酔っぱらった神のせいで美醜が逆転している異世界へ転生させられた！

ジュリグー魔法学院

第98話 頭上の異変に誰も気が付いていないようです

　Side  ？？？

「さあ準備はできた。いつでも行けるぞ！」
　いつもの2柱、その親父の方である。
「私も準備が終わりましたぞ父上。今日こそは成功させましょう！」
　それに応えたのは息子。
「良いか、あくまでわしらは偶然アイツの目の前でこけるのだ。そして手にしていたナイフで偶然アイツの胸にこうブスッとな・・・・」

「素晴らしいですな私も一応用意をしておきましょう。万が一の時は私も転倒するかもしれませんからな！」

　この2柱、神は人間に直接干渉できない事に、それも危害を加えるなど以ての外なのだが、偶然をよそい下界に降臨している時にショースケを殺めようとしているのだ。

　そんな2柱を見ているもう1柱の神。

【馬鹿かアイツら。本気で人間に直接危害を加えようとしているらしいが、偶然を装う？無理だな。その前に我らはその身に禁止事項の一部が働き苦しむ事になるというのがわかっておらんようだな。一度ならず何度も繰り返しておるというのに学ばん奴らだ。それよりもあの坊主が気になるな。あれは何故ああも平然としているのだ？】

　坊主とはベティーナの事である。

　禁止事項が働くはずなので心配はしていない。
　万が一の場合も前もって渡してある装備が身を守ってくれるはず。
　だから安心してあの2柱の愚かな行為を見ているのだ。
　万が一の時はあの2柱に干渉するつもりでもある。

　そして賭けに負けた方があの2柱を地上に下ろす準備をしている。

「おい、数日だけだぞ。今から正常に戻す。」

　この神こそ、ショースケが転生した世界の美醜を無理やり逆転させた張本人、いや神なのだ。

　そしてそれを解除したのちにあの2柱は地上に降臨する手はずとなっている。

　地上の視察と言う名目のショースケの暗殺が目的と言う救いがたい愚かな神だ。

　そして2柱は地上に、ショースケ達がいると思われる付近に降りたった。

　・・・・
　・・・
　・・
　・


　最初に異変に気が付いたのはショースケだった。

　授業が終わり、6人で寮に戻る最中。

　何やら急に違和感を感じ、ふと頭上を見上げると何かが輝いている。
　それが徐々に大きくなってきているのが見えた。

　そして身体に感じる違和感。
　サティ4姉妹とニネットさんを見るも特に違和感を感じないが、向こうは僕を見て何かを感じたようです。

「ショ、ショースケさん？」

　何だかわからないけれど、僕を見て大きく目を見開き、信じられないものを見るかのような目で見ています。
「え？何その顔どうしちゃったの？」

　僕の顔に何か違和感が？ニネットさんが驚いています。
　だけどそれどころではありません。
　このままだと頭上にあの光が落ちてくるのは避けられないように感じたからです。

「なんだかおかしい！みんな頭上の光に気を付けて！」

「何を言っているの？何もないわよ？」
「そうよショースケ。それにショースケ何かへんよ。」
「お兄ちゃん、いつもと違う！」

　クラリーヌさんとカロリーヌさん、キラリーヌちゃんまで僕を見て信じられないものを見た様な表情をしています。

　だけどもうあの光はすぐそこに。

「僕を信じて！」

　僕は5人の手を取りそのまま移動していきます。
　間に合えばいいんだけど。