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召喚から5年が経過
第382話 勇者召喚 その2
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国王を除く王族には2つの役割がある。
一つは血族ゆえの触媒。
もう一つは魔力の供給。
総じて王族は魔力量が多く、魔法を極めた魔術師並みの魔力量を内包しており、今回その魔力が役に立つのだとか。
しかし絶対数が少なく、せいぜい杖の許容量の半年分のうちの一ヶ月分ほどにしかならない。
そして今回、通常は行わない処置を施す。
王族の胸辺りに魔法陣を埋め込むのである。
魔力の供給を潤滑に行うために、魔力を強制的に排出する魔法陣。
そしてそれを杖につながっている魔力を届ける線に触れる事で魔力を杖に送る、という仕掛け。
王族は例外なくこの処置を受ける。
召喚に関わる魔術師も全員この処置を受ける。
魔術師の場合、魔力を吸い出されるだけなのだが。
こうした準備は急ぎ行われ、召喚の議は城の広間にて行われる事となった。
広間の半分を召喚の儀を執り行う場所とし、もう半分は召喚者が到着するスペースに。
万が一多数の巻き添えが居る場合を想定し、広めに確保をしているのである。
そしてその一角には急遽各地より招集した貴族の若い未婚女性が多数控えている。
もし召喚に巻き込まれた人が多い場合を想定し、多めに招集をしている。
この女性は勇者とその巻き込まれた人々の世話を行ってもらうためだ。
本来勇者召喚時は、きっちり勇者の所在を確認し、極力勇者以外が召喚に巻き込まれぬよう、慎重に執り行うのだが、今回はその調整を行っておらず、勇者の周りにいる人々が巻き込まれてこちらにやってくる可能性が非常に高く、巻き込まれた人々には見知らぬ土地で不便をかける事になるからとの措置である。
そうこうしているうちに、形だけは整い、後は人員配置のみ、となった。
・・・・
・・・
・・
・
「・・・・では以上だ。後は頼んだぞ。」
グビッシュ王国の国王アロイジウスは、目の前にいる宰相にそう伝える。
この宰相、召喚でやってきた人々に最初の説明をしていた人物。
そして今国王はこの宰相に今後の流れを伝えていたのである。
「陛下!私もお供させて下され!」
宰相は人目もはばからず、国王の足元に縋りつき、自身も同行したいと願う。だが国王は、
「ならぬ!その方が召喚の儀に加わったところで何も変わらぬ。むしろ足手まといだ。だから、召喚によってやってきた連中の説明を頼む。」
「陛下ああ!!!!」
宰相とアロイジウス国王との最後の会話だった。
そして国王は、杖の設置してある場所へ向かうと、既に集まっていた魔術師と王族に、
「皆待たせたな。余も皆と同様、冥府への旅路となるが、ゆるせ。」
「父上!」
「伯父様!」
「おじいちゃん!!」
それぞれが国王を命名の言い方で呼び、泣いた。
そして国王は杖を握りしめる。
一つは血族ゆえの触媒。
もう一つは魔力の供給。
総じて王族は魔力量が多く、魔法を極めた魔術師並みの魔力量を内包しており、今回その魔力が役に立つのだとか。
しかし絶対数が少なく、せいぜい杖の許容量の半年分のうちの一ヶ月分ほどにしかならない。
そして今回、通常は行わない処置を施す。
王族の胸辺りに魔法陣を埋め込むのである。
魔力の供給を潤滑に行うために、魔力を強制的に排出する魔法陣。
そしてそれを杖につながっている魔力を届ける線に触れる事で魔力を杖に送る、という仕掛け。
王族は例外なくこの処置を受ける。
召喚に関わる魔術師も全員この処置を受ける。
魔術師の場合、魔力を吸い出されるだけなのだが。
こうした準備は急ぎ行われ、召喚の議は城の広間にて行われる事となった。
広間の半分を召喚の儀を執り行う場所とし、もう半分は召喚者が到着するスペースに。
万が一多数の巻き添えが居る場合を想定し、広めに確保をしているのである。
そしてその一角には急遽各地より招集した貴族の若い未婚女性が多数控えている。
もし召喚に巻き込まれた人が多い場合を想定し、多めに招集をしている。
この女性は勇者とその巻き込まれた人々の世話を行ってもらうためだ。
本来勇者召喚時は、きっちり勇者の所在を確認し、極力勇者以外が召喚に巻き込まれぬよう、慎重に執り行うのだが、今回はその調整を行っておらず、勇者の周りにいる人々が巻き込まれてこちらにやってくる可能性が非常に高く、巻き込まれた人々には見知らぬ土地で不便をかける事になるからとの措置である。
そうこうしているうちに、形だけは整い、後は人員配置のみ、となった。
・・・・
・・・
・・
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「・・・・では以上だ。後は頼んだぞ。」
グビッシュ王国の国王アロイジウスは、目の前にいる宰相にそう伝える。
この宰相、召喚でやってきた人々に最初の説明をしていた人物。
そして今国王はこの宰相に今後の流れを伝えていたのである。
「陛下!私もお供させて下され!」
宰相は人目もはばからず、国王の足元に縋りつき、自身も同行したいと願う。だが国王は、
「ならぬ!その方が召喚の儀に加わったところで何も変わらぬ。むしろ足手まといだ。だから、召喚によってやってきた連中の説明を頼む。」
「陛下ああ!!!!」
宰相とアロイジウス国王との最後の会話だった。
そして国王は、杖の設置してある場所へ向かうと、既に集まっていた魔術師と王族に、
「皆待たせたな。余も皆と同様、冥府への旅路となるが、ゆるせ。」
「父上!」
「伯父様!」
「おじいちゃん!!」
それぞれが国王を命名の言い方で呼び、泣いた。
そして国王は杖を握りしめる。
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