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君と運命の糸で繋がっている

君と、ずっと一緒に

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「うん……」

寒さを感じて、鈴海が目を覚ます。無意識に布団を引き上げようとして手探りするが、どうやら手の届く範囲には無さそうだ。
瞼を無理やり開けてキョロキョロとする。すると見なくてもいい自分の体まで見えてしまい、瞬時に色んなことを思い出してしまった。

ガバッと飛び起きて、布団の端に除けてあった着物を素早く着る。
そして暗い部屋を見回してガッカリした。


朔也がいない。

つい何時間前まで鈴海の体を翻弄し、甘い疼きや痺れを刻み付けていったくせに、その張本人はこの部屋のどこにも居なかった。

「……なんだよ。コトが終わったら、どっか行っちゃうわけ…? 冷たすぎ…」

「心外だな」

項垂れた頭上から朔也の声が降って来た。びっくりした鈴海が顔を上げると、障子を閉めて朔也が部屋に入ってきたところだった。

「だ、だって…。どこ行ってたんだよ……」

頬を膨らませて文句を言う鈴海の口調は、すっかり藤のそれに戻っている。

「体をきれいにし終わったからな。下に行って、桶と手拭いを片付けて来たんだ」
「え…?」

そう言われてみたら、やけにさっぱりとしてスッキリしていた。
自分が眠っている間に朔也がきれいにしてくれていた事に気が付いて、鈴海の頬がほんのり赤くなる。


「藤……」

呼ばれて上げた鈴海の頬を、朔也の掌が撫でる。

「もう、ずっと一緒だ」
「……うっ、うん」

鈴海の頬を撫でる朔也の掌を、上からギュッと握りしめ、溢れる涙を堪えながら返事をする。


ずっと、ずっと待っていたのだ。
他の何にも興味を示さず、いつ現れるのか分からない、存在しているのかすら分からない朔也を。

それはきっと無意識に、魂の奥底に眠っていた藤の記憶の叫びが、鈴海の意識に届いていたのだろう。



鈴海の涙をじっと見つめていた朔也が不意に顔を近づけて、鈴海の唇に軽く口付ける。
瞬時に頬を赤くした鈴海だったが、すぐに甘えるように朔也に抱き着く。
触れ合ったそこから伝わる熱が気持ちいい。



抱き合う二人の背後から、昇り始めた陽の光が薄く差し込み始めていた。
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