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第七章
ハッピーエンド♪
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教室に戻ると奏多が血相を変えてやってきた。
「どうしてたんだよ、心配したんだからな」
「ごめん。変態に遭遇してロベールに助けてもらってた。それで授業遅れちゃったから、保健室に寄って時間つぶしてた」
「 そっか。ロベール先生と一緒だったんなら安心だけど、でも変態って? 前にトイレで遭遇した上級生?」
「 ……そっちじゃないんだけどさ。で、笹山たちはどうなったの?」
「うん? 戻ってきた時なんとなく、ちょっと雰囲気違ってた。ほら」
そう言って奏多が視線を笹山たちに向ける。そこには、いつもはいない日暮が加わっていた 。彼が笹山を見るその表情は何とも言えない面映ゆいもので、見ようによってはちょっぴり照れてるようにも見える。
「あれって……、友達になったってこと?」
「友達というよりは日暮の思いが実りかけてるって感じじゃないの? 笹山が、日暮のことを受け入れかけてる」
「そう、か」
あれから何を話したのか分からないけど、うまくいったんだね。
日暮が、笹山のことをずっと好きだったって知っていた僕としては、あの雰囲気はやっぱり嬉しい。好きすぎるあまり、不器用にしかふるまえなかった日暮だったから。
☆☆☆☆☆☆☆☆
そうしてスノウに対する心配が完全に払拭された後、春休みに入った。僕とロベールは、ゆったりと恋人同士を満喫中。
夕食後、両親がテレビに夢中になっているのをいいことに、今ロベールは僕の部屋にきてまったりとしている。
「ねえ、ロベール。今夜はこの部屋に来る?」
「そうだな。ここでイチャイチャするのもいいが、久しぶりに夜空の散歩でもするか?」
「え?」
「今夜は月が綺麗だ」
そう言って視線を窓にチラリと向けた後、いたずらっ子の表情でロベールがにやりと笑う。
「うん!」
僕は初めて会った日のことを思い出していた。あの時家まで送ると言って僕を抱き上げて、家まで飛んで行ってくれた。その頃はロベールのことをこんな風に信用していなかったから、かなり驚愕したけれど。
「わああー、すっごい高い」
家族が寝静まった後ロベールが僕の部屋にやってきてた。そして僕を抱き上げ、一直線に空へと上がる。まあるいお月様が、すごく大きく見えた。
「怖くないか?」
「ううん、全然 。それよりもすごい。お月様がいつもより大きいし、家なんかあんなに小さく見える」
「じゃあ少し移動するぞ」
「ひゃっ!」
急にロベールが動き出したのでびっくりして、背中にぎゅっと掴まった。風を切って走る様はまるで鳥にでもなったような気分だ。しばらく明かりの少ない方面へと移動したロベールは、大きな一本の木の枝に泊まるように僕を降ろした。
「すごい大きい木だね。結構高い……」
「怖いか?」
「そりゃ……。だって下が、結構小さく見える」
――だけど、
「たとえ落下することがあっても、ロベールが受け止めてくれるんだろ?」
「ふっ……、そうだな。だからこんなことをしても……」
「ロベ……」
一瞬艶やかに笑った後、ロベールは顔を近づけ唇を寄せ、可愛らしく甘く僕の唇をついばむ。嬉しくて幸せで、ここが高い木の上だということも忘れて、僕もロベールの背に腕を回した。お互い夢中になって相手の口腔内を貪る。
「っ……、んっ」
「南……」
んん……、
ロベールとのキスは本当に好きだ。彼が僕に夢中になってくれているのも嬉しいし、それに気持ちいいからずっと求めていて欲しいと思ってしまう。
すごくすごく幸せ……。
「ひゃあっ!!」
二人とも夢中になりすぎてた。お互いに没頭していたためついにはバランスを崩し、太くしっかりした枝からぐらりと身体が傾ぐ。
「ギャア------ッ!! んんんーーーー!」
急激に勢いよく落下する様に、僕はパニックを起こしてロベールにしがみつきながら悲鳴を上げる。その口をすぐにロベールの口が塞いだ。キスをされながら地上へと真っ逆さま。
でもその落下はすぐにおさまり、急にゆりかごに揺られているような、気持ちのいい揺れに変わった。目の前ではロベールが、僕の顔を覗き込み苦笑いを浮かべている。
「びっくりさせたな。悪かった」
「別に信じてたし……」
まあしっかり悲鳴はあげちゃったけどね。
心底ほっとした僕は、ゆらゆらと空中でお姫様抱っこされたまま甘えモードに入っちゃって、キュッとロベールにしがみついたままだ。
どうやらロベールもそれをよしとしているようで、そのままゆらゆらと空中に浮いている。
「灰咲さーん、楽しかったねぇ」
「ああ、そうだな。俺も楽しかったよ。それにしてもお前、やっぱ眠そうだな……、て、えっ!? 何だあれ?」
「……? えっ?」
こんな遅い時間。しかも人通りも少なそうなこの通りに、人が歩いていた。宙に浮いてる僕らを見て、驚愕の表情を見せている。ロベールも慌てて、スーッと一直線に上昇した。
「びっくりした。大丈夫かな?」
「大丈夫だろ、 誰かに喋ったとしても誰も信じないだろうし」
「でも……」
「気にするな。そんなことより……」
「何……?」
ロベールの表情が微妙に変わり、艶やかなそれになる。
「南に誘われてる」
「え?」
「甘く淫らなものが、溢れてるぞ」
「バッ、 何言って……!」
「相変わらず自覚なしか。まあいい」
薄く笑ったロベールが、上昇しながら僕の唇を覆う。 そして掌も淫らに動いて、背中から腰、そしてお尻や太ももを撫で回す。
「ちょっと何してるんだよ、ロベール」
「大丈夫。空中でもセックスはできるから」
「バ…… !! ムグッ」
罵声は途中で遮られた。
ロベールの、甘い甘い唇で……。
おしまい💛
「どうしてたんだよ、心配したんだからな」
「ごめん。変態に遭遇してロベールに助けてもらってた。それで授業遅れちゃったから、保健室に寄って時間つぶしてた」
「 そっか。ロベール先生と一緒だったんなら安心だけど、でも変態って? 前にトイレで遭遇した上級生?」
「 ……そっちじゃないんだけどさ。で、笹山たちはどうなったの?」
「うん? 戻ってきた時なんとなく、ちょっと雰囲気違ってた。ほら」
そう言って奏多が視線を笹山たちに向ける。そこには、いつもはいない日暮が加わっていた 。彼が笹山を見るその表情は何とも言えない面映ゆいもので、見ようによってはちょっぴり照れてるようにも見える。
「あれって……、友達になったってこと?」
「友達というよりは日暮の思いが実りかけてるって感じじゃないの? 笹山が、日暮のことを受け入れかけてる」
「そう、か」
あれから何を話したのか分からないけど、うまくいったんだね。
日暮が、笹山のことをずっと好きだったって知っていた僕としては、あの雰囲気はやっぱり嬉しい。好きすぎるあまり、不器用にしかふるまえなかった日暮だったから。
☆☆☆☆☆☆☆☆
そうしてスノウに対する心配が完全に払拭された後、春休みに入った。僕とロベールは、ゆったりと恋人同士を満喫中。
夕食後、両親がテレビに夢中になっているのをいいことに、今ロベールは僕の部屋にきてまったりとしている。
「ねえ、ロベール。今夜はこの部屋に来る?」
「そうだな。ここでイチャイチャするのもいいが、久しぶりに夜空の散歩でもするか?」
「え?」
「今夜は月が綺麗だ」
そう言って視線を窓にチラリと向けた後、いたずらっ子の表情でロベールがにやりと笑う。
「うん!」
僕は初めて会った日のことを思い出していた。あの時家まで送ると言って僕を抱き上げて、家まで飛んで行ってくれた。その頃はロベールのことをこんな風に信用していなかったから、かなり驚愕したけれど。
「わああー、すっごい高い」
家族が寝静まった後ロベールが僕の部屋にやってきてた。そして僕を抱き上げ、一直線に空へと上がる。まあるいお月様が、すごく大きく見えた。
「怖くないか?」
「ううん、全然 。それよりもすごい。お月様がいつもより大きいし、家なんかあんなに小さく見える」
「じゃあ少し移動するぞ」
「ひゃっ!」
急にロベールが動き出したのでびっくりして、背中にぎゅっと掴まった。風を切って走る様はまるで鳥にでもなったような気分だ。しばらく明かりの少ない方面へと移動したロベールは、大きな一本の木の枝に泊まるように僕を降ろした。
「すごい大きい木だね。結構高い……」
「怖いか?」
「そりゃ……。だって下が、結構小さく見える」
――だけど、
「たとえ落下することがあっても、ロベールが受け止めてくれるんだろ?」
「ふっ……、そうだな。だからこんなことをしても……」
「ロベ……」
一瞬艶やかに笑った後、ロベールは顔を近づけ唇を寄せ、可愛らしく甘く僕の唇をついばむ。嬉しくて幸せで、ここが高い木の上だということも忘れて、僕もロベールの背に腕を回した。お互い夢中になって相手の口腔内を貪る。
「っ……、んっ」
「南……」
んん……、
ロベールとのキスは本当に好きだ。彼が僕に夢中になってくれているのも嬉しいし、それに気持ちいいからずっと求めていて欲しいと思ってしまう。
すごくすごく幸せ……。
「ひゃあっ!!」
二人とも夢中になりすぎてた。お互いに没頭していたためついにはバランスを崩し、太くしっかりした枝からぐらりと身体が傾ぐ。
「ギャア------ッ!! んんんーーーー!」
急激に勢いよく落下する様に、僕はパニックを起こしてロベールにしがみつきながら悲鳴を上げる。その口をすぐにロベールの口が塞いだ。キスをされながら地上へと真っ逆さま。
でもその落下はすぐにおさまり、急にゆりかごに揺られているような、気持ちのいい揺れに変わった。目の前ではロベールが、僕の顔を覗き込み苦笑いを浮かべている。
「びっくりさせたな。悪かった」
「別に信じてたし……」
まあしっかり悲鳴はあげちゃったけどね。
心底ほっとした僕は、ゆらゆらと空中でお姫様抱っこされたまま甘えモードに入っちゃって、キュッとロベールにしがみついたままだ。
どうやらロベールもそれをよしとしているようで、そのままゆらゆらと空中に浮いている。
「灰咲さーん、楽しかったねぇ」
「ああ、そうだな。俺も楽しかったよ。それにしてもお前、やっぱ眠そうだな……、て、えっ!? 何だあれ?」
「……? えっ?」
こんな遅い時間。しかも人通りも少なそうなこの通りに、人が歩いていた。宙に浮いてる僕らを見て、驚愕の表情を見せている。ロベールも慌てて、スーッと一直線に上昇した。
「びっくりした。大丈夫かな?」
「大丈夫だろ、 誰かに喋ったとしても誰も信じないだろうし」
「でも……」
「気にするな。そんなことより……」
「何……?」
ロベールの表情が微妙に変わり、艶やかなそれになる。
「南に誘われてる」
「え?」
「甘く淫らなものが、溢れてるぞ」
「バッ、 何言って……!」
「相変わらず自覚なしか。まあいい」
薄く笑ったロベールが、上昇しながら僕の唇を覆う。 そして掌も淫らに動いて、背中から腰、そしてお尻や太ももを撫で回す。
「ちょっと何してるんだよ、ロベール」
「大丈夫。空中でもセックスはできるから」
「バ…… !! ムグッ」
罵声は途中で遮られた。
ロベールの、甘い甘い唇で……。
おしまい💛
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