣が手から離れていただけなのか、何か意図があったのか。
そしてニールス様以外が剣に触れていいものかどうか。
更に付け加えるならば、ねばねばをどうにかしないと、触れた個所もねばねばになる。
「どうしようって持っていくだろう?」
ノールチェは持っていく気。
「手で触れても問題ないかしら?」
「いや、ねばねばは嫌だし、何かに包んでいけばいいんじゃね?」
悩んだ私は何だったのだろう。
結局布を用いて剣を包み、回収する事に成功する。
イフリート
・・・・何とこのような小細工が効くのか。人間とは面白い生き物だな。
イフリート微妙な感想を感じたが、誰も気づかないのだった。
2
お気に入りに追加
937
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~
霜月雹花
ファンタジー
17歳の夏、俺は強盗を捕まえようとして死んだ――そして、俺は神様と名乗った爺さんと話をしていた。話を聞けばどうやら強盗を捕まえた事で未来を改変し、転生に必要な【善行ポイント】と言う物が人より多く貰えて異世界に転生出来るらしい。多く貰った【善行ポイント】で転生時の能力も選び放題、莫大なポイントを使いチート化した俺は異世界で生きていく。
なろうでも掲載しています。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
転生発明家は異世界で魔道具師となり自由気ままに暮らす~異世界生活改革浪漫譚~
夜夢
ファンタジー
数々の発明品を世に生み出し、現代日本で大往生を迎えた主人公は神の計らいで地球とは違う異世界での第二の人生を送る事になった。
しかし、その世界は現代日本では有り得ない位文明が発達しておらず、また凶悪な魔物や犯罪者が蔓延る危険な世界であった。
そんな場所に転生した主人公はあまりの不便さに嘆き悲しみ、自らの蓄えてきた知識をどうにかこの世界でも生かせないかと孤軍奮闘する。
これは現代日本から転生した発明家の異世界改革物語である。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~
結城絡繰
ファンタジー
平凡な冒険者である俺は、手頃に抱きたい女が欲しいので獣人奴隷を買った。
ただ性欲が解消できればよかったのに、俺はその奴隷に溺愛されてしまう。
爛れた日々を送りながら俺達は迷宮に潜る。
二人で協力できるようになったことで、冒険者としての稼ぎは抜群に良くなった。
その金で贅沢をしつつ、やはり俺達は愛し合う。
大きな冒険はせず、楽な仕事と美味い酒と食事を満喫する。
主従ではなく恋人関係に近い俺達は毎日を楽しむ。
これは何の取り柄もない俺が、奴隷との出会いをきっかけに幸せを掴み取る物語である。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる