水の失われた神々

主道 学

文字の大きさ
上 下
132 / 134
薄屋のミンリン

132

しおりを挟む
「武! 起きて下さいまし! 敵に囲まれています! 竜宮城の海域は広く。おおよそ十万平方メートルはありますが。ですが、敵はかなり近くまで来ていますね。それも大勢のようです! 四海竜王は竜宮城の竜王の間へと急いでいることでしょう。そこで、魚人の長老たちから戦略、戦術を授かるのです! さあ、あなたも!」

…………

 俺はそれを聞いて、すぐに一人で飛び出していた。ここから竜宮城の海域の西側へと向かっていた。

なんで、一人で突っ走ったかというと、俺には幻の剣があるからだ。轟々と荒波の中。物凄い数の巨大な龍が迫って来ていた。

 おおよそ8千歳は生きているだろう逞しい龍だった。
 城下町まで来たら最後だ。砂浜で踏ん張るしかないと、俺は考え。 
「でや!」
 タケルになって気を開放した。

 荒ぶる嵐のようなタケルの気で、数多の龍が一瞬怯んだ。その隙に、龍尾返しを大海に打つ。
 海が悲鳴を上げる。

 大穴の空いた海へと何十体の龍が落ちていった。
 竜宮城の四方にどうやら、四海竜王が散らばったようで、ここ東の方角の海には東龍が来た。

「さあ! 楽しもうぜー! 武よ!」

 東龍が元の巨大な銀色の龍へと姿を変える。

「西側の方へ行ってくれ! 西龍が危なそうだ!」
 俺は龍の姿の東龍へと叫ぶと、幻の剣をまた使う。

 龍尾返しによって、幾度も大海は荒波を巻き上げて大穴を空けていった。
 一網打尽。
 そんな言葉が俺の脳裏に過った。

 しばらくすると、魚人の大軍もここ大海原へとなだれ込む。
 少し疲れた俺はタケルのまま龍の群れへと突進した。

 雨の村雲の剣を袈裟懸けに振り、一体を斬った。
 東龍の体当たりで二体の龍が吹っ飛んできた。
 それを空中で斬り裂きとどめを刺した。
しおりを挟む

処理中です...