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結婚式

33話

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「こんばんは。「B区専用チャンネルの云話事町放送」です」
 一人の男性のアナウンサーが、貨物列車とピラミッド型の大型機械をバックにマイクを握っていた。

「3年前から続いていました大規模な都市開発プロジェクトは、今から方針を変えてゆきます。ハイブラウシティ・Bという名の都市開発を進めるようです。」
 黒い質素な平面の大型機械が正三角形に大口を開け、その中から一つの大人の身長くらいのアンドロイドが歩いてきた。ガリ痩せで、顔は甘い金属のマスクをして、鎧のような金属の体をしている。腹部がスカスカだ。そして、貨物列車の脇から荷物を手で持ち、貨物列車の荷台に乗せる。という作業を始める。

「見て下さい。人間の動作と同じく、正確、迅速、そして疲れを知らない。このアンドロイドは38万円で購入出来るのです。私たちの経済や労働、そして、医療はどうなるのでしょう。機械に独占されるものは、流通から接客まで多種多様のようです」
 私はだんだんと現実に浸透していく出来事に青冷めてきた。

「へー。働かなくていいのか。いいなー、俺は脱税なんてしなきゃよかったよ」
 私はまたぼさぼさ頭を一瞥し、
「働かなくなったら、何をするんだ?」
「そーだなー。きっと、大昔のギリシャみたいに奴隷に働かして、スコレー(閑暇)が出来るわけだよな。……朝から酒を飲んでるな」
「いや、金はあまり入らないと思う……多分だが。……A区は農業をしてB区は機械の管理。増える需要は国が機械の生産や設備、安全管理などに回し……どんどんと規模を増やしていく。そんな感じだ」
「……。じゃあ、高度成長期には楽が出来るのか?」 
 私は少し考えた。

「恐らくは、食料の畜産物とか米作、漁などは、流石に機械では出来ないと思う。機械が出来るのは、建設など、営業や経理、運転や医療とかだ。とても農業や漁などの大変な作業は無理だ。第一、汚れるしな。高度成長期になっても俺たちA区は昔通りの仕事をするだろう。金の回りはどうなるのかは知らないが……」
 ぼさぼさ頭は頭を掻きまわし、
「それなら、金を使って。漁や農業を出来る機械を作ればいいんじゃないか?そしたら、俺たち……楽が出来るかも知れない」
「……それだと、俺たちに回る金は微々たるものだ」
「……」
 テレビは再びアンドロイドが映る。

「このアンドロイドの名前は、「ノウハウ」だそうです。勿論、話せます。日本語や英語、中国語などの多種多様な言語。そして、連続一年ももつバッテリー式。何か起きても端末で少し調整出来るという優れもの。人間の出番が少なくなってきましたね」
 アナウンサーがマイクを握り直し、
「それでは……?」
「御機嫌よう!」
 ノウハウが言った。


 番組はそこで終わった。
 私は寝返りをうった。

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