勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず！

外伝 章努の話

悪い奴にはそれ相応の対応を

　冒険者ギルド自体はどの国にもあって、仕組みは世界共通らしい。
　俺が毎日通う冒険者ギルドは、グビッシュ王国所属だ。
　当然ながらギルド職員もグビッシュ王国の国民だ。
　ただ、別の国から職員が来る必要はないから、職員は現地採用だろう？と思うのだが、どうなんだろう。
　何故かそんな事を考えちまった。
　で、ギルドは基本何処の国出身でも対応するが、やはり自国民を優先するのはまあ、仕方がねえ。

　で、ここにロンドロッグからグビッシュ王国へ避難してきた難民の子供がいる。
　こうした難民は着の身着のまま、己と家族の体一つで逃げのびて来るので基本一文無しだ。

　つまり金になるような物も、当然金も持ち合わせていねえ。
　で、そう言った難民に目を付けるろくでもない連中がいるらしい。

　そして俺が手を引くちっこいガキは、そんな被害を被った内の１人なんだ・・・・父親が、らしい。

　まだ小さすぎていまいち何を言っているか分からねえが、どうやら一緒にこの地へやってきたロンドロッグの人は、その多くがこいつの両親共々どっかへ連れられちまったらしい。

　何でこいつだけ無事なのかは知らんが。

　で、俺は両親がいる所、それも父親がいる所へ連れて行ってくれるらしい。
　一体何がどうなっているんだ？

　・・・・
　・・・
　・・
　・

　街の外へ出へ、街道を進む俺とちっせえ女の子。
　日本だったらおまわりさんに捕まるんじゃねえ？いや、ギリ妹と言えば納得か？
　10歳前後年が離れた兄弟姉妹って今どき珍しくはない・・・・よな？
　え？珍しいが年の離れた兄弟ってクラスに数人いるレベルだって？
　そんな事はどうでもいい。

　道中話を聞くと、どうやら1週間程前に騙されたらしい。
　母親はどうした？と思ったが、女は別の場所で子供達と暮らしているようだ。

　つまり働き盛りの男だけどっかへ連れられて行ったらしい。
　なんだ？何処かで強制労働か？

　そんな俺は男達がいる場所へ到着したが・・・・誰も居ないじゃないか？
　因みに山だな。
　しかも何か洞窟？坑道か？そんなのが見える。
　そう、俺様坑道を理解しているんだぜ！
　何せ所謂鉱物は山から発掘しているってんだからな。

　俺が何となく強制労働か・・・・と思っていたが、案の定、
「こ、ここ　に　いる　の・・・・たくさん・・・・」
「ここで働いているのか？お前の親父達は。」
「うん。いつも　まっくろ　に　なって、せき　を　して、かおいろ　も　わるいの。」

　まさかの石炭？
　いや、だがおかしい。この世界、魔石で何でもしているから、石炭を使って何かをしているのを見た事がねえ。

　俺は剣を抜いた。
　これは何かある。
「お前は帰れ。後は俺様が何とかしてやる！」
「で、でも・・・・つれてこい　って、　こわいひと　が　わたし　に　そういう　の。」

　・・・・これは成敗するしかねえな。
「よし、俺はその悪い奴をとっちめてやっから、安心しろよ？」
「ありがとう　おにいちゃん。」

　俺はお兄ちゃんだ！お兄ちゃんは妹の為に身を挺して何でもするもんだ！

　俺は女の子を後ろからついてこさせ、進んでいく。
　で、暫くしたら、
「このおへや　に　わるいひと　いる　の。」


　こうなりゃ先手必勝だ！
　万が一俺が騙されていたとしても、問答無用で襲ってしまえばどうとでもなる！
　もし間違いだった場合も回復魔法を使って回復させれば何とかなるだろうぜ！