勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず！

外伝 章努の話

想定外の事態

　4人のねーちゃんが絶望に打ちひしがれている。
エルフの乏しい表情だが、流石の俺でもわかるぜ！

　何せ泣いているからな。

「こ、この場に留まり生を全うせよと仰いましたが、もう私達は奴隷ではないのですよね？」
「奴隷を解放する前に言ったのだ。その言葉には奴隷を解放したからと言って、拘束力がある。さらばだ！」
　何か引っかかる。おっさん、何で今奴隷を解放したんだ？
　それにだな、おっさんはこの場といったが、この場ってなんだ？何処？
　そして、誰に言ったんだ？ぶっちゃけ曖昧なんだよなあ。

　そしてねーちゃん達は何か相談しているぞ？
「エルフの神秘を見せましょうか。」
　エルフの神秘って何？
　すると1人のねーちゃんがあろう事か服を、上だけだが脱ぎ始めやがった！
　そうは言っても胸は隠している。
　一寸期待したと共に安心した。
　ちゃんと胸部装甲ブラジャーをしていたぜ！

　そして別のねーちゃんがナイフを手にしているぞ？
　で、残りの2人は何やら魔法を使う準備をしている。

　バイエンスのおっさんは驚いているぞ？

「おい、こんな所で何をするつもりだ！」
「この場に留まり、生を全う致します。」
　何か違う気がする。
　上半身下着姿のねーちゃんがその場へ横になる。
　で、別のねーちゃんがナイフを・・・・うわ！
「な、何やってんだよ！」
　俺は今まで事の成り行きを見守って？いたが、まあ俺が間に入る余地がなかったからなんだがさあ、今は違う！
　何と横たわっているねーちゃんにナイフを、ナイフを手にしたねーちゃんがグサッと刺したんだよ！

　当然ながら血が出る訳で、そしてあろう事か別のねえちゃんが電気？の魔法を怪我しているねーちゃんに唱えたみたいで、感電したように見えるねーちゃん、暫く身体が突っ張ったみたいだが、魔法の効果が切れて直ぐにブルッと震え、そのまま動かなくなっちまった。

　し、死んだ？
「この場に留まり、生を全う致しました。これでヴァーツラフに対する束縛は解除できました。」
　いやいや確かにそうかもしれねえが、死んだら意味ないじゃないか！
「た、確かにそう言ったが、何も殺す必要はないじゃないか！なんてこった！死んでしまえば蘇生できないんだぞ！」
　そう言えば脳内に居る野良神、ノラだっけ？確かそんな事を言っていたよな？
　蘇生できない、若しくは蘇生させると禁止事項に触れ神の力を失うって。

　あ、異変に気付いたのか、ピートロネラもやってきたぞ？
「え？どういう事ですか？まさか同郷のエルフを殺したのですか？どうして？」
　俺も思った。
「こうするのが最善なのです。生を全うさせねばヴァーツラフはこの地に留まる事になります。言葉の綾で抜け道もありますが、完全ではありません。例えばこの場とは何処ですか？そういう意味で抜け道はあります。ただ、先程も言いましたがバイエンスさまの意図しない条件となりますから、そのうち齟齬が生じます。」

　だからって死んじまったら意味がないぞ？