8 / 12
第2話『歌舞伎デレヴニヤに爆乳刑事参上!?』
2
しおりを挟む
「にゃにゃにゃにゃ、オタクども生存しちゃってるじゃん!」
「なるほど……血の匂いのしない事件。最近よくあるパティーンですね」
「にゃー、おもしろくないおもしろくない! ぜんぶぜーんぶ解決されちゃって! めだつ場面がないじゃない!」
「まぁまぁ、そう荒ぶらずに。バトルヘリで現場急行、十分注目の的、イットな爆乳刑事ですよ、中尉殿は」
「にゃ? そうはおっしゃるでしょうけども、最近のツァイトガイストはみんなみんな無事に救出されちゃって。また、仮面の3人組ってやつかしら?」
「どうでしょう…… ひとまず聞き取り調査を続けますね」
ライブハウス周辺には、逃げ出してきたスタッフ数名と、大量のアイドルたちがいた。特に、何人かのアイドルはびいびい泣いていて、ネオププのイライラは高まっていく。
大衆炭酸ドリンクの珍妙な衣装に身を包んだゴルバチョフ嬢の狼狽は特にひどく、キンツーを困らせた。首に怪我をしたようで、駆けつけた救急隊員による治療を受けているところだ。
退廃した官僚システムにおいても、救急医療のインフラは迅速だったりして、人民の気質のあらわれでもある。
「えぐっえぐっ、私たちがぁ、アンディWOWホル音頭を踊っていたらぁ、えぐっ」
「ハラショー」
「えぐっ、オタクさんたちがぁ、突然白豚にぃ、えぐっ」
「ハラショー」
「えぐっ、いやァ、白くてまぶしくなっちゃってぇ」
「ハラショー」
「それデェ、首がぁ、こんな痛くなっちゃってぇ、えぐ。ぴええええええん」
「にゃにゃにゃにゃー!!! いつまでも泣いてんじゃないだわよ! あーうっさいうっさいうっさい!」
「ヒィンっ!」
再びの恐怖に体を振動させるG嬢。
「まぁまぁ、彼女は怪我もしているんですし……首は大丈夫ですか?」
包帯のすきまからは、リング状の青白い痣がみえる。
チョーカーの形をした、一生残る傷は、彼女のコンプレックスとして、人間形成に大きな影響を与えてゆくのだろうか。
G嬢が背負う十字架となり、重くのしかかるのか。
服装で無理やり隠したり、人の目を見て話せなくなったり……
キンツーは自己顕示欲を拗らせたあはれな少女に同情もしてみたりして、するどい目を細めたが、ネオププは気にしない。
「にゃ、何が起きたのよ、話してみなさいよ。どうせ野蛮な仮面の男たちがあらわれたんでしょ?」
「ピエ、私の首を化け物が締めてきて、でもなんか変な顔をした彼はドロップキックをしてきて、エグッ、でもなんかずっと白いスモークで、あんまよくわからなくて、痛くて、でもピエ!」
「…………やはり彼らですかね」
「にゃ。もういいわよ。これ以上情報はなさそうね。オタク野郎もどうせ、ツァイトガイストになっていたのなら、時間の無駄無駄。撤収にゃ」
「……ハラショーしました。嬢、ありがとうございます。首、おしゃれですよ」
少しは気遣いのできる、繊細さはキンツーの持ち味だ。
ツァイトガイスト現象の結末は、精神の自殺。
外傷のない、突然死体を発見することになる。
……今夜の歌舞伎デレヴニヤに、死体はみあたらなかった。
「なるほど……血の匂いのしない事件。最近よくあるパティーンですね」
「にゃー、おもしろくないおもしろくない! ぜんぶぜーんぶ解決されちゃって! めだつ場面がないじゃない!」
「まぁまぁ、そう荒ぶらずに。バトルヘリで現場急行、十分注目の的、イットな爆乳刑事ですよ、中尉殿は」
「にゃ? そうはおっしゃるでしょうけども、最近のツァイトガイストはみんなみんな無事に救出されちゃって。また、仮面の3人組ってやつかしら?」
「どうでしょう…… ひとまず聞き取り調査を続けますね」
ライブハウス周辺には、逃げ出してきたスタッフ数名と、大量のアイドルたちがいた。特に、何人かのアイドルはびいびい泣いていて、ネオププのイライラは高まっていく。
大衆炭酸ドリンクの珍妙な衣装に身を包んだゴルバチョフ嬢の狼狽は特にひどく、キンツーを困らせた。首に怪我をしたようで、駆けつけた救急隊員による治療を受けているところだ。
退廃した官僚システムにおいても、救急医療のインフラは迅速だったりして、人民の気質のあらわれでもある。
「えぐっえぐっ、私たちがぁ、アンディWOWホル音頭を踊っていたらぁ、えぐっ」
「ハラショー」
「えぐっ、オタクさんたちがぁ、突然白豚にぃ、えぐっ」
「ハラショー」
「えぐっ、いやァ、白くてまぶしくなっちゃってぇ」
「ハラショー」
「それデェ、首がぁ、こんな痛くなっちゃってぇ、えぐ。ぴええええええん」
「にゃにゃにゃにゃー!!! いつまでも泣いてんじゃないだわよ! あーうっさいうっさいうっさい!」
「ヒィンっ!」
再びの恐怖に体を振動させるG嬢。
「まぁまぁ、彼女は怪我もしているんですし……首は大丈夫ですか?」
包帯のすきまからは、リング状の青白い痣がみえる。
チョーカーの形をした、一生残る傷は、彼女のコンプレックスとして、人間形成に大きな影響を与えてゆくのだろうか。
G嬢が背負う十字架となり、重くのしかかるのか。
服装で無理やり隠したり、人の目を見て話せなくなったり……
キンツーは自己顕示欲を拗らせたあはれな少女に同情もしてみたりして、するどい目を細めたが、ネオププは気にしない。
「にゃ、何が起きたのよ、話してみなさいよ。どうせ野蛮な仮面の男たちがあらわれたんでしょ?」
「ピエ、私の首を化け物が締めてきて、でもなんか変な顔をした彼はドロップキックをしてきて、エグッ、でもなんかずっと白いスモークで、あんまよくわからなくて、痛くて、でもピエ!」
「…………やはり彼らですかね」
「にゃ。もういいわよ。これ以上情報はなさそうね。オタク野郎もどうせ、ツァイトガイストになっていたのなら、時間の無駄無駄。撤収にゃ」
「……ハラショーしました。嬢、ありがとうございます。首、おしゃれですよ」
少しは気遣いのできる、繊細さはキンツーの持ち味だ。
ツァイトガイスト現象の結末は、精神の自殺。
外傷のない、突然死体を発見することになる。
……今夜の歌舞伎デレヴニヤに、死体はみあたらなかった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした
think
ファンタジー
ざっくり紹介
バトル!
いちゃいちゃラブコメ!
ちょっとむふふ!
真面目に紹介
召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。
そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。
ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。
皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは
リビングメイルだった。
薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが
マモリタイ、コンドコソ、オネガイ
という言葉が聞こえた。
カイは迷ったが契約をする。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
225日のコウフク論
青山惟月
キャラ文芸
宇宙人に人類が降伏させられた近未来。
宇宙人が町中を歩くことはごく当たり前の日常。
ヒロイン、逢瀬 真都(おうせ まこと)は大の男嫌いな女子高生。幼い頃から男性に触れられただけで呼吸が苦しくなる症状を抱えていた。
そんな彼女の元に、小さい頃自宅でホームステイをしていた女の子が現れる。
しかし、彼女には絶対にバレてはいけない秘密があった。
このお話には百合要素を含みます。苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる