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Voice (声)

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 その本は、決して一般人は借りてはいけない本だったのだ。レファレンスルームにあるその一冊の本は、死神に関して書かれた古代の本だと内密に聞きだしたのだ。ヘレンと図書館の館長は仲が良かったので、モートの出生の秘密も共有していた。

 すぐに本を借りに行った日。ヘレンが図書館へと向かうと同時に、借りた人がいたのだ。

 館長の話では、その借りた人は男だったという。信じられそうもない不思議な出来事だった。貸した図書館員も老いているわけではなく。ましてや金を渡されたわけでもない。
 真面目な若い女性だったという。だが、自然と決して貸してはいけない本を、その男に貸してしまったのだという。

 偶然にしては全てができ過ぎのように思えた。まるで、運命の歯車がいびつにピッタリと合わさってしまったかのような。
 ヘレンはその男もモートと同じような不思議な男なのではと心の片隅で思った。
 椅子から立ち上がり。このサロンの窓の外を覗くと、巨大で真っ白な満月が天空に浮かんでいた。
 ヘレンはいつもこんな夜だと思った。
 そう、モートが狩りに行く日は。

 
Voice 3


 モートはデパートや三角屋根の連なる霜の降りる住宅街。真っ白な雪の中の郵便局。銀世界から来たような凍った銀行やビルディングを飛び越えていく。その姿はさながら大鎌を持つ死神だったが、モートは建物を壊さないようにとかなり気を配っていた。
 しばらくして、アリスの家が見えてきてヒルズタウンへと到着した。 
 アリスの家は、家というよりは豪邸だった。
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