底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜

第八章

聖なる消滅

「……何ですか、そいつらは？」

「イッヒヒ、かわいいでしょう？　ワタクシの作ったゾンビたちです。貴女もワタクシのゾンビになりませんか？　このゾグのね」

「お断りします」

　ゾグと名乗った魔物の隣に現れたのは、腐敗がかなり進行してゾンビになってしまった生物だ。
　恐らく、ウィルもあのまま腐敗していたらゾンビになっていただろう。

「アナタが人間を攫って魔物に変えている――といったところですか。何となく状況が読めてきました」

「あら？　人間界の方ではそのように言われているのですか。心外ですねぇ、せっかくワタクシが救ってあげてますのに……」

「イカれた魔物は話が通じなくて面倒ですね。エルネやリリなら知りませんが、私はそこまで優しくないですよ」

　どうやら、魔物大量発生の原因はゾルによるものらしい。
　ゾルがどれほどの人間を魔物に変えているのか。
　正確な数字は分からないが、村で騒ぎになるほどというだけで、かなりの数だと考えられる。

「イッヒヒ！　エルネやリリという仲間もいるのですね？　これは楽しみになってきました」

「下衆が。ここまで下等な生物は、見ているだけで不快になりますね」

　レフィーはチッと舌打ちをした。
　自分の仲間を舐められるというのは、誰であろうと不快になる行為だ。

「あ、そうだ。アナタを殺す前に聞いておきたいことがあります」

「イッヒヒ、では貴女を殺す前にワタクシも答えてあげましょう」

「アナタはかつてゾンビのボス的な存在を作りましたか？　女のゾンビですけど」

「んんー、ナンバー149のことでしょうか？　彼女は我ながら自信作でしてね。しっかり覚えているんですよ。今もどこかで仲間を増やしているでしょうね、イッヒヒ」

「分かりました。もう喋らなくていいです」

　レフィーは、ゾルが隣に置いていたゾンビを一瞬で消滅させる。

「……え？」

「まだゾンビはいるんですか？　まとめて消滅させておきたいので、いるなら全員出してくださいね」

「……は？　な、なにが……」

「やはり、イカれた魔物には話しが通じませんね」

　何が起こったのか分からず困惑しているゾルは、質問に答えることなどできるはずもなく、ただ驚くことしかできなかった。

　このままでは埒が明かないと判断したレフィーは、これ以上質問を続けるということはしない。

「――まっ！　助け――」

「〈神聖魔法・聖なる消滅〉」

　ゾルの命乞い虚しく。
　その場には、ゾルがいたという形跡はなく、レフィー一人が立っているという状況になった。

「マイマスターはどう思うのでしょうか……」

　レフィーは、ユキの母親について。
　ウィルに言うかどうか頭を悩ませていた。