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礼人と歩
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日曜日の今日、礼人さんと公園で待ち合わせ中。少し早く来てしまったので、ベンチに座って足をブラブラとさせていた。
「すまん、待たせたか?」
「いいえ、僕が早く来すぎちゃって」
振り返って仰ぎ見ると、礼人さんは小さな買い物袋を持って立っていた。少し息を切らせて。
まだ全然早いのに、走って来てくれたんだろうか?
礼人さんは、きょろきょろとあたりを見回した。
「都合よく誰もいないな」
「えっ?」
都合よくという言葉に首をひねりながら僕もきょろきょろと辺りを見回した。少し肌寒くなりはじめたからなのだろうか。朝の9時というこの時間には、誰かが来る気配すらなかった。
礼人さんも、僕の隣に腰を下ろした。そして、袋から小さな箱を取り出す。
「おやつだ、一緒に食べようぜ」
「あっ、ポッキーだ!」
「好きか?」
「はい!」
「そうか、それはよかった」
礼人さんの口角が上がった。なんとなーく、人の悪そうな感じだ。
礼人さんの綺麗な指が、ポッキーの箱を丁寧に開けて一本取り出し口にくわえた。そしてその顔ごと、「ん」と僕に向かって顔を寄せる。
えっ?
戸惑っていると、礼人さんはさらに近づいてきてポッキーの先端で僕の唇をつついた。
ええ~? もしかして、ポッキーゲームをしようってこと?
だってこれって、 2人でもぐもぐして行って、誰かが降参しない限り最後には唇がくっついちゃうんでしょ?
かといって礼人さん相手に逸らしたり折ったりするなんて失礼極まりないし~。(というか、したくないし!)
もたもたしちゃうけど、もたもたしすぎたらきっと礼人さんを嫌な気持ちにさせちゃう。そんなの僕としては、絶対にしちゃいけないことだ。
えいっ、と勢いでポッキーの端っこをくわえた。
礼人さんがいつものような猫の目になって、妖艶に微笑んだ。
うううわっ。
ポッキーゲームなんて初めてするから気がつかなかったけど、顔がめっちゃ近いよ。目のやり場に困る。
視線をさまよわせながら、ちびちびと噛んでいく。礼人さんはもぐもぐむしゃむしゃと遠慮ない勢いだ。
どどど、どうしよう。礼人さんのきれいな顔が近付いてくる。睫毛長い、鼻筋きれい。肌もめっちゃきれい!
ドキドキドキドキ。
あ~、緊張しすぎて目の焦点が合わなくなってきた。ぼやけて見えてる。せっかくの綺麗な礼人さんの顔なのに。
ふにっ。
へっ?
あっ……。
柔らかい唇が押し当てられている。ビクッと震えた僕の腕を、礼人さんの手が優しく引き寄せた。
唇は何度も何度も柔らかく押し当てられ、それから離れた。
「礼人さん……」
「可愛いよなあ」
うっとりとした感じで言われて、ますます恥ずかしくなってきた。
顔が熱いよ。
「なあ、歩」
「は、はい」
「まだ、誰も来ないな」
「そう……ですね」
「続き、してもいい?」
「えっ?」
ポッキーゲーム、まだやるの? 恥ずかしいんですけど。
戸惑う僕の心の声が聞こえたのか、礼人さんは色っぽく微笑んで僕の顎に手をかけた。
「今度はポッキーなしだ」
そういって今度は、さっきとは比にならない、深くてめちゃくゃドキドキするキスをされてしまった。
「すまん、待たせたか?」
「いいえ、僕が早く来すぎちゃって」
振り返って仰ぎ見ると、礼人さんは小さな買い物袋を持って立っていた。少し息を切らせて。
まだ全然早いのに、走って来てくれたんだろうか?
礼人さんは、きょろきょろとあたりを見回した。
「都合よく誰もいないな」
「えっ?」
都合よくという言葉に首をひねりながら僕もきょろきょろと辺りを見回した。少し肌寒くなりはじめたからなのだろうか。朝の9時というこの時間には、誰かが来る気配すらなかった。
礼人さんも、僕の隣に腰を下ろした。そして、袋から小さな箱を取り出す。
「おやつだ、一緒に食べようぜ」
「あっ、ポッキーだ!」
「好きか?」
「はい!」
「そうか、それはよかった」
礼人さんの口角が上がった。なんとなーく、人の悪そうな感じだ。
礼人さんの綺麗な指が、ポッキーの箱を丁寧に開けて一本取り出し口にくわえた。そしてその顔ごと、「ん」と僕に向かって顔を寄せる。
えっ?
戸惑っていると、礼人さんはさらに近づいてきてポッキーの先端で僕の唇をつついた。
ええ~? もしかして、ポッキーゲームをしようってこと?
だってこれって、 2人でもぐもぐして行って、誰かが降参しない限り最後には唇がくっついちゃうんでしょ?
かといって礼人さん相手に逸らしたり折ったりするなんて失礼極まりないし~。(というか、したくないし!)
もたもたしちゃうけど、もたもたしすぎたらきっと礼人さんを嫌な気持ちにさせちゃう。そんなの僕としては、絶対にしちゃいけないことだ。
えいっ、と勢いでポッキーの端っこをくわえた。
礼人さんがいつものような猫の目になって、妖艶に微笑んだ。
うううわっ。
ポッキーゲームなんて初めてするから気がつかなかったけど、顔がめっちゃ近いよ。目のやり場に困る。
視線をさまよわせながら、ちびちびと噛んでいく。礼人さんはもぐもぐむしゃむしゃと遠慮ない勢いだ。
どどど、どうしよう。礼人さんのきれいな顔が近付いてくる。睫毛長い、鼻筋きれい。肌もめっちゃきれい!
ドキドキドキドキ。
あ~、緊張しすぎて目の焦点が合わなくなってきた。ぼやけて見えてる。せっかくの綺麗な礼人さんの顔なのに。
ふにっ。
へっ?
あっ……。
柔らかい唇が押し当てられている。ビクッと震えた僕の腕を、礼人さんの手が優しく引き寄せた。
唇は何度も何度も柔らかく押し当てられ、それから離れた。
「礼人さん……」
「可愛いよなあ」
うっとりとした感じで言われて、ますます恥ずかしくなってきた。
顔が熱いよ。
「なあ、歩」
「は、はい」
「まだ、誰も来ないな」
「そう……ですね」
「続き、してもいい?」
「えっ?」
ポッキーゲーム、まだやるの? 恥ずかしいんですけど。
戸惑う僕の心の声が聞こえたのか、礼人さんは色っぽく微笑んで僕の顎に手をかけた。
「今度はポッキーなしだ」
そういって今度は、さっきとは比にならない、深くてめちゃくゃドキドキするキスをされてしまった。
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