底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜

第十四章

ノノ

「どうもー！　みんな大好きノノちゃんでーっす！」

　ウィルとエルネの魔法陣から出てきたのは、やけにハイテンションな女の子だ。
　リリとはまた違った意味でハッチャケている。
　大人しめのウィルからしたら、少し苦手な部類だった。

「……エルネ、これは失敗したのか……？」

「分からんが、今のところ失敗じゃろうな」

「ちょ、ちょっと!?　何で私を見てそんなこと言うんですか!?　みんなのノノちゃんですよ!?」

　ノノと名乗る女の子は、両手を広げて不満を訴える。
　ウィルが関わってきた者たちの中で、これほどオーバーなリアクションをする者はまだいない。
　どう接したら良いのか分からなかった。

「お主は一旦静かにしておれ」

「ぎゃっ！」

　ガツン――と、エルネの一撃。
　ノノは頭を押さえながら座り込む。

　かなり荒々しい方法だったが、ノノも何かを察したのか、それ以上騒ぐようなことはなかった。

　単純な恐怖が、ノノの表情から見て取れる。
　信じられないほど最悪な初顔合わせだ。

「どうする、ご主人様？　このアホの娘を殺して新しい奴を召喚するか？」

「いやいやいやいや！　本気で言っているんですか!?　ノノちゃん泣いちゃいますよ！」

「流石にそこまでしなくて良いと思うぞ……」

　状況判断が良すぎるエルネによって、生まれたばかりで命の危険に陥るノノ。
　しかし、ウィルがそこまで非情になれるわけがない。

　エルネの良心を信じて止めておく。

「ノノ……で良いんだよな？」

「はい！　ノウサギのノに、ノックのノでノノです！」

「……いい加減にせんともう一発叩き込むぞ」

「ひっ!?　すみませんっ！」

　何とかフォローしようとしたウィルであったが、今度はノノが勝手に自爆する。
　ここまでエルネを怒らせることが出来るのは、もはや才能と言えるだろう。

　大事な召喚の途中で集中力を切らしたのはこちら側のミスだが、ここまで影響するとは考えてもいなかった。
　なかなかできない経験だ。

「もう良いから――お主は一体何ができるんじゃ？　変な嘘をついたらその尻尾をちぎるぞ」

「げっ!?　ノノちゃんは魔法が得意です！　これはホントに！」

　ノノは細い尻尾を後ろに隠しながら、自分のできることを正直に伝えた。
　もしかすると命をかけた戦いをするかもしれない相手に、自分の能力を教えるというのは自殺行為である。

　エルネとウィルを信用していないと、絶対にできない行動だ。

「魔法か。まぁ妥協はできるかもしれん。どのようなものを使えるかによるが――」

「――な、なんでも使えます！　復活魔法も即死魔法も！」

　エルネは凄みながら問い詰める。
　そこでノノの口から出てきたのは、妥協レベルとは真逆の言葉だった。