64 / 65
第二章 世界旅行
人間に恋した天使(後編)
しおりを挟む
「私ね、とてもモテたのよ」
「はぁ⋯⋯」
ガブエルさんは、まるで当たり前に息を吐くように言う。
確かに、顔立ちは整っている。
「それでね、たまたま助けた人間が私に恋しちゃって、最初は人間と結ばれるなんてありえないと思ったの」
「まあそうなりますよね」
「でも彼しつこくて、結局私折れちゃったのよ。まあ彼からプロポーズされた時にはもう私も好きになってたんだけど」
まるで最近の事かのように、ガブエルさんは頬を染めています。まるで付き合いたてのカップルの様ですね。
「まあ、意外と恋に落ちるのなんて簡単なのよね。貴女ももしかしたらそうなるかも」
「ふっ、私が恋に落ちるなんて有り得ませんよ」
私は強くそう言い返す。恋愛なんて、私の柄ではないですからね。
「そう? まあ、いい報告があったら教えてね」
「まあ、期待しないで待っていてください。それでは」
「あら、もう行くの? 夕食でも食べていったら?」
「ここには困っている人はいなさそうですから。貴女もいる事ですし、私のやることはありません」
私は救済の旅の身ですから、困り人無きところに私なしです。長居は無用という所で、腰掛けていた椅子から立ち、家を出ようとします。
「んー、もう行くのかぁ。大天使の加護があらんことをー」
「随分適当ですね⋯⋯」
「まあ、元だからね。緩く行くよ」
私は「そうですか」、とだけ相槌を打ち、翼を広げて村を出た。
「人間と天使が恋に落ちるなんて事もあるんですね⋯⋯」
なんというか、この世界は可能性に満ちているんだなと思います。
私の常識は、私の中の常識なだけで、他者の常識は全く別のものなんでしょう。人間界に来てからそういった事で驚く事ばかりです。
「んーなんというか退屈しませんね。まだまだ旅を続けられそうです」
救済の旅ですが、個人的に楽しんでしまっているのかもしれません。
まあ、それならお互いに利があるということでいいでしょう。
「明日はどんな人と出会うのでしょうか。悪人以外なら大歓迎です」
私は、少しだけ高鳴る胸を抑えて大空を舞った。
「はぁ⋯⋯」
ガブエルさんは、まるで当たり前に息を吐くように言う。
確かに、顔立ちは整っている。
「それでね、たまたま助けた人間が私に恋しちゃって、最初は人間と結ばれるなんてありえないと思ったの」
「まあそうなりますよね」
「でも彼しつこくて、結局私折れちゃったのよ。まあ彼からプロポーズされた時にはもう私も好きになってたんだけど」
まるで最近の事かのように、ガブエルさんは頬を染めています。まるで付き合いたてのカップルの様ですね。
「まあ、意外と恋に落ちるのなんて簡単なのよね。貴女ももしかしたらそうなるかも」
「ふっ、私が恋に落ちるなんて有り得ませんよ」
私は強くそう言い返す。恋愛なんて、私の柄ではないですからね。
「そう? まあ、いい報告があったら教えてね」
「まあ、期待しないで待っていてください。それでは」
「あら、もう行くの? 夕食でも食べていったら?」
「ここには困っている人はいなさそうですから。貴女もいる事ですし、私のやることはありません」
私は救済の旅の身ですから、困り人無きところに私なしです。長居は無用という所で、腰掛けていた椅子から立ち、家を出ようとします。
「んー、もう行くのかぁ。大天使の加護があらんことをー」
「随分適当ですね⋯⋯」
「まあ、元だからね。緩く行くよ」
私は「そうですか」、とだけ相槌を打ち、翼を広げて村を出た。
「人間と天使が恋に落ちるなんて事もあるんですね⋯⋯」
なんというか、この世界は可能性に満ちているんだなと思います。
私の常識は、私の中の常識なだけで、他者の常識は全く別のものなんでしょう。人間界に来てからそういった事で驚く事ばかりです。
「んーなんというか退屈しませんね。まだまだ旅を続けられそうです」
救済の旅ですが、個人的に楽しんでしまっているのかもしれません。
まあ、それならお互いに利があるということでいいでしょう。
「明日はどんな人と出会うのでしょうか。悪人以外なら大歓迎です」
私は、少しだけ高鳴る胸を抑えて大空を舞った。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】冒険者PTを追放されたポーターの僕、チートスキルに目覚めて世界最強に。美少女たちにもモテまくりで、別の意味でツッコミが追いつかない
岡崎 剛柔
ファンタジー
「カンサイ、君は今日限りでポーターをクビだ。さっさと出て行ってくれ」
ポーターとして日々の仕事を頑張っていたカンサイは、自身が所属していた冒険者パーティーのリーダーから給料日前にそう宣告された。
しかもリーダーのクビの理由はあまりにも身勝手で理不尽だったことに加えて、働きぶりが無能だから給料を支払わないとも告げてきたのだ。
もちろん納得がいかなかったカンサイは、リーダーに掴みかかりながら抗議して給料の支払いを求めた。
しかし、リーダーは給料の支払いどころか「無能が俺に触れるな」と平手打ちをしてきた。
パンッ!
その瞬間、カンサイは世界最強かつ空前絶後の超絶スキル――【ツッコミ】スキルに目覚める。
そして心身ともに生まれ変わったカンサイは、この【ツッコミ】スキルを使ってリーダーとその仲間を瞬殺ざまぁした(ざまぁしたのは男だけで女魔法使いは仲間にした)。
やがてカンサイはロリっ子神様(?)と出会うことで、自分の真の正体がわかるどころか【ツッコミ】スキルが【神のツッコミ】スキルへと変化する。
その後、カンサイは女魔法使い、ロリっ子神様(?)、第三王女たちと独自のハーレムを築いたり、魔人を倒して国王に力を認められて領地をもらったり、少し変な少女に振り回されたりしながらも何やかんやと〝ツッコミ〟をしながら成り上がっていく。
平手打ちから始まったポーターのツッコミ無双ファンタジー、ここに大開幕!!
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
華奢な引きこもり魔術師と、マッチョな押しかけ女房
ミクリ21
恋愛
引きこもり魔術師のジルベルトの日常に、突如押しかけ女房のマチルダがやって来た。
ジルベルトは女性のように華奢なのに対し、マチルダは男騎士かと思うぐらいにムッキムキのマッチョだ。
このマチルダ、実はある秘密がある………それは、前世がヤクザの組長だった!?
そんな二人のラブコメディーの始まりだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる