上 下
54 / 93
第四章

イチャイチャ解禁

しおりを挟む
ロベールはふっと息を吐いて、ちょっとだけ姿勢を崩し腰に手を当てた。

「……何か、あったな」
「うん……。ザワザワした」
「ザワザワ?」
「なんていうか……、体中を見えない誰かに撫でまわされたような変な感触が、……!?」

僕の話を聞いているロベールの表情が、見る見るうちに悪鬼に包まれたような恐ろしいものへと変化した。しかもそれは表情だけには止まらなかった。ロベールから発せられるオーラすらも、憤怒に包まれている。

「……あの野郎……!」
「ロ、ロベール……?」

たじたじとして思わず後ずさる僕の腕をロベールがグイッと掴んだ。

「イチャイチャ禁止は終わりだ」
「え? な、なんで?」
「スノウの奴、南に気付きやがった」
「……え?」

スノウって、使い魔を飛ばしているっていう、あの……?

「……お前のフェロモンを感じた直後に、妙な気配がしたからな。嫌な予感はしていたんだが……」
「あっ」
「なんだ?」
「あ、ううん、何でもないっ」

僕のフェロモンを感じたって、多分あの時だよな?
日暮に好きな人のこと追及されて、ロベールとのいろんなこと思い出しちゃって熱くなっちゃってた時の……。

「――何をしていたんだ?」
「……え?」
「さっきの南の顔は、自分がフェロモンを放った時のことを思い出していたからなんだろう? ――何してた」

ちょっと! 何、そんな怖い顔してんだよ!
僕が浮気するわけないじゃんか!

「何をしていた」
うう~、また尋問口調だよぉ。
こういう時のロベールって怖いっていうのに……。

「南」
「……っ、ロベールのこと! ロベールのこと考えてたんだよ! 日暮に好きな奴ってどんな奴なんだって聞かれて、ロベールのこと考えてたら……、その、いろいろ思い出しちゃって……」

カーッとまた顔に熱が集まる。
こんなこっばずかしいこと本人目の前に話す情けなさ、分かってんのかよ!

恥ずかしさマックスでじろりとロベールを上目遣いに睨むと、ロベールは目を見開いてちょっぴり間抜けな顔をしていた。
……そんな表情もロベールがすると、情けないどころか可愛く見えちゃうんだけどね。

「南……」

今度はそのまま表情を優しく崩して、ゆっくりと僕を抱き寄せた。

「決めた。南の家に住み込もう」
「……? は?」
「余計な力は使いたくないから、南、悪いが家の人に学校の保健医が下宿先を探していると話をしてくれないか? 下宿代もちゃんと払うからと言って」
「え? 下宿?」
「ああ、そうだ。今いるアパートが古くなって取り壊しが決まったから急いでいるとか、適当に説得してくれ」
「分かった。昔ばあちゃんが使ってた部屋がそのまま残ってるから、多分、大丈夫かとは思うけど……」

どうしよう。すごくワクワクしてきた。
もしこれがうまくいったら、家に帰っても堂々とロベールに会えるって事だよな?

ど……、同棲みたいだ……!

「南……、また溢れてきているぞ」
「……え?」

くすりと揶揄うように笑ったロベールが、ゆっくりと僕の唇を覆った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

聖騎士の盾

かすがみずほ@11/15コミカライズ開始
BL
純潔の聖騎士は、あることをきっかけに淫らな悪魔の手に堕ちてしまう。 人の温もりを知らなかった彼は、肌を合わせる快楽とそれ以上の幸福を知ってしまい――。 人死注意、激しい性描写注意のファンタジーBL。 表紙https://www.pixiv.net/member.php?id=404935よもち様 ロゴhttps://mobile.twitter.com/choulac ണɑϲһǐ࿉様

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

花開かぬオメガの花嫁

朏猫(ミカヅキネコ)
BL
帝国には献上されたΩが住むΩ宮という建物がある。その中の蕾宮には、発情を迎えていない若いΩや皇帝のお渡りを受けていないΩが住んでいた。異国から来た金髪緑眼のΩ・キーシュも蕾宮に住む一人だ。三十になり皇帝のお渡りも望めないなか、あるαに下賜されることが決まる。しかしキーシュには密かに思う相手がいて……。※他サイトにも掲載 [高級官吏の息子α × 異国から来た金髪緑眼Ω / BL / R18]

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

処理中です...