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学校へ行こう

一応、座ってみるか……。

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 俺は考えた。
 玉座ってどこにあるんだ?
 どんな形だ?
 椅子だろうか?

 そこで俺は、キッチンの窓際にあたる場所まで後ずさった俺の影と妹の影の顔の向きを観察してみることにした。

「はんっ! そんな玉座なんていらないぜ! ちみっちゃい!」
「……?!」

 俺のハッタリに怒った感じの俺の影は、キッチンのとある椅子を見つめた。
 うぎっ! そこなのーー??
 今まで一度も座ったことがないや。
 確かその椅子って?
 窓の外からそよ風がカーテンの隙間から吹いてくる。

「はっ! お前は何もわかっちゃいない!! この椅子はなあ……」
「おにいちゃん!! それ以上は言っちゃダメ!!」

 ……ええい! 肝心な時に!! 我が妹の影め!!
 俺はすぐさま俺の影に飛び掛かった。
 俺は影の不意を突く。そのままの態勢から両手で倒れ込むかのような掌打を見舞いした。俺の影の両肩に思いっきり掌打がぶち当たり影が尻餅をついた。

「やったか!?」
「おにいーちゃーんーー!!」

 立ち位置を整えて心影流を構えた俺に俺の妹の影の上段回し蹴りが後頭部を狙う。
 が……。
「うんにゃー!」
 俺は右肘で妹の影の足を打ち返した。心影流は最強の超接近戦用の守りの技だ。不意打ちとかでない限り。誰にも破れない。

「我が妹の影よ! お前はこうだーーー!」
 カーテンで妹の影の顔面をグルグル巻きにした。
 そこで、俺は何気なしにその椅子に座ってみた。
 
 その椅子は……この家にいるはずのない人の古い椅子だった。
 確か……影に殺されたはずの俺の父さんの椅子だ。
 へ? この椅子が玉座なのか??
 冗談だろ?

 俺の父さんと母さんは影に殺されてしまっているからな。

 昔、我が妹があんまり寂しいからと、父さん用と母さん用の椅子だけをキッチンテーブルに置いていたんだ。

 一応、座ってみるか。

 俺は父さんの椅子に座ってみた。
 ……何も起きない……。
 うーん。埃っぽいなあ。

 その時、キッチンが激しい光に包まれ、美しい女神様が中空に現れた。

「影洋。よくやりましたね。あなたが次にすることは、影の王国へとまた戻り。そこでも玉座を守ることなのです。そうです。玉座は二つあるのです。ここは表の世界ですが。影の王国の勢力……つまり、影たちの活発な活動によって表の世界の住人も、中身は影の住人となってしまいました。もう表の世界の住人はどこにもいないのですね。影が二つの世界を支配することはありませんが、表の世界をあなたの影が支配すれば二つの世界を支配されたのと同じことになるでしょう」

「うぎっ! 女神様! あの一つよろしいでしょうか? 俺の影……の最終的な目的って……? 何なんすか? 二つの世界を支配したいだけじゃないッスよね?」
「そうなのです。あなたの影の最終的な目標とは、表の世界の住人を乗っ取ることになります。それは完全な表の世界と影の世界への支配です」
「うっぎーーー!! そんなことを!? 俺の影が!! あ! もう20分も経っている!? すんません女神様! 俺戻ります!!」

 俺は俺の影と妹の影を影斬りの刃で地面を切って再び地の底へと落とすと。
 
 さあ、学校へ行こう。
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