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魔王の天敵・勇者と聖騎士
318話 Side 魔王
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俺は魔王。
本当の名があるはずだが、はるか昔に魔王になったせいか、もはや本名が思い出せぬ。
今の部下は俺が魔王になった時にはまだ生まれておらず、俺の本名を知るやつは今はもういない。
そう、俺は本名すら忘れてしまうほど、昔から魔王・・・・だったはず?
そうだ、俺はどうして魔王なんだ?
それすら思い出せぬ・・・・俺は物覚えが悪くなったのか?
まあそれはいい。
今は別の問題だ。
そろそろこの体も限界だ。
あと100年はこの体のままでも問題ないだろうが、もし魔王の器にふさわしい体が出現すれば、それに入れ替わるつもりだ。
人の寿命はせいぜい100年だが、魔王の体となるよう馴染ませれば1000年は活動できるであろう。
そして俺は今、ある国を攻めている時に偶然見つけたのだ。
そう、俺の新たな体を。
どうやら異世界から召喚された勇者の付属品だったようだが、何をどうしたのか勇者として召喚した奴の全てを奪い、自ら勇者になった奴がいて、その体が随分と俺の体として耐えうる体になりつつあるようなのだ。
しかも並行世界というスキルで俺を攻略したらしいが・・・・
側近に伝え、こっそりその並行世界に潜り込ませることに成功、この男のスキルを全て調べさせた。
そして・・・・信じられない事だが、この俺様をしのぐ力を身につけたらしい。
だが、所持しているスキルの殆どを理解していない様子。
今ならそいつの体を乗っ取れる。
「魔王様、準備が整いました。」
「おう、頼むぞ。俺が尤もらしく負ける必要があるのが難しい。その後餌と罠を仕掛ける必要があるが、それも問題ないか?」
「はい、私の分身が既に罠を掛け終わっております。あとは魔王様がその場所で戦っていただく必要がありますので、どうか戦闘になった場合、私の誘導に従っていただきたい。」
「わかった。で、どんな仕掛けなのだ?」
「はい・・・・まずあの人間、むっつりでございまして・・・・」
「ほうほう・・・・」
「しかし、どうやら複数の女に手を出すのに抵抗がある様子。これをまずどうにかします。」
「ほう?どうするというのだ?」
「脳に働きかけ、人の脳には前頭葉というものがございまして、前頭葉の一部の機能を狂わせます。さすれば複数の女に手を出す事に一切の迷いがなくなるでしょう。因みにその前頭葉でございますが、いわゆる倫理観を司っているようで、そこに刺激を与えます。」
「だが、それはうらやましいぞ?ハーレムとかいうのだろう?男のロマンではないか!」
「しかしこれにも仕掛けがございまして。ある程度手を出した後、一時的に前頭葉の機能を元に戻します。すると・・・・」
「己の思いとは裏腹に、複数の女に手を出した事で精神に異常をきたすのか!」
「さすがは魔王様でございます。その通りでございます。そして精神が病んだ後、別の罠が発動いたします。こちらは敢えて失敗するよう調整済みでございます。」
「なぜ失敗させるのだ?」
「別の罠に気が付かぬように、でございます。」
「まあ頼んだぞ。側近の罠が結果として失敗した事がないからな。以前もあったな?ワザと失敗したように見せかけ、複数の罠をまんまと仕掛けたのだったか?」
「はい。さすがの魔王様も、人間が思っているような快進撃を単独で出来る訳では御座いませんから。」
「ああ、ずいぶんと盛った話だな。俺様の力をもってしても人の大国を一夜にして攻め滅ぼす事はかなわぬからな。」
「はい。あ、そうそう、襲撃に失敗した後で御座いますが、魔王様の機嫌が悪くなり、腹いせにフェンリルの巣を襲撃していただく必要がございます。」
「うん?ワンころを襲うのか?」
「はい。魔王様が不機嫌だと思わせるためで御座います。」
「よくわからんが、機嫌が悪いと思わせればいいんだな。腹いせにフェンリルをいたぶるのか。」
俺は魔王。
人に常に恐れられる存在でなくてはならぬ。だが、皆が思っておるほど我の力は強くはないのだ。
俺のこの力は部下の補佐があっての事。
一夜にして国を亡ぼす?無理だろう。策を講じなければ。
本当の魔王は・・・・側近かもしれぬな。
本当の名があるはずだが、はるか昔に魔王になったせいか、もはや本名が思い出せぬ。
今の部下は俺が魔王になった時にはまだ生まれておらず、俺の本名を知るやつは今はもういない。
そう、俺は本名すら忘れてしまうほど、昔から魔王・・・・だったはず?
そうだ、俺はどうして魔王なんだ?
それすら思い出せぬ・・・・俺は物覚えが悪くなったのか?
まあそれはいい。
今は別の問題だ。
そろそろこの体も限界だ。
あと100年はこの体のままでも問題ないだろうが、もし魔王の器にふさわしい体が出現すれば、それに入れ替わるつもりだ。
人の寿命はせいぜい100年だが、魔王の体となるよう馴染ませれば1000年は活動できるであろう。
そして俺は今、ある国を攻めている時に偶然見つけたのだ。
そう、俺の新たな体を。
どうやら異世界から召喚された勇者の付属品だったようだが、何をどうしたのか勇者として召喚した奴の全てを奪い、自ら勇者になった奴がいて、その体が随分と俺の体として耐えうる体になりつつあるようなのだ。
しかも並行世界というスキルで俺を攻略したらしいが・・・・
側近に伝え、こっそりその並行世界に潜り込ませることに成功、この男のスキルを全て調べさせた。
そして・・・・信じられない事だが、この俺様をしのぐ力を身につけたらしい。
だが、所持しているスキルの殆どを理解していない様子。
今ならそいつの体を乗っ取れる。
「魔王様、準備が整いました。」
「おう、頼むぞ。俺が尤もらしく負ける必要があるのが難しい。その後餌と罠を仕掛ける必要があるが、それも問題ないか?」
「はい、私の分身が既に罠を掛け終わっております。あとは魔王様がその場所で戦っていただく必要がありますので、どうか戦闘になった場合、私の誘導に従っていただきたい。」
「わかった。で、どんな仕掛けなのだ?」
「はい・・・・まずあの人間、むっつりでございまして・・・・」
「ほうほう・・・・」
「しかし、どうやら複数の女に手を出すのに抵抗がある様子。これをまずどうにかします。」
「ほう?どうするというのだ?」
「脳に働きかけ、人の脳には前頭葉というものがございまして、前頭葉の一部の機能を狂わせます。さすれば複数の女に手を出す事に一切の迷いがなくなるでしょう。因みにその前頭葉でございますが、いわゆる倫理観を司っているようで、そこに刺激を与えます。」
「だが、それはうらやましいぞ?ハーレムとかいうのだろう?男のロマンではないか!」
「しかしこれにも仕掛けがございまして。ある程度手を出した後、一時的に前頭葉の機能を元に戻します。すると・・・・」
「己の思いとは裏腹に、複数の女に手を出した事で精神に異常をきたすのか!」
「さすがは魔王様でございます。その通りでございます。そして精神が病んだ後、別の罠が発動いたします。こちらは敢えて失敗するよう調整済みでございます。」
「なぜ失敗させるのだ?」
「別の罠に気が付かぬように、でございます。」
「まあ頼んだぞ。側近の罠が結果として失敗した事がないからな。以前もあったな?ワザと失敗したように見せかけ、複数の罠をまんまと仕掛けたのだったか?」
「はい。さすがの魔王様も、人間が思っているような快進撃を単独で出来る訳では御座いませんから。」
「ああ、ずいぶんと盛った話だな。俺様の力をもってしても人の大国を一夜にして攻め滅ぼす事はかなわぬからな。」
「はい。あ、そうそう、襲撃に失敗した後で御座いますが、魔王様の機嫌が悪くなり、腹いせにフェンリルの巣を襲撃していただく必要がございます。」
「うん?ワンころを襲うのか?」
「はい。魔王様が不機嫌だと思わせるためで御座います。」
「よくわからんが、機嫌が悪いと思わせればいいんだな。腹いせにフェンリルをいたぶるのか。」
俺は魔王。
人に常に恐れられる存在でなくてはならぬ。だが、皆が思っておるほど我の力は強くはないのだ。
俺のこの力は部下の補佐があっての事。
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本当の魔王は・・・・側近かもしれぬな。
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