近くにいるのに君が遠い

くるむ

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俺に触れて?

心も体も4

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浴室の前まで来た陸が、俺に「ドア開けて」と指示をした。

「あのさ、陸」
「何?」
「…二人で入るには狭すぎると思うよ」
「……それなりに入れるだろ」

それなりって…。

ちっとも引く気配がなく俺をじっと見る陸に、とうとう俺も折れてドアを開けた。
だけど陸は浴室をチラッと見た途端、思案顔になる。

「ああ、まずいな。まずはここで服を脱ごうか」

陸はそう言って俺を下ろし、俺のシャツに手をかけた。

「脱がしても、いい?」
「…っ」

小首を傾げながら俺の返事を待つその様子は、まるで子犬のようだ。

いつもは番犬って呼ばれてるくせに…っ!

計算した態度なのかそれとも自然な態度なのか、絆されてしまいそうになるその表情に、俺の気持ちがぐらぐら揺れた。

「ダメか? 水」

眉を八の字に下げて、自信なさげに俺をじっと見るのは止めてくれ。

「…水?」

あ~っ!もう!!

「いいよ! その代わり俺も陸の服、脱がすからな!」

もうどうにでもなれと、やけくそにそう言うと、陸は嬉しそうに微笑んだ。

「ああ。脱がしっこしよう」

陸のその言葉通りに、お互いのシャツを脱がしにかかる。
二人ともTシャツを着ていたので、俺は裾から上に持ち上げようと陸のシャツを掴もうとした。だけどそれよりも先に、陸が俺のシャツの中に手を入れてきて、俺の素肌を撫で上げる。

「…っ、んっ。ちょ、陸…っ!」
「なに?」

分かってるだろうに知らないふりをして、わき腹から斜め上に掌を移動し、胸の辺りでゆるゆると撫でまわす。

「ちょっと…っ、ま、待てっ…。服…、服脱がすって…」
「たくし上げてるだろ? どうせなら同時に脱ごうかなと、水が俺の服を脱がすのを待ってやってるんだけど」
「や…っ」

俺はとうとう立ってられなくなって、前かがみになって陸にしがみついた。
その反動で、やわやわと俺の胸を撫でていた陸の掌が、俺の胸の突起を押しつぶす。

「ん…っ!!」

刺激が途端に強くなって、ひときわ高い声が出てしまった。恥ずかしい…!
いつの間にかすっかり俺の方が追い詰められているようなんですけど…?

俺の心の文句が聞こえたのか、陸が楽しそうに笑った。

「ごめん。あんまり水が可愛いから調子に乗った」

服の中に入り込んでいた悪戯な手が、俺の背中に回る。キュッと一瞬強く抱きしめた後、普通に俺のTシャツをスッと脱がした。
あまりにもスムーズな普通な流れに、俺はポカンと陸を見つめてしまう。

「脱がしてくれるんじゃなかったのか?」
「あ、うん」

我に返って陸のシャツに手をかける。まくり上げると、陸の程よく鍛えられ引き締まった胸板が目に入った。
細身なくせにしっかりと付いた筋肉。

…そういえば、陸は家で腹筋とか背筋とか、ちゃんと鍛えてるって言ってたっけ。
中学の時にサッカー部に入っていた名残で、今でもつい筋トレを続けてしまうとか…。
あの頃に比べるとちゃんとしたメニューではないと言って、笑っていたけど。

「何?どうした?」

陸の体に見惚れていた俺は、慌ててシャツを上に引っ張り上げそのまま脱がした。そしてつい、露わになった胸板にそっと触れる。陸の体がピクンと揺れた。
だけど俺はそれにお構いなしに陸の胸を撫で続ける。

「陸、本当はサッカー続けたいとか思ったりしない?」
「…っ。い、や…、思わねーよ…。それよか、水…お前」
「うん? な…!?」

「煽るんじゃねえよっ!!」

陸は叫ぶのと同時に俺のベルトに手をかけて、素早く外したかと思ったら、勢いよく俺のパンツを下着ともどもずり下した。いきなりのまっばに動揺していると、陸は自分もさっさと下を脱ぎ捨て、またもや俺を抱き上げた。
そしてバスタブの中に二人で入って、カーテンを引きシャワーの蛇口を捻る。

あまりにも素早い陸の行動に、恥ずかしい事も忘れて目をぱちくりさせる。
陸は俺にも自分にもシャワーを浴びせて、ボディソープを手に取り泡立て、それを俺に撫でつけ始めた。

「ちょっ、待って。ハンドタオルがあっただろう」
「あんなん、どーせ泡なんか立たねーよ」

そう言って、陸は俺の首筋から肩、そして胸へと泡を撫で付けていく。

「つ…。う、ん…っ」

やわやわと意味深に撫でる陸の掌。
俺はぶるぶると震えながら、陸の肩にしがみ付いていた。
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