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竜宮城伝説
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すぐさま東龍は頭突きを放ったが、間一髪で躱した武はいつの間にか戦いの最中、タケルになっていた。タケルの発した落雷が竜宮城の窓の隙間から東龍の頭上へと斜めに落ちた。
東龍は荒い呼吸のまま後方へと飛び跳ねたが、着地したところは武の吐いた血が広がり、滑った。そこに一瞬の隙が生じた。タケルはタイミング良く助走し飛び膝を繰り出した。
竜王の間は二人の闘気で満たされ、夏の季節となっていた竜宮城全体を高温が襲う。
タケルの目にも止まらぬ飛び膝蹴りに、それから着地後の右の正拳突き。続いて左の肘打ちが東龍を立て続けに捉えていった。吐血した東龍はよろけた。
「決まった!」
鬼姫と蓮姫は同時に叫んだ。
タケルはそのままの状態で左に体ごと一回転をし、ソバットを放った。
東龍の腰に直撃し、腰骨を砕いたようだ。
ゴキっと音と共に東龍が派手に倒れた。
「そこまで!」
青ざめた北龍が東龍のピンチに割って入った。
「邪魔するなー! これは俺の遊びだー! もう命なんて関係ねーんだよ!」
大量の血の広がる床で瀕死の東龍は北龍に向かって、大声で叫ぶが。だが、タケルは倒れた東龍に優しく手を差し伸べ……倒れた。
「相打ち……これだったんだわ……」
高取はブルブルと震えた。
「武!」
「武様!」
湯築と鬼姫が自然に流れる涙をそのままに、二人は武の袂へと駆けだした。
「どうしよう……」
高取は俯いている乙姫の方をキッと睨むと、すぐさま床にタロットカードを広げた。何をしていいのかわからないのだろう。蓮姫と、光姫と地姫までもが高取の広げるタロットカードを覗いていた。
「お止めなさいな……もうすでに決まっているのです」
乙姫である。
乙姫は初めて微笑んだ。
乙姫は最初からすでに決断をしていたのだ。
「地球から私たちは帰ります……ただ……」
高取は嫌な予感がしたようだ。
それは私もである。だが、それで武が助かるのなら……。
「東龍も武も、もう助かりません。でも、本星なら……」
傷を負い過ぎた二人を治すには、やはり本星であろう。
東龍は荒い呼吸のまま後方へと飛び跳ねたが、着地したところは武の吐いた血が広がり、滑った。そこに一瞬の隙が生じた。タケルはタイミング良く助走し飛び膝を繰り出した。
竜王の間は二人の闘気で満たされ、夏の季節となっていた竜宮城全体を高温が襲う。
タケルの目にも止まらぬ飛び膝蹴りに、それから着地後の右の正拳突き。続いて左の肘打ちが東龍を立て続けに捉えていった。吐血した東龍はよろけた。
「決まった!」
鬼姫と蓮姫は同時に叫んだ。
タケルはそのままの状態で左に体ごと一回転をし、ソバットを放った。
東龍の腰に直撃し、腰骨を砕いたようだ。
ゴキっと音と共に東龍が派手に倒れた。
「そこまで!」
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「邪魔するなー! これは俺の遊びだー! もう命なんて関係ねーんだよ!」
大量の血の広がる床で瀕死の東龍は北龍に向かって、大声で叫ぶが。だが、タケルは倒れた東龍に優しく手を差し伸べ……倒れた。
「相打ち……これだったんだわ……」
高取はブルブルと震えた。
「武!」
「武様!」
湯築と鬼姫が自然に流れる涙をそのままに、二人は武の袂へと駆けだした。
「どうしよう……」
高取は俯いている乙姫の方をキッと睨むと、すぐさま床にタロットカードを広げた。何をしていいのかわからないのだろう。蓮姫と、光姫と地姫までもが高取の広げるタロットカードを覗いていた。
「お止めなさいな……もうすでに決まっているのです」
乙姫である。
乙姫は初めて微笑んだ。
乙姫は最初からすでに決断をしていたのだ。
「地球から私たちは帰ります……ただ……」
高取は嫌な予感がしたようだ。
それは私もである。だが、それで武が助かるのなら……。
「東龍も武も、もう助かりません。でも、本星なら……」
傷を負い過ぎた二人を治すには、やはり本星であろう。
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