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第二章

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「さてと、それじゃあまずは自己紹介からしなくちゃね。僕はクリストファー。まだ洗礼名はもらえてないんだけれどね、見習いだから。あと家名はここでは身分なんて関係ないから話さないことになってるんだ。なので、僕のことはクリスとかクリストファーとかで呼んでくれればいいよ」
「俺はファッカール。クリスとはほぼ同時期にここの修道院に入ったんだ。同じく見習いなので洗礼名は持ってない。あと、俺の名前は言いにくいだろうから適当に縮めて呼んでくれていいぞ」

部屋を出るなり、栗色の髪の青年がにこやかに微笑んでそう言い、それに続いて灰色の髪の青年も自己紹介してくれる。

「成程な。そんな感じになっているのか。じゃあ、俺もクリスとそうだな、ファルって呼ばせてもらおうかな。あ、俺はラルフだ」
「うん。知ってるよ。ラルフ・クレイン君。凄く目立ってたもんね、いい意味でも悪い意味でも」
「え……?」

クリスの言葉に思わず困惑した声をあげてしまう。良い意味でも悪い意味でも凄く目立ってたって、どういう意味だろうかと。そんな俺の様子を見て、クリスとファルは顔を見合わせて、くすりと楽しげに笑みを浮かべた。

「やっぱりわからないかー」
「まあ、仕方ないだろうな」
「まあね」
「あ、あの……?」
「ああ、御免、御免。困らせるつもりはないんだよ。ただ僕達は以前から君のこと知ってたからさ」
「知ってた?」
「うん、だって僕達二人とも」
「同じクラスメートだったからな、学院で」
「え?」

今、二人はなんて言った?
同じクラスメートだった?
学院時代に?

………え?

「ええええええええっ!?」
「ラルフ、声っ。声が大きい!」
「あ、むぐっ!」

突然の真実に、思わず大声をあげてしまった俺は慌てて注意してくれたファルの言葉に自分で自分の口を塞いだ。けれど、これには本当に驚いた。まさか、二人が学院時代の俺のクラスメートだってなんて思いもしなかったから。そんな俺の様子に、クリスは可笑しそうに笑いながら言葉を続ける。

「あははっ、やっぱり覚えてなかったか。まあ仕方ないよね。僕達は身分が違い過ぎてその頃のラルフの目にも止まらないような存在だっただろうし」
「あ……その、御免。俺……」

そうだった。学院の時代の俺はグレイシス王子に愛されることに必死で他の奴のことなんて見てなかった。元々身分の低い者と接するつもりなんてないような奴だったし、取り巻きのことだってルイスに対する嫌がらせの為の良い道具ぐらいにしか思ってなかったから。きっと、二人の目からも凄く嫌な奴に見られていただろうなと思えば、自業自得とは言えつい気分が落ち込んでしまう。

けど、最初の紹介された時にクリスが俺を見て驚いていたのはそういうことだったんだなと納得もした。それと同時に嫌な思いもさせてしまったんじゃないかとも思えば、申し訳なさに俯いてしまう。けれど、クリスはきょとんとした様子で首を傾げていた。

「え?なんで謝るの?」
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