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エピローグ

53話

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 ニューオールロンドで……。

 私の隣には合田と奈賀がウイスキーを傾けていた。
「そうなんだ。首相官邸にいる奈々川首相に直に依頼されたんでね。話さないといけないんだ」
 合田はグラスを口に持っていき一飲みし、
「今現在進行中のハイブラウシティ・Bは人間性ってやつを持つようになったようだ。医療機関や土木や建設とかの仕事のサポートをするようになって、労働にはあまり積極的なことをしなくなったんだな。治安は積極的だけれどな……。それと、黒幕の矢多部 雷蔵はしばらく会社から遠のいたところへ行きたいといって、旅行に行ったみたいだ。しばらくそっとしておいてほしい。と言っていた」
「そうか……」
 合田はグラスを揺らし、琥珀色の最高級ウイスキーを見つめる。

 私はウイスキーを舐める。

「藤元はどうしたのかな?」
「云話事町TVのかい? それは知らないよ。けど、信者が少し入ったとか聞いたな」
「そうか」
 島田たちは今でもA区で働いている。

 治安が良くなって、田舎の良さも目立つA区。そこで働いている。
「それから、奈々川首相の目的って?」
「奈々川首相の目的はゴールド・オブ・エンパイアだったんだよ。あの国一つ買えることができる金の中の金だ。至高の宝石だ」
「そんなのがあるのか?なんのためにそれを手に入れようとしたのかな?」
 私は質問をだしたが、すぐに答えが湧いて出た。

 確か、晴美さんのお母さんの最後の言葉は、宝石や金を探してくれだった。「B区には宝石や金がある」
そう言ったんだそうだ。

 でも、その宝石や金とは晴美さんがあの野球場で見つけた。
 その金とは、美しいもの(金は美しいという意味でもあるようだ)。つまり、B区の人たちとA区の良き人間性だ。宝石の方もきっと人間にしか持ちえないものなのだろう。
「俺にも解らん。けれど、必死だったぞ。何でも何十年と手に入れようとしていたんだからな。ハイブラウシティ・Bならば、いとも簡単に手に入れられる」
 奈賀は押し黙ってグラスを口に持っていくばかりだ。

「それでは、矢多部 創玄の理想って? 一体?」
 合田は嵐が吹き去ったような頭を三回振り、二枚の花柄のハンカチを取り出す。それを洒落たカウンター席のテーブルに置いた。
「これが、A区だとすると、こっちが……」
 もう一枚のハンカチを置き。
「重い心臓病で表だったことが出来なかった矢多部 創玄から直に聞いたんだが。これが、B区だ。そして、海外ではベトナムや上海。香港。それらの地区をノウハウが占領し……レートをそれぞれに付ける」
 私はそこまできて青ざめた。
「そうだ。人間を退場させれば国の売買がいとも簡単に出来るんだ」
「晴美さんはこのことは?」
「ああ。奈々川首相はご機嫌斜めだったよ。日本初の女性内閣総理大臣になったのに、こういう話は駄目みたいだね」


 晴美さんの父親は失脚してから今でも妻のことを思い。首相官邸から墓参りを一か月に一度は欠かさずにしているようだ。
 矢多部は晴美さんのことを今でも考えているようだ。
 私は島田たちと同じ職をしながら晴美さんと、首相官邸にスケッシーと一緒に生活をしている。


 何はともあれA区とB区はより良き関係を、より良い人間性を持った……。
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みんなの感想(1件)

冬月光輝
2019.01.05 冬月光輝

初めまして、リツイートして頂きありがとうございます。
ゴミ捨ての章まで読みました。
未来の日本のモラルがヤバイですね。
荒廃というか、殺伐とした世界観と、そんな社会の中の休憩時間の雑談もどこか狂気みたいなものを感じて面白かったです。
また読みに来ますね。

主道 学
2019.01.05 主道 学

初めまして、こちらこそフォロー、リツィートありがとうございますm(__)m

日本の近未来SFを、かなりヤバめの設定にしてみました。何とかしないといけない時代です。主人公たちの活躍にご期待くださいませ。

ご感想を頂きありがとうございました。

解除

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