底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜

第八章

魔物大量発生

「へー、魔物が大量発生だって」

「それを俺たちが全部倒すってのか!?　無理無理！」

「誰もそんなこと言っておらんじゃろ」

「へ？　どういうこと？」

「魔物が大量発生するなら、明確な原因か黒幕がいるっていうことでしょう。それを調査してほしいのではないですか？」

「なるほど……頭良いな」

　ウィルたちが任されようとしている任務は、魔物大量発生についての原因調査だった。

「ウィルさん、急なお願いで申し訳ありません……でも、頼れるのは貴方しかいないのです……」

「君はそんな人に激苦スムージーを出したのか……」

「てへ」

「……でも許しちゃう」

「チョロすぎじゃろ」

　無駄に優しさを見せてしまうウィル。
　そろそろカモだと気付かれ始めてきた頃だ。

「で、でも！　村からの依頼なので、当然報酬は出るのです！」


「リリはうさぎさんが欲しいなー」

「まだそれ諦めてなかったんだ……」

「儂は魔王城が欲しいの」

「村からの報酬だぞ？」

「私は自由が欲しいですね」

「なんかごめん」

　やはり、各々で希望する報酬はかなり違っていた。
　エルネの魔王城に至っては、どれだけ村が頑張ったとしても不可能だろう。

「まぁ、ユキちゃんの頼みなら断れないよ。エルネたちなら大丈夫」

「は、はい！　ボクも信じているのです！」


「おい天使、ご主人様を止めんのか？」

「無理ですね。目がハートになってます」

「小娘、もしかしたら魅力で負けとるかもしれんぞ」

「え!?」

　ユキのため――こうしてウィルは、無条件で依頼を引き受けてしまった。


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


「よく考えたらさ、魔物の大量発生って俺たちでどうにかなる問題じゃなくないか？」

「今更気付いたんですか？　マイマスター」

「大量発生なんて言われても大雑把すぎじゃしの。明確な原因も分からぬし、大変な依頼になるぞ」

　ウィルたちは、ユキに教えられた道をゆっくりと歩いていた。
　ブラブラと気分転換の散歩のような足取りだったが、そうなってしまうのも仕方がない。

　まず、何から手をつけていいのか分からなかったからだ。

「親玉がいる場合なら簡単じゃがな。環境が何とやら――とかなら面倒くさいのじゃ」

「エルネでも環境を変えるとかできないのか？」

「お主は儂を何じゃと思っとるんじゃ？」

　エルネの力にかなりの期待を寄せていたウィルだったが、流石に根元から解決するようなことはできないらしい。

「もしもの時は、塩でもまいときましょう」

「急に適当にならないでくれ。あと俺に塩をかけるな」

　レフィーは、後ろからウィルに塩をふりかけていた。
　ウィルはそれを慣れたようにスルーして歩く。