1 / 1
序章 頼み
序章 頼み
しおりを挟む
暗闇の中に少女と青年が立っている。少女は真っ黒なワンピースを着ていて、金色の腰までロングヘアーで。緋と蒼の異なる色をした悲しげな双眸がしっかりと青年を見つめ、射ぬいている。
「ここはどこなの?」
少女は厳かに青年に問いかける。
「ここは君の心の中だよ」
ふわり優しく微笑み青年は表情にあった口調で返答する。
17歳位の青年は白のカットシャツに黒いズボンを履き黄金色の長い髪は一つに束ねられていた。
「私の…心の中!?」
目を見張り少女は驚いたようだったが、それも一瞬で収まる。
自分の内にそう簡単に入り込める筈がないと確信してい
たらしい。
だが彼は、いとも簡単にそれを破った。
「ここにはどうやって入ったのよ?」
少女は未だに厳かなまま問い掛ける。
「それは簡単さ。君の心にリンクしたから入れたんだ」
優しく微笑みを崩さないまま、青年は問いに答える。
「君の心にリンクしたから入れたんだ」
と青年は少女に優しく言った。
「私の心に…」
ぼそりと少女が呟く。
感情が欠落している少女の心にリンクするのは相当な魔力を使うはずなのに青年は簡単にやってしまった。
「君に頼みたいことがあるんだ」
青年が少女に言う。
青年の顔はどことなく少女に似ていた。
そして少女は理解した。
今の現状を。そして彼が何者なのかも。
「私に、頼みたいこと?」
自身には何も出来ることがないというのに。
だが頼んできた青年の正体を知っているため、彼女は引き受けることにした。
「この国のこ……う……………」
青年の言葉は所々切れていて、うまく聞き取れない。
だけど少女はなんとなく察した。
青年がした頼みはきっと果たされないだろう。
少女のが一番それを知っているのだから。
「も…じ…ん……い」
青年は少女に手を伸ばしたが、届きそうなところで消えてしまう。
残された少女は一人ぽつんっと立っていた。
「ここはどこなの?」
少女は厳かに青年に問いかける。
「ここは君の心の中だよ」
ふわり優しく微笑み青年は表情にあった口調で返答する。
17歳位の青年は白のカットシャツに黒いズボンを履き黄金色の長い髪は一つに束ねられていた。
「私の…心の中!?」
目を見張り少女は驚いたようだったが、それも一瞬で収まる。
自分の内にそう簡単に入り込める筈がないと確信してい
たらしい。
だが彼は、いとも簡単にそれを破った。
「ここにはどうやって入ったのよ?」
少女は未だに厳かなまま問い掛ける。
「それは簡単さ。君の心にリンクしたから入れたんだ」
優しく微笑みを崩さないまま、青年は問いに答える。
「君の心にリンクしたから入れたんだ」
と青年は少女に優しく言った。
「私の心に…」
ぼそりと少女が呟く。
感情が欠落している少女の心にリンクするのは相当な魔力を使うはずなのに青年は簡単にやってしまった。
「君に頼みたいことがあるんだ」
青年が少女に言う。
青年の顔はどことなく少女に似ていた。
そして少女は理解した。
今の現状を。そして彼が何者なのかも。
「私に、頼みたいこと?」
自身には何も出来ることがないというのに。
だが頼んできた青年の正体を知っているため、彼女は引き受けることにした。
「この国のこ……う……………」
青年の言葉は所々切れていて、うまく聞き取れない。
だけど少女はなんとなく察した。
青年がした頼みはきっと果たされないだろう。
少女のが一番それを知っているのだから。
「も…じ…ん……い」
青年は少女に手を伸ばしたが、届きそうなところで消えてしまう。
残された少女は一人ぽつんっと立っていた。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる