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召喚から15年が経った

第591話 魔族の角

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僕が目の前の女性にぐりぐりと、そう、こめかみ付近を親指でやったんだけど、その後なんだか少し色っぽい?艶やかな声でううんとか言って、暫くしたらそこから角がにょき?っと生えてきてね。
これが角?

「順平殿、駄目だ!」

「オイヴィ何が?と言うか何この角。結構すべすべなんだけど。」
「うう・・・・もうお嫁に行けない・・・・」

いつの間にかオイヴィが拘束を解いてました。大丈夫?
それと何やらまたやらかした感がひしひしとしますね。
「なあオイヴィ、まさかと思うけど・・・・」

「そのまさかだ。止めようとしたが手遅れ。獣人にとって尻尾と耳が異性にとっての求婚に関する重大な事柄と同じように、魔族も然り、だ。」
「その、つまりこの角は・・・・?」
「隠していたのだろう。普段は邪魔だからな。だが魔族は真の力を発揮する時や、異性と交わる場合は角を出す。そうする事で己の力を最大限発揮できるからだ。だが燃費が悪い。だから普段は隠す。」
いまいちわからない。
「それはまあどうでもいいんだけど、男が女の角を触ると何かあるんだね?」

「普通女は角を男には絶対触らせない。例外は求婚時だ。若しくは男が女を力技で屈服させ娶る時だな。場合によっては性奴隷的になる。」
「じゃあ今回は?」
「屈服及び奴隷扱いになろう。」
・・・・ええ?見知らぬ女性に?それはないよ?ああ、でも何で僕を父の仇って言ったんだ?で、目の前の女性は完全に諦めの表情。

「ええと、言葉は分かるよね。」

「ああ・・・・わかる・・・・」
「僕、君の事知らないんだよね。まあ初対面だよね?だけどなんで僕を父の仇と言ったのかな?」

「う・・・・其方は父を殺したのだろう?父の傍に従っていて逃げ延びた奴があたいに言ったんだ。黒髪で黒目。のっぺらな顔の奴に消去された、と。」

「ええと消去?」
「そうだ。消滅させたと言っていたようだ。そいつは影に潜り込んでいたから助かったと言っていた。あたい悔しい。しかも父の仇に大事な角を撫でられるとは・・・・さあ好きにしろ。」

いや好きにしろと言われて地面に寝っ転がってもね。
万が一抱くにしてもベッドの上だね。

「順平殿、どうするのだ?恐らくこの女性の勘違いだと思うが。」

「うんそれは思った。多分僕じゃなく章君だよね。確か魔王を消滅させたって聞いたけど。確か【魂の消滅】ってバイエンス氏が言ってたな。」

「ひいい!魂の消滅!やはりそれでは父は二度と復活できないという事なのか。」

「さあ、魔王にそんなよくわからい方法で仕留めた章君はあくまで同郷と言うだけで、僕じゃないんだ。」

「では・・・・父はもうこの世にいない?」

「魂が消滅したのなら、存在そのものが消えたかも。」
「存在そのものが?恐ろしいな。で、其方順平と申すか。あたいをどうするのだ?あたいは油断したとは言え隠していた角を無理やり元に戻された挙句になで回された。この身体は既に其方の物だ。」
物って・・・・
「なあオイヴィ、どうしたら?」

「いやなら開放するしかなかろう。だがそれをすればこの女性にとって死よりも酷い扱いになると思ってくれ。」
「そうなのかい?」

「まさか角を撫でまわし、何もしないまま開放と言うのか?それはあたいを女として受け入れられぬ、という事か。何たる屈辱。しかもあたいはそれを受け入れねばならぬ。其方残酷だな。」

「ちょっと待って。じゃあ今の君にとって最善は何だい?」
「最善?このままあたいを犯せばそれでいい。そのまま其の方の子を孕めばそれが最善だ。」
意味不明。
「あのさ、僕君達の事全く分からないんだ。だからそれはいったん保留してくれないかい。」

「何だ折角あたいの角に触れたのにお手付きしないのか。わかった。ではあたいの事をもっと知ってから抱くというのだな。ごく稀にそのような変わった男もいると聞く。好きにすればいいさ。」

「まあそれは僕の知識が追いついてからで。それよりつまり君は魔王の娘なのかい?」
「そうだ。わが父は・・・・魔王だったようだ。」
「じゃあ、君は魔大陸は詳しい?」
「それは詳しいぞ?あたいは一寸前まで魔大陸に住んでいたからな。何だ魔大陸に向かうのか?」

「ああ、魔大陸を調べたくてね。」

「わかった。では案内しよう。」

「じゃあ頼むよ。」

「頼まれたが・・・・本当にあたいに子種を仕込まなくていいのかい?」
「それは今はいい。それも含め僕が学ぶ時間を貰いたいな。」

「わかった。ではついてくるがいい。」
あ、行っちゃった。で、あの女性、名前なんて言うんだ?
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