上 下
42 / 55

第42話 見知った人達が居た

しおりを挟む
 早速受付をしようと思ったが、先客がいたようだ。

 見た事がある人のような気がするものの思い出せない・・・・誰だっけなあ。
 それとなく見ていたが思い出した、レナートだ。
 1人か?それにしても何だか雰囲気が違うじゃないか。
 何故わかるのに時間がかかったかと言えば、彼女は軽装だったからだ。

 俺の知る限り、ダンジョンでは常に鎧姿だった。
 なので最初彼女とは気が付かなかった。

 それに何だか髪型も違ったような?
 元の髪型なんだっけ?
 ヘルメット姿だったから見ていなかった!

 で、レナーテは受付の女性に何か聞いているようだ。

「・・・・ティモ氏が戻ってきたら必ず知らせてくれ。我々はクランハウスに人を常駐させている。」
「分かっていますよ。」

 ・・・・俺なんかしたか?

 彼女は何だか気落ちした雰囲気で冒険者ギルドを後にした。
 尤も俺とすれ違う時、立ち止まって俺をジーッと見ていたが、俺とは気が付かなかったようだ。

 入れ違うように俺は受付へ向かった。

「ようこそ冒険者ギルドへ。どの様なご用件でしょうか。」
「済まないが彼女を登録してほしい。」
 流石に桜は冒険者として活動していた訳ではないので、今後擬態して活動するには登録しておいた方がいいと思ったからだが、本当に登録できるのだろうか。

「畏まりました。では冒険者登録するに・・・・」

 桜は冒険者として登録が出来た。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

「次なのだが、魔石を売りたい。」
 ダンジョンで魔物を仕留めた後に得られる魔石。
 かなりあったので、一部を換金する事にした。
 本来であれば全部所持しておきたい所だが、街で暮らすには金がかかる。
 冒険者として活動するにも金がかかる。
 いつもは薬草採取等で食いつないでいたが、折角ダンジョンで活動できるようになったからには、より効率の良い魔石を売った方が沢山金が手に入る。
 そうは言ってもダンジョン内でたっぷりアイテムを手にしているから、それらを売ればもっと金を稼ぐ事は出来るが、実際ダンジョンで得たアイテムって、そうそう市場には流れない。
 特に魔法を使う事が出来る魔道具はよほどの事が無い限り流出しない。
 そうは言っても余分があれば売る冒険者がいない訳ではない。
 そう言うのはオークションで扱う事が多いようだ。
 時間はかかるが一番高値で売れる販売形式・・・・いかんいかん、脱線した。

「・・・・こちらが魔石の代金となります。」

 見た事の無い金額だ。
 薬草採取で得られる金は微々たるものだ。
 毎日休みなく採取しに行かないと、とてもではないがまともな暮らしはできない。
 精々銀貨10枚程度(1万円)ぐらいしか稼ぐ事が出来ない。
 そうそう、銀貨10枚は小金貨1枚と同等の値段だ。
 で、今回提示された代金は、金貨10枚。
 因みに金貨1枚は小金貨10枚だ。
 つまり俺は日本円にしてざっくり100万円得たって事だ。
 それも手持ちの極一部だけしか売っていないというのに。

 俺は金をカードへ入金してもらっていたが、背後から肩を掴まれた。
「おうおうにーちゃん、景気がいいなあ。俺になんか奢ってくれよ。」
 俺は振り返ってそいつを見た。
 俺をダンジョンの視えない壁に押し付けた奴だった。
 すっかり忘れていたのに、思い出した。
 すると何だか腹が立ってきた。

●   作者からのお知らせ  ●

ここまで読んで下さりありがとうございます。
ストックが切れたタイミングで、プライベートですが仕事が忙しくなってしまい、残業で帰りが遅くなってしまっています。
残業がある日に執筆活動はかなり厳しいので、次の更新は週末になりそうです。
時間が取れれば何とか投稿していきたいですが、現実的に厳しそうです。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

龍騎士イリス☆ユグドラシルの霊樹の下で

ウッド
ファンタジー
霊樹ユグドラシルの根っこにあるウッドエルフの集落に住む少女イリス。 入ったらダメと言われたら入り、登ったらダメと言われたら登る。 ええい!小娘!ダメだっちゅーとろーが! だからターザンごっこすんなぁーーー!! こんな破天荒娘の教育係になった私、緑の大精霊シルフェリア。 寿命を迎える前に何とかせにゃならん! 果たして暴走小娘イリスを教育する事が出来るのか?! そんな私の奮闘記です。 しかし途中からあんまし出てこなくなっちゃう・・・ おい作者よ裏で話し合おうじゃないか・・・ ・・・つーかタイトル何とかならんかったんかい!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...