４５歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

外伝 女神のチョンボで大変な事に 口田 士門

集まる召喚者

僕達が軽い食事をしていると、執事のマウリシオさんがやってきた。

「口田様、来客でございます。」

　うん？来客？

「来客？誰？」
「恐らくは先程、メイド長に仰られていた人々ではないかと。」

　先程のメイドさんはメイド長だったのか・・・・偉いのそれ？

「ああ、いよいよ来たか。クラン用のホールに通しておいて。」
「畏まりました。」

　マウリシオさんは音もなく去っていった。
　ついに来た。
　こちらを信用してくれていると思いたい。

「いよいよ来たみたいだ。」
「そうですね。恩を仇で返さなければよいのですけれど。私は個人的に殆ど面識のない人もおりましたから。」

　今日は畏まった言い方をするせつ。
　緊張している？

「もしかしてせつ、緊張してる？」
「しもんさん、当たり前ですよ。今後、クランのあり方もそうですが私達を頼ってきたかもしれない人達の、今後の生き方に相当左右される出来事になるでしょうから。」

　・・・・そうなんだよな。
　多分僕達に着いてきた50人程の生徒は今すぐには自活が難しいだろう。
　教師は何とかなるだろうけれど。
　厳しい決断を迫られる事態にならなければいいけれど。
　そう思っていると、数人が入ってきた。

「お邪魔します・・・・」
「失礼します・・・・」

　うーん・・・・5人程、女子だけで来たようだ。

　その後もバラバラに来る生徒達。
　そして、先生に率いられてくるグループもいた。
　あ、吹奏楽部のメンバーだな。

「部長、吹奏楽部の部員、全員無事到着しました。」
「あ、それは良かった・・・・皆さん無事で何よりです。」
　せつが言う。

「あんた達さえ問題なければ今日からここで暮らす事が出来るんだけれど。もう少し集まってからその話をする。」

「え？安楽座副部長、ここで暮らしてもよいのでしょうか？？凄い屋敷ですけれど？」

「問題ない。まあ個室は無理だから、数人で一部屋になる。仕切りをつければそこそこプライベートは守られると思う。」

　みつえの説明は簡潔だ。

　そして、暫くして男子生徒達が来た。
　結局最初の2名の他に、着いてきた男子は3名だけだった。
　なので5人がいる。
　こいつらどうするかな？
　女性が沢山暮らしている所に5人の男子か・・・・

　・・・・
　・・・
　・・
　・

　この部屋に50名強の人間が集まった。
　結局この街へ来た全員が、此処に集まった事になる。
　流石に右も左も分からないから、来たんだろう。

「これで全員？じゃあ今から色々話をする。みんなで話し合ってもらう事もあると思うから、そのつもりで。」
「皆さん？口田さんの説明の通り色々話をするわね。但し、しっかり聞いてね？今後の運命を決めてしまう可能性もあるぐらい重要だから。」

　さわ、流石は先生だ。じゃあ始めようかな？

「まず、ここは日本じゃあないという事を忘れないでほしい。恐らく常識も違うと思う。そして、この異世界ではスキルというものが存在し、それのあるなしで大きく人生を左右してしまう・・・・らしい。なのでしっかり話を聞いてほしい。そしてこれからどうしたいか、君達の希望も聞いていきたい。」

　何てったって、ここは異世界。
　大人しく生活をしたいのか、ダンジョン等に挑みたいのか。
　先ずはこの辺りから聞かないとな。