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第二章
森の主?
しおりを挟む「やっぱこの森は広いねぇ、ウィル君」
「そうですね……一匹一匹片付けてたんじゃキリがありませんよ」
「じゃあ森の主をぶっ倒しちまった方が楽だな。いくら森の主といってもこんだけいりゃあ倒せるだろ」
ウィルたちが一時間ほど森を歩いてみた事により、大体の森の広さとモンスターの多さが確認できた。
この森は、八人で解決するには無謀とも言える広さと敵の数をほこっており、流石のSランクパーティーでも諦めるほどである。
そこで考えたのが、森の主だけでも倒すというものだ。
この森にいる敵モンスターは、数は多いものの単体ではそれほど強くない。
Aランクパーティー以下の冒険者でも、容易く倒せるほどの戦闘力。
しかし、森の主となればそうはいかないだろう。
つまり、ヴァイルたちが森の主を倒し、残りの雑魚は他の冒険者パーティーに任せる。
即席にしては良い案だった。
「それじゃ、森の主探しといきますか!」
「主だったら、森の真ん中らへんにいるんじゃないですかね?」
「お、良いこと言うねぇ、ウィル君」
森の主探しを始めたヴァイルたちは、ウィルの何気なく放った一言によって、ドンドンと森の真ん中部分に侵入する。
「なんかいそうな雰囲気だな……気合い入れ直せよ、お前ら!」
「おう!」
中心部に近付くにつれて、ヴァイルたちも敵の気配を察知しはじめたようだ。
エルネとレフィーは勿論気付いている。
しかし、ウィルでも気付けるほどの気配が近くから放たれていた。
「ウィル君、森の主の強さによるが、君たちを助けることが出来るほど余裕があるかは分からないからな」
「当然です。俺たちの事は心配しないでください」
「そうか、頼もしいな。では俺たちは突っ込むぞ」
ヴァイルは、ウィルたちの状況を確認すると、大剣をグッと握りしめる。
敵へ突っ込む準備は出来ているらしい。
炎の薔薇――本領発揮の瞬間だ。
「行くぞぉ! お前ら!」
「うおおおぉぉ!」
ヴァイルたち四人は雄叫びをあげて中心部へと突っ込む。
防御の事などまるで考えていない。
そして、巨大な大剣を持っているとは思えないほどのスピードだった。
「行ってしもうたの、ご主人様」
「あぁ、流石Sランクパーティーだ。カッコイイよ」
「うーむ、男心はよく分からんわい」
「リリはあーゆーの苦手ー」
「私も暑苦しいのは無理です。疲れますから」
「君たちちょっと冷めすぎじゃないか……?」
やはりヴァイルたちに憧れているのは、どうやらウィルだけのようだ。
「というか、あの人間たち空回りしてますよ」
「……? どういうことだ? レフィー」
「森の主ってやつ、すぐそこにいますから」
いつしかのゴブリン同様、レフィーは近くの巨大な岩を指さした。
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