上 下
1 / 18

ドキドキし過ぎるんだよ、悪いかっ

しおりを挟む
「……ん」

和基の舌が、俺の口腔内で甘く蠢いている。舌を絡め舐められて頭がぼうっとして蕩けてくる。
力の入らなくなった体を支えるために、和基の腕をギュッと掴んだ。

「青葉さん……」
「…………」

一旦唇が離れたので、顔を上げて和基を見上げた。頭がぼうっとしているので、視線が揺らぐ。

だけど離れてくれてホッとした。
これ以上続けられたら、本当に力が入らなくなるところだ。

「ああ、もう! 青葉さんったら可愛すぎる!」

ギュムッと抱きしめられて、充足感に満たされていく。

本当に、本当に俺はこいつに溺れている。
自覚があり過ぎて恥ずかしいほどだ。だけど――、

「……もう、いいだろ? ここでこれ以上こんなことしてたら、誰かに見られてしまうぞ?」
「見られたっていいですよ! その方が牽制できるし!」
「……牽制って、お前――」 
「だって青葉さんを好きな人、ホント嫌になるくらいウジャウジャいるじゃないですか」
「…………」

それを言うなら心配なのはお前の方だ。
俺はたいてい相手が自分に気がある時は気が付くから、下手に隙なんて見せないけど、お前は鈍感だから下級生にニコニコ愛想を振りまいてるくせに。

恨めしい気持ちで、下から睨んだのに、こいつは何を思ったのかまた俺をグイッと引き寄せた。

「あ~、もう。本当に心配です。青葉さんをどこかに隠しておきたいですよ~」
「……っ、バカ! だからいい加減に離れろって!」

心臓が煩いくらいドキドキし始めたから、こいつに悟られる前にグイッと引き剥がした。
案の定、和基は剥れた顔をして見せた。

「……もう、青葉さんったら本当にクールなんだから……」

「…………」

クールなんかじゃない。
溺れて溺れて仕方がないから、どうにか息をしたいだけだ。

だけど鈍感なこいつは、俺のそんな気持ちになんて気づきもしていないんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

司祭様!掘らせてください!!

ミクリ21
BL
司祭が信者に掘られる話。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

助けの来ない状況で少年は壊れるまで嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...