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第2話「アーティのリアル・ダンス」
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「何よ、そんな落ち込まなくたって、いいじゃない?」
「拒否とか拒絶に慣れてないんですよ!」
「そんなんじゃないでしょ、あのおじさんたちは。
バイク冒険者だから、街から街へ、遠距離移動の日々。
アーティには詳しくないのよ」
「それはそうですけど。今日は良い波に乗ってないな、って、勢い削がれますよね」
「縁起なんか気にして、柄でもない!」
——男の繊細さに疎い女だ。
冒険者ギルドは開場前から行列ができていて、10時を回ってもすぐに入場はできなかった。
ようやく中に入ると、なかなかごった返している。
冒険者ギルドの機能は主に3つ。
①冒険者のアドミニストレーション。
登録や、ランク管理を行う。
②クエストの公募。
文字通り。
③報酬の交換。
戦利品と貨幣を交換する。
混乱しないように、それぞれ窓口が違っていて、朝から混雑するのは②だ。
クエストには誰でも参加できる「オープン・クエスト」と、参加人数に制限がある「クローズド・クエスト」がある。
人数制限があるクエストには好条件のものが多いため、我先にと冒険者が殺到する。
用意周到なパーティは、ビラをチェックする人、受付に並んでおく人で、役割分担したりする。
なんでこんな細かいことに詳しいのかって?
勇者パーティ時代、パシリさせられてたからな。
昔はどうだったか知らないが、最近の帝国領内では冒険者の管理は徹底されている。
冒険者といったって、自由じゃないんだ。
俺たちは、初回登録なのでややこしい......
まず、①でパーティ登録して、③で戦利品を鑑定・売却し、①でランクを登録する。
急いでいるわけじゃないが、本当にお役所仕事だな、ガストロ帝国の統治ってやつは......
「めんどくさいわね......! 何回も何回も列に並ばされて!」
早速ゼッピが似たようなぼやきをした。
創造性のない、素直な発言だ。
俺はそんなつまらないこと、わざわざ言葉にしなかったんだが。
「パーティの名前決めなきゃですね」
「リーダーも、か。君、よろしくね」
「はあい? 俺、シェフだからサポートメインなんですけど」
「バトルじゃなくて、ご飯を売って賞金王めざすわけでしょ? シェフが責任取るのよ」
「俺がやろうっていったわけじゃないのに......」
「また、つまらない態度ね! そういうの、よくないよ」
「そりゃ、そうですけど......」
「それにスキルも覚醒したみたいなもんじゃない!? 自信持ちなさいよ」
「......わかりましたよ」
「名前は……シンプルに【マドリーのフードトラック】にしましょ!」
「店の名前ですね」
「どっちにも使えるわよ」
ーーーーー
「わわ、これはずいぶん高価そうな、ジャンクなんですことね!」
黒縁の眼鏡を持て余した受付嬢が不思議な口調で驚いた。③報酬交換の窓口である。
自分が眼鏡っ子だって十分に自覚しているから、こんな口調なんだろうな。
昔、勇者パーティの誰かがいってたな。
「大人になったら、自分がどう見られているか、認識しないと痛い」なんて。
あぁ。社会性を振りかざす。
いつも人を縛ろうとする。怒りっぽいプリーストのキレイラだ。
今ごろどうしているんだろうな?
ストレイと仲良くやっているんだろうか?
やっぱり、あいつらデキてたのかな?
「まだまだ、魔導車両にあるから、鑑定してくれない?」
「あらあら、スタッフに行かせますことね!
うぉら! おまえら、表に出ろぃ!」
「あ、じゃ、俺外みてきますね、ゼッピさんは申込書とかもろもろ、お願いします」
「ったく、めんどいわね......」
「誰かマホトラみないと」
「君がどっちもやれっていってんの!」
「うわ、ひどい」
「わわ、登録したてでケンカはやめますことよ!
私のために争わないで!」
俺はいろいろ観念した。
「......とりあえず外、いってきます。申込書は戻り次第俺がやるでもいいですから」
「はい~」
ーーーーー
結局ゼッピも受付嬢もなぜか外までやってきた。
なら、あんな言い争い、する必要ないのでは......?
それはさておき、魔導車両に戻ってみると、人だかりができている。
冒険者たちの物見遊山かと思いきや、小綺麗で、全身の色は統一されていて、たたずまいも、やや異なっている。
所作にラフさがないし、目はマスクに覆われ、視線が見えない。
——バイカーのおじさんたちがいってた、帝国兵か?!
「あのぉ、魔導車両、なんかあります?」
2人か。片方に聞いてみた。
「お前が、持ち主か」
ゼッピとはまた違うニュアンスで、高圧的だ……
受付嬢は「典型」を守るあまり、やや常軌を逸していたが、こちらはオーソドックス。
「帝国兵」と聞いたら、10人中8人が、こういう態度を思い出すんじゃないか?
「一応......そうですけど」
「ずいぶん珍しいタイプだな」
「え? 登録は済んでいるのか?」
2人の帝国兵が畳み掛けるように問い詰めてくる。
「今ちょうどギルドでパーティを申請してきたところなんで......」
帝国領内では、魔導車両を使用するには、冒険者ギルドへの登録が必要だ。
もちろん、ギルドへの移動に使用するのは例外的に許される。
それに、制度の運用にも差があり、アグリガルは本国ではないため、ゆるいはずだが......
「攻撃型のマホトラは! ギルドのエントリーだけじゃダメなんだよ!」
「......そんなの聞いたことないですけど。それに、攻撃型じゃないですし」
「戦争の放出品! レトロだろぅ、こいつは?!」
「攻撃に使えるだろ」
「いや、外見は危険ですけど、中はリラックス仕様で......」
「ちょっと! ギルドの前で騒がないことよ! まずは鑑定しますので!」
受付嬢、やる!
「フン、アグリガルの冒険者ギルドか......」
「それに、ずいぶん貴重なジャンクパーツを積んでるじゃないか、ええ?!」
「こんな宝の山、どうやって手に入れたんだ?! 怪しいなぁ、おい!」
『と・り・あ・え・ず。ギルド権限で鑑定しますので!』
受付嬢が強く息を吐いた。
『冒険者特権の範囲でしょ!!』
ゼッピも負けていない。
この世界はホント、圧の強い女性が活躍している......
しかし、その圧に、父権的な男性は押されてしまうのだ。
それは論理ではない何かであろう。
「? お前は......?」
「くっ、まあいい。ここは引いてやる」
「うーむ、ま、不用意な行動には、せいぜい注意することだな」
語尾だけ取り出せば、受付嬢と似ているが......
ほとんどならず者の口調で威嚇して。
しかし、冒険者たちの目もあってか、帝国兵たちは去っていった。
ゼッピを見て、何か気づいたような様子もあったが......
「ふう、災難ですことね。目をつけられると厄介ですことよ」
「帝国の支配も、強くなっているのね」
「疫病対策を口実に、アーティも自由を失ってしまっているのですことよ」
「......嫌な奴らですね」
そう、オルステの勇者パーティにいた頃は、こんな風に威圧されたことはなかった。
「名の知られてないパーティには厳しいのよね」
「癒着しないと、やりにくいことですのよね、世知辛い......」
「なかなか、0からのスタートは厳しいんですね。とりあえず、鑑定、お願いします」
「これは......なかなか時間かかりそうですことね、先にランチでも済ませてきては?」
「さっき食べたばかりですからね」
「えー、お腹空いたわよ!」
「はや!」
「魔導は体力消耗するの!」
「使ってないじゃないですか」
「い・い・か・ら。アーティの名店でも探しましょ」
「あ......そうだ、今度こそ!」
俺は受付嬢を見つめた。
「ア、ア、アーティの名物、教えてください!」
「拒否とか拒絶に慣れてないんですよ!」
「そんなんじゃないでしょ、あのおじさんたちは。
バイク冒険者だから、街から街へ、遠距離移動の日々。
アーティには詳しくないのよ」
「それはそうですけど。今日は良い波に乗ってないな、って、勢い削がれますよね」
「縁起なんか気にして、柄でもない!」
——男の繊細さに疎い女だ。
冒険者ギルドは開場前から行列ができていて、10時を回ってもすぐに入場はできなかった。
ようやく中に入ると、なかなかごった返している。
冒険者ギルドの機能は主に3つ。
①冒険者のアドミニストレーション。
登録や、ランク管理を行う。
②クエストの公募。
文字通り。
③報酬の交換。
戦利品と貨幣を交換する。
混乱しないように、それぞれ窓口が違っていて、朝から混雑するのは②だ。
クエストには誰でも参加できる「オープン・クエスト」と、参加人数に制限がある「クローズド・クエスト」がある。
人数制限があるクエストには好条件のものが多いため、我先にと冒険者が殺到する。
用意周到なパーティは、ビラをチェックする人、受付に並んでおく人で、役割分担したりする。
なんでこんな細かいことに詳しいのかって?
勇者パーティ時代、パシリさせられてたからな。
昔はどうだったか知らないが、最近の帝国領内では冒険者の管理は徹底されている。
冒険者といったって、自由じゃないんだ。
俺たちは、初回登録なのでややこしい......
まず、①でパーティ登録して、③で戦利品を鑑定・売却し、①でランクを登録する。
急いでいるわけじゃないが、本当にお役所仕事だな、ガストロ帝国の統治ってやつは......
「めんどくさいわね......! 何回も何回も列に並ばされて!」
早速ゼッピが似たようなぼやきをした。
創造性のない、素直な発言だ。
俺はそんなつまらないこと、わざわざ言葉にしなかったんだが。
「パーティの名前決めなきゃですね」
「リーダーも、か。君、よろしくね」
「はあい? 俺、シェフだからサポートメインなんですけど」
「バトルじゃなくて、ご飯を売って賞金王めざすわけでしょ? シェフが責任取るのよ」
「俺がやろうっていったわけじゃないのに......」
「また、つまらない態度ね! そういうの、よくないよ」
「そりゃ、そうですけど......」
「それにスキルも覚醒したみたいなもんじゃない!? 自信持ちなさいよ」
「......わかりましたよ」
「名前は……シンプルに【マドリーのフードトラック】にしましょ!」
「店の名前ですね」
「どっちにも使えるわよ」
ーーーーー
「わわ、これはずいぶん高価そうな、ジャンクなんですことね!」
黒縁の眼鏡を持て余した受付嬢が不思議な口調で驚いた。③報酬交換の窓口である。
自分が眼鏡っ子だって十分に自覚しているから、こんな口調なんだろうな。
昔、勇者パーティの誰かがいってたな。
「大人になったら、自分がどう見られているか、認識しないと痛い」なんて。
あぁ。社会性を振りかざす。
いつも人を縛ろうとする。怒りっぽいプリーストのキレイラだ。
今ごろどうしているんだろうな?
ストレイと仲良くやっているんだろうか?
やっぱり、あいつらデキてたのかな?
「まだまだ、魔導車両にあるから、鑑定してくれない?」
「あらあら、スタッフに行かせますことね!
うぉら! おまえら、表に出ろぃ!」
「あ、じゃ、俺外みてきますね、ゼッピさんは申込書とかもろもろ、お願いします」
「ったく、めんどいわね......」
「誰かマホトラみないと」
「君がどっちもやれっていってんの!」
「うわ、ひどい」
「わわ、登録したてでケンカはやめますことよ!
私のために争わないで!」
俺はいろいろ観念した。
「......とりあえず外、いってきます。申込書は戻り次第俺がやるでもいいですから」
「はい~」
ーーーーー
結局ゼッピも受付嬢もなぜか外までやってきた。
なら、あんな言い争い、する必要ないのでは......?
それはさておき、魔導車両に戻ってみると、人だかりができている。
冒険者たちの物見遊山かと思いきや、小綺麗で、全身の色は統一されていて、たたずまいも、やや異なっている。
所作にラフさがないし、目はマスクに覆われ、視線が見えない。
——バイカーのおじさんたちがいってた、帝国兵か?!
「あのぉ、魔導車両、なんかあります?」
2人か。片方に聞いてみた。
「お前が、持ち主か」
ゼッピとはまた違うニュアンスで、高圧的だ……
受付嬢は「典型」を守るあまり、やや常軌を逸していたが、こちらはオーソドックス。
「帝国兵」と聞いたら、10人中8人が、こういう態度を思い出すんじゃないか?
「一応......そうですけど」
「ずいぶん珍しいタイプだな」
「え? 登録は済んでいるのか?」
2人の帝国兵が畳み掛けるように問い詰めてくる。
「今ちょうどギルドでパーティを申請してきたところなんで......」
帝国領内では、魔導車両を使用するには、冒険者ギルドへの登録が必要だ。
もちろん、ギルドへの移動に使用するのは例外的に許される。
それに、制度の運用にも差があり、アグリガルは本国ではないため、ゆるいはずだが......
「攻撃型のマホトラは! ギルドのエントリーだけじゃダメなんだよ!」
「......そんなの聞いたことないですけど。それに、攻撃型じゃないですし」
「戦争の放出品! レトロだろぅ、こいつは?!」
「攻撃に使えるだろ」
「いや、外見は危険ですけど、中はリラックス仕様で......」
「ちょっと! ギルドの前で騒がないことよ! まずは鑑定しますので!」
受付嬢、やる!
「フン、アグリガルの冒険者ギルドか......」
「それに、ずいぶん貴重なジャンクパーツを積んでるじゃないか、ええ?!」
「こんな宝の山、どうやって手に入れたんだ?! 怪しいなぁ、おい!」
『と・り・あ・え・ず。ギルド権限で鑑定しますので!』
受付嬢が強く息を吐いた。
『冒険者特権の範囲でしょ!!』
ゼッピも負けていない。
この世界はホント、圧の強い女性が活躍している......
しかし、その圧に、父権的な男性は押されてしまうのだ。
それは論理ではない何かであろう。
「? お前は......?」
「くっ、まあいい。ここは引いてやる」
「うーむ、ま、不用意な行動には、せいぜい注意することだな」
語尾だけ取り出せば、受付嬢と似ているが......
ほとんどならず者の口調で威嚇して。
しかし、冒険者たちの目もあってか、帝国兵たちは去っていった。
ゼッピを見て、何か気づいたような様子もあったが......
「ふう、災難ですことね。目をつけられると厄介ですことよ」
「帝国の支配も、強くなっているのね」
「疫病対策を口実に、アーティも自由を失ってしまっているのですことよ」
「......嫌な奴らですね」
そう、オルステの勇者パーティにいた頃は、こんな風に威圧されたことはなかった。
「名の知られてないパーティには厳しいのよね」
「癒着しないと、やりにくいことですのよね、世知辛い......」
「なかなか、0からのスタートは厳しいんですね。とりあえず、鑑定、お願いします」
「これは......なかなか時間かかりそうですことね、先にランチでも済ませてきては?」
「さっき食べたばかりですからね」
「えー、お腹空いたわよ!」
「はや!」
「魔導は体力消耗するの!」
「使ってないじゃないですか」
「い・い・か・ら。アーティの名店でも探しましょ」
「あ......そうだ、今度こそ!」
俺は受付嬢を見つめた。
「ア、ア、アーティの名物、教えてください!」
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