上 下
159 / 262
再生、そして

第158話 土で囲ってしまおうそうしよう

しおりを挟む
 ジンの指摘があった魔道具は、パッと見では何の変哲もない水瓶だった。言われなければ気が付かないぞ?

 で、この魔道具の恐ろしさは、この魔道具の近くについうっかり精霊が近づくと、今まで発動していなかったのにいきなり発動する事だ。しかも微妙に遅れて発動するらしい。

 それで先ほどシルフとジンはやられたのだとか。

 シルフが水瓶のすぐ近くを通ったらしく、ジンはシルフより若干遅れ気味で移動していた。この為水瓶を模した魔道具が発動した時、ジンはシルフより近くに居たのだとか。
 本来であればジンの方がよりダメージが大きくなりそうなのだが、そこは精霊としての格の違いで何とか持ち堪えたそうな。
 しかもシルフは自らミスを犯した事を悟り、ジンが巻き込まれるのを防ごうとしたのか、何とかしようと無理やりジンの所へ向かう。この魔道具は不幸中の幸いとでもいうべきか、精霊を暴走させるのが目的ではなかったようで、精霊の力を吸収していたようだ。
 シルフが身を挺してジンを護って・・・・つまりシルフは本来ジンの吸収される分まで吸い取られてしまうのだが・・・・この間にジンは吸収され尽くす前に脱出できたのだとか。

【最初は余裕だと思っておったのだ。だが吸い取られているうちに身動きできなくなってしまったのだ。そこにシルフが現れ盾となってくれ、その瞬間動くようになり、そのまま勢いで魔道具の範囲から脱出をしたのだ。】
 ジンが魔道具を目の前にしてそんな事を言っているが、
「吸収されたって、力だけか?」
【ああそうだ。シルフは全ての力を吸い取られ、消えてしまった。】

「それと今は発動していないんだな?」
【発動しておらぬし、仕組みも凡そわかった。今となっては他の魔道具の位置もすぐにわかる。ただ、止め方はわからぬがな。】

「俺には仕組みも止め方も分からないから、取り敢えず俺の【土】で囲ってしまうぞ。そしてそのまま地中深くに埋めてしまおう。解決したら改めて何とかする。一応確認すると、ただの水瓶にしか見えないが、あれを壊したらどうなると思う?」
 多分水瓶を持ち上げて、手を放せば割れると思う。

【精霊が居ない場所でやってくれぬか?爆発しては敵わぬ。】
 結局【土】で囲って、そのまま地中深くに埋めていった。

 これを4ケ所行った。

 そして5ヶ所目。ここで俺は気が付いた。
 これ、ペンタゴン5角形じゃね?
 つまり水瓶を配置してある場所自体に何かあるんじゃないか、という事だ。
 俺は最後の1個は他のよりもさらに深く沈めた。しかも上下逆さまにして、だ。
 そして忘れてないのはダミーの設置だ。一応それぞれ方向も向きもバラバラにしてある。
 最後の仕上げとして置いてあった水瓶と同じ姿の物をこしらえて、設置。

 これを仕込んだ奴が異変に気が付くかどうかはわからんが、見ただけでは分からないだろう。

 そしていよいよヤーナの出番だ。
「精霊をここに置いておけばいいのね?」
「そうしてほしい。もしこの水瓶に何かをしようとする奴がいたら、知り合いだろうと容赦なく襲ってほしい。」
「それ、大丈夫なの?」
 知らずに近づく事もあり得るか。
「じゃあ知り合いだったら何もせずに知らせてもらう事は出来る?」
「それぐらい容易いわ。下位の精霊に頼めばいいのよ。」

 さて、罠も仕込んだが、これって他にも仕掛けがあったりしないのか?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

霜月雹花
ファンタジー
 17歳の夏、俺は強盗を捕まえようとして死んだ――そして、俺は神様と名乗った爺さんと話をしていた。話を聞けばどうやら強盗を捕まえた事で未来を改変し、転生に必要な【善行ポイント】と言う物が人より多く貰えて異世界に転生出来るらしい。多く貰った【善行ポイント】で転生時の能力も選び放題、莫大なポイントを使いチート化した俺は異世界で生きていく。 なろうでも掲載しています。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

転生発明家は異世界で魔道具師となり自由気ままに暮らす~異世界生活改革浪漫譚~

夜夢
ファンタジー
 数々の発明品を世に生み出し、現代日本で大往生を迎えた主人公は神の計らいで地球とは違う異世界での第二の人生を送る事になった。  しかし、その世界は現代日本では有り得ない位文明が発達しておらず、また凶悪な魔物や犯罪者が蔓延る危険な世界であった。  そんな場所に転生した主人公はあまりの不便さに嘆き悲しみ、自らの蓄えてきた知識をどうにかこの世界でも生かせないかと孤軍奮闘する。  これは現代日本から転生した発明家の異世界改革物語である。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~

結城絡繰
ファンタジー
平凡な冒険者である俺は、手頃に抱きたい女が欲しいので獣人奴隷を買った。 ただ性欲が解消できればよかったのに、俺はその奴隷に溺愛されてしまう。 爛れた日々を送りながら俺達は迷宮に潜る。 二人で協力できるようになったことで、冒険者としての稼ぎは抜群に良くなった。 その金で贅沢をしつつ、やはり俺達は愛し合う。 大きな冒険はせず、楽な仕事と美味い酒と食事を満喫する。 主従ではなく恋人関係に近い俺達は毎日を楽しむ。 これは何の取り柄もない俺が、奴隷との出会いをきっかけに幸せを掴み取る物語である。

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

処理中です...