18 / 67
第二章
絶対に逃がさない(グレイシス視点)1
しおりを挟む
俺、グレイシスが、その話を父上であるアルゼンシア王国現国王ラディウスから聞いたのは、ラルフが国を出たとされてから三日後の話だった。
「それは一体どういうことですか?父上」
王の間にいるのは、俺と双子の弟のアルムレディン。そして、父上ともう一人の父上である王夫のサラディンだけだった。
「どういうこともこういうこともないだろう。先日クレイン公爵とその夫が二人で王城に来てな。お前のラルフの婚約を解消して欲しいとの申し出を受けた。その代わりに、ルイスが今後はお前の婚約者を務めるとな」
ラルフが、俺との婚約を解消?
代わりにあのルイスが俺の婚約者になる?
そんな馬鹿な。
「待ってください、それだは俺とラルフの初夜はどうなるのですか!?」
「あるわけないだろう!というか今の話を聞いて言うことがそんな事なのかお前は!?」
「大事なことじゃないですか!」
この十数年間、ずっと待っていたんだぞ、俺は!?
ラルフに正式に手が出せる日を!!
俺とラルフが出会ったのは、俺が八歳でラルフが七歳の時だった。その日は親同士が決めた婚約者に紹介される日で、正直俺は全く乗り気ではなかったんだ。自分の伴侶となる相手は自分で決めたいと思っていたから。けれど、第一王位継承者であるおれにそんな我儘は許されるはずもなく。渋々顔合わせの場に姿を見せて、俺の婚約者だというクレイン公爵家の三男ラルフと出会ったんだ。
こいつだ。
会った瞬間、俺はすぐにそう感じた。意志の強そうな琥珀の瞳にサラサラと風になびく赤紫の髪、白い陶器のような肌。本当はあった瞬間に断ってやろうかとも思っていたのに、そんな気持ちは一瞬で消え失せていた。代わりにこいつが欲しいと強く思ったんだ。こいつが、こいつの全てが欲しいと。子供ながらに体の芯が疼く様なそんな感覚を覚えた。
俺の婚約者にこいつを選んでくれた父上には、今まで感じたことのない程の感謝を送って、目の前の婚約者を見つめる。すると、俺と目が合ったラルフは、少し恥ずかしそうに微かに頬を褒めてはにかんだ。
「あ、あの。宜しくお願いします。グレイシス殿下。ずっと殿下に憧れていたので、こうして殿下の婚約者として選ばれてとても嬉しいです。精一杯、殿下のお相手を務めさせていただきますので宜しくお願いします」
なんて、嬉しそうに可愛らしくそんなことを言うものだから、次の瞬間には体中がカーッと熱くなって抑え切れない欲求を覚えた俺は。
「本当に俺の相手を務めてくれるのか?」
「はいっ」
「じゃあ、今すぐベッドへ行くぞ」
「ベッド?ベッドでお話するのですか?」
「ああ。そうだ。体を使ってベッドで大人の話を」
次の瞬間には、何か恐ろしい形相になっていたサラディン父上に頭を叩かれ、同じ様に般若のような形相を浮かべたクレイン公爵の夫殿と一緒になって、庭園で健全に遊ぶように!と強く言い渡されてしまったんだった。
全く何がいけないんだ。
ラルフは俺の婚約者なのだろう。
婚約者同士なら愛し合って同然じゃないか。
なんて不満げに考えながら隣を歩くラルフへと視線を向ける。ああ、可愛いな、ラルフ。本当にすべてが可愛くて愛しい。こんな存在がこの世にいたなんて思わなかった。こうして隣を恥ずかしそうに歩いている姿だけでも愛らしいんだ。色々なところに触れたらもっと愛らしい反応を見せてくれるんだろうな。ああ、とても可愛いだろうな。初めて知る感覚に戸惑いながらも、きっと恥じらいながら愛らしい嬌声を上げてくれるんだろうな。俺の下でどんな風に乱れてくれるんだろう。まずいな、本当にこの場で押し倒したくなってきた。まあ、サラディン父上達が一緒について来ているので出来ないんだが。
実に不服だ。
まあ仕方ない、機会なんていつでもあるだろうから今日は諦めよう。
別にフェイル殿の表情が、笑顔なのに恐ろしいから怖かったわけじゃ決してないぞ。
「それは一体どういうことですか?父上」
王の間にいるのは、俺と双子の弟のアルムレディン。そして、父上ともう一人の父上である王夫のサラディンだけだった。
「どういうこともこういうこともないだろう。先日クレイン公爵とその夫が二人で王城に来てな。お前のラルフの婚約を解消して欲しいとの申し出を受けた。その代わりに、ルイスが今後はお前の婚約者を務めるとな」
ラルフが、俺との婚約を解消?
代わりにあのルイスが俺の婚約者になる?
そんな馬鹿な。
「待ってください、それだは俺とラルフの初夜はどうなるのですか!?」
「あるわけないだろう!というか今の話を聞いて言うことがそんな事なのかお前は!?」
「大事なことじゃないですか!」
この十数年間、ずっと待っていたんだぞ、俺は!?
ラルフに正式に手が出せる日を!!
俺とラルフが出会ったのは、俺が八歳でラルフが七歳の時だった。その日は親同士が決めた婚約者に紹介される日で、正直俺は全く乗り気ではなかったんだ。自分の伴侶となる相手は自分で決めたいと思っていたから。けれど、第一王位継承者であるおれにそんな我儘は許されるはずもなく。渋々顔合わせの場に姿を見せて、俺の婚約者だというクレイン公爵家の三男ラルフと出会ったんだ。
こいつだ。
会った瞬間、俺はすぐにそう感じた。意志の強そうな琥珀の瞳にサラサラと風になびく赤紫の髪、白い陶器のような肌。本当はあった瞬間に断ってやろうかとも思っていたのに、そんな気持ちは一瞬で消え失せていた。代わりにこいつが欲しいと強く思ったんだ。こいつが、こいつの全てが欲しいと。子供ながらに体の芯が疼く様なそんな感覚を覚えた。
俺の婚約者にこいつを選んでくれた父上には、今まで感じたことのない程の感謝を送って、目の前の婚約者を見つめる。すると、俺と目が合ったラルフは、少し恥ずかしそうに微かに頬を褒めてはにかんだ。
「あ、あの。宜しくお願いします。グレイシス殿下。ずっと殿下に憧れていたので、こうして殿下の婚約者として選ばれてとても嬉しいです。精一杯、殿下のお相手を務めさせていただきますので宜しくお願いします」
なんて、嬉しそうに可愛らしくそんなことを言うものだから、次の瞬間には体中がカーッと熱くなって抑え切れない欲求を覚えた俺は。
「本当に俺の相手を務めてくれるのか?」
「はいっ」
「じゃあ、今すぐベッドへ行くぞ」
「ベッド?ベッドでお話するのですか?」
「ああ。そうだ。体を使ってベッドで大人の話を」
次の瞬間には、何か恐ろしい形相になっていたサラディン父上に頭を叩かれ、同じ様に般若のような形相を浮かべたクレイン公爵の夫殿と一緒になって、庭園で健全に遊ぶように!と強く言い渡されてしまったんだった。
全く何がいけないんだ。
ラルフは俺の婚約者なのだろう。
婚約者同士なら愛し合って同然じゃないか。
なんて不満げに考えながら隣を歩くラルフへと視線を向ける。ああ、可愛いな、ラルフ。本当にすべてが可愛くて愛しい。こんな存在がこの世にいたなんて思わなかった。こうして隣を恥ずかしそうに歩いている姿だけでも愛らしいんだ。色々なところに触れたらもっと愛らしい反応を見せてくれるんだろうな。ああ、とても可愛いだろうな。初めて知る感覚に戸惑いながらも、きっと恥じらいながら愛らしい嬌声を上げてくれるんだろうな。俺の下でどんな風に乱れてくれるんだろう。まずいな、本当にこの場で押し倒したくなってきた。まあ、サラディン父上達が一緒について来ているので出来ないんだが。
実に不服だ。
まあ仕方ない、機会なんていつでもあるだろうから今日は諦めよう。
別にフェイル殿の表情が、笑顔なのに恐ろしいから怖かったわけじゃ決してないぞ。
2,142
お気に入りに追加
3,726
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
無愛想な彼に可愛い婚約者ができたようなので潔く身を引いたら逆に執着されるようになりました
かるぼん
BL
もうまさにタイトル通りな内容です。
↓↓↓
無愛想な彼。
でもそれは、ほんとは主人公のことが好きすぎるあまり手も出せない顔も見れないという不器用なやつ、というよくあるやつです。
それで誤解されてしまい、別れを告げられたら本性現し執着まっしぐら。
「私から離れるなんて許さないよ」
見切り発車で書いたものなので、いろいろ細かい設定すっ飛ばしてます。
需要あるのかこれ、と思いつつ、とりあえず書いたところまでは投稿供養しておきます。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
異世界転生して病んじゃったコの話
るて
BL
突然ですが、僕、異世界転生しちゃったみたいです。
これからどうしよう…
あれ、僕嫌われてる…?
あ、れ…?
もう、わかんないや。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
異世界転生して、病んじゃったコの話
嫌われ→総愛され
性癖バンバン入れるので、ごちゃごちゃするかも…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる