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危険な恋
24話
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駐車上には複数の男たちがいた。
勿論、B区の奴らだ。
何も言わずこちらを睨んでいる。
数は7人。
生き返ったやつらも混じっていた。
一人の男が寄って来た。きっと、7人のリーダーなのだろう。
「お前ら……。奈々川お嬢さんとどういう関係になっているって? 貧乏人にはどうしても、もったいねえから居場所を教えろや」
私は怯むことなく、
「それを聞いてどうする……。命が幾つあっても足りないぜ……」
「そうだぜー。今死んでも可笑しくないぜ」
島田は私と同じく銃を抜きながら話している。
「矢多辺さんのことを知っているのか?あの人を怒らせると怖えーぜ」
「そいつも殺してやるよ」
私はこれ以上ないほどの不敵な笑顔をした。
男たちのリーダー(そいつは程よい筋肉の男だった)は私の言葉に踵を返した。
「ただいま」
家に帰ると奈々川さんが俯いてスケッシーの頭を撫でていた。
「おかえりなさい」
奈々川さんが寝室へと行った。
私は寝室の手前のキッチンで朝食を食べる。朝食は奈々川さんが買ってくれたコンビニ弁当だ。
「わん」
心なしかスケッシーも沈みがちだ。しばらくすると、
「あの……夜鶴さん」
奈々川さんが寝室から遠慮がちに言った。
「テレビ見ましょう」
テレビは寝室にある。
「お早うっス。云話事町TVッス」
美人のアナウンサーと藤元が戦隊もののポーズを決めた。
「今日は総理大臣の奈々川首相のお宅に突撃インタビューッス」
場面はB区の広い日本家屋だ。
「奈々川首相はきっと、今日も仕事っス。私たちの今日の仕事は、家出した首相の娘さん。奈々川 晴美さんの居場所を知っていると言う。探偵、奈賀 比企下さん(藤元が生き返らした)が、奈々川首相との対談をしているであろうところを。少―し……詳しく聞きたいって、ことです。一体どこにいるんでしょうかねえ?」
「え?」
私は凍りついた。
やっぱり、生き返っていたんだ。
「夜鶴さん……。どうしましょう。でも、人が生き返ることはとても素晴らしいことなのに、何で……涙がでてくるの……」
奈々川さんが泣いている。
藤元が神社なんかでお祓いをする棒を一二度振って、
「あ……僕、知っている」
「え?」
「近所にいたの……」
美人のアナウンサーが本気で眉間に皺を寄せて…………微笑む。
「この番組の意味…………ないでしょ……」
「夜鶴さん……どうしよう……。私たちは……どうなるんですか?」
奈々川さんがこちらにその濡れた頬を向ける。
「きっと、何とかなるさ。奈々川さん……。ここが君の父親が知ったとしても、そう深刻なことにはならないかも知れない。だって、今までそうだったじゃないか……」
「でも、父は厳しいところもあるんです……」
「いや……。そういえば、奈々川さん。君はどうしてA区に来たの?詳しくは知らなかった。」
私の問いに、奈々川さんが俯いて話し出した。
私の寝室には食べかけのスケッシーのドックフードの塊があった。
「私ね……。私のフィアンセは矢多辺 雷蔵という名なのですけど、その人はB区で5本のうちに入るお金持ちですけど、何て言うか……。人を人として見ないんです。人にはそれぞれ過去やこれからの未来があって、つまり、時間を生身の心とか思い出で生きているのに、その人はそういった時間ではなくて。何の役に立つのかとか、これに使うとこうなるって、だけを見ているんです。つまり、その時その時の道具ですね。まるで神様みたいに……。私と考え方が全然違っていて……冷たくて怖くて……。そして、私の事もこれに使おうって思っているんです。夜鶴さん。大規模な都市開発が前から行なわれているのは知っていますか?」
私は首を傾げる。
「ああ、知っている。それがどうしたの?……それにしても、奈々川さんを何に使おうとしているのかな?あ、でも、奈々川さん?最初に出会った時に矢多部は君に一目惚れをしたみたいなことを言っていたと思うんだが?」
奈々川さんが微笑み、
「ええ。私だけ特別だと言ってました。けど、矢多部さんはB区の理想のために私が必要だと言うんです。」
「理想?」
「ええ。矢多部さんはアンドロイド製造業に特に力を入れている人なんですが、今現在の大規模な都市開発から方針を変えるようで。近い将来に私の父と私の力を使って造りたいと言っていました。B区の更なる発展。機械で管理された完全な未来都市……ハイブラウシティ・Bです。」
「そのハイブラウシティ・Bって、どゆこと?」
電話越しでの島田である。
「奈々川さんが言うには、建設業や清掃作業などの人間の仕事を機械……つまり、安価なアンドロイドにさせて、俺たち人間はその管理だけをする町にしたいんだそうだ」
「じゃあ! 今の肉の仕分けもそいつらがやるのか!?」
電話越しに島田が吠える。
勿論、B区の奴らだ。
何も言わずこちらを睨んでいる。
数は7人。
生き返ったやつらも混じっていた。
一人の男が寄って来た。きっと、7人のリーダーなのだろう。
「お前ら……。奈々川お嬢さんとどういう関係になっているって? 貧乏人にはどうしても、もったいねえから居場所を教えろや」
私は怯むことなく、
「それを聞いてどうする……。命が幾つあっても足りないぜ……」
「そうだぜー。今死んでも可笑しくないぜ」
島田は私と同じく銃を抜きながら話している。
「矢多辺さんのことを知っているのか?あの人を怒らせると怖えーぜ」
「そいつも殺してやるよ」
私はこれ以上ないほどの不敵な笑顔をした。
男たちのリーダー(そいつは程よい筋肉の男だった)は私の言葉に踵を返した。
「ただいま」
家に帰ると奈々川さんが俯いてスケッシーの頭を撫でていた。
「おかえりなさい」
奈々川さんが寝室へと行った。
私は寝室の手前のキッチンで朝食を食べる。朝食は奈々川さんが買ってくれたコンビニ弁当だ。
「わん」
心なしかスケッシーも沈みがちだ。しばらくすると、
「あの……夜鶴さん」
奈々川さんが寝室から遠慮がちに言った。
「テレビ見ましょう」
テレビは寝室にある。
「お早うっス。云話事町TVッス」
美人のアナウンサーと藤元が戦隊もののポーズを決めた。
「今日は総理大臣の奈々川首相のお宅に突撃インタビューッス」
場面はB区の広い日本家屋だ。
「奈々川首相はきっと、今日も仕事っス。私たちの今日の仕事は、家出した首相の娘さん。奈々川 晴美さんの居場所を知っていると言う。探偵、奈賀 比企下さん(藤元が生き返らした)が、奈々川首相との対談をしているであろうところを。少―し……詳しく聞きたいって、ことです。一体どこにいるんでしょうかねえ?」
「え?」
私は凍りついた。
やっぱり、生き返っていたんだ。
「夜鶴さん……。どうしましょう。でも、人が生き返ることはとても素晴らしいことなのに、何で……涙がでてくるの……」
奈々川さんが泣いている。
藤元が神社なんかでお祓いをする棒を一二度振って、
「あ……僕、知っている」
「え?」
「近所にいたの……」
美人のアナウンサーが本気で眉間に皺を寄せて…………微笑む。
「この番組の意味…………ないでしょ……」
「夜鶴さん……どうしよう……。私たちは……どうなるんですか?」
奈々川さんがこちらにその濡れた頬を向ける。
「きっと、何とかなるさ。奈々川さん……。ここが君の父親が知ったとしても、そう深刻なことにはならないかも知れない。だって、今までそうだったじゃないか……」
「でも、父は厳しいところもあるんです……」
「いや……。そういえば、奈々川さん。君はどうしてA区に来たの?詳しくは知らなかった。」
私の問いに、奈々川さんが俯いて話し出した。
私の寝室には食べかけのスケッシーのドックフードの塊があった。
「私ね……。私のフィアンセは矢多辺 雷蔵という名なのですけど、その人はB区で5本のうちに入るお金持ちですけど、何て言うか……。人を人として見ないんです。人にはそれぞれ過去やこれからの未来があって、つまり、時間を生身の心とか思い出で生きているのに、その人はそういった時間ではなくて。何の役に立つのかとか、これに使うとこうなるって、だけを見ているんです。つまり、その時その時の道具ですね。まるで神様みたいに……。私と考え方が全然違っていて……冷たくて怖くて……。そして、私の事もこれに使おうって思っているんです。夜鶴さん。大規模な都市開発が前から行なわれているのは知っていますか?」
私は首を傾げる。
「ああ、知っている。それがどうしたの?……それにしても、奈々川さんを何に使おうとしているのかな?あ、でも、奈々川さん?最初に出会った時に矢多部は君に一目惚れをしたみたいなことを言っていたと思うんだが?」
奈々川さんが微笑み、
「ええ。私だけ特別だと言ってました。けど、矢多部さんはB区の理想のために私が必要だと言うんです。」
「理想?」
「ええ。矢多部さんはアンドロイド製造業に特に力を入れている人なんですが、今現在の大規模な都市開発から方針を変えるようで。近い将来に私の父と私の力を使って造りたいと言っていました。B区の更なる発展。機械で管理された完全な未来都市……ハイブラウシティ・Bです。」
「そのハイブラウシティ・Bって、どゆこと?」
電話越しでの島田である。
「奈々川さんが言うには、建設業や清掃作業などの人間の仕事を機械……つまり、安価なアンドロイドにさせて、俺たち人間はその管理だけをする町にしたいんだそうだ」
「じゃあ! 今の肉の仕分けもそいつらがやるのか!?」
電話越しに島田が吠える。
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