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第一章カトリの街
エピソード20 エリスとの共同捜査
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「それで、レミリエルさんが捜査に加わって頂けるとの事ですね?」
「そういう事です。ん、話が早くて助かります」
今私たちは、犯罪撲滅組織エリスの方々に直接魔法使いによる連続殺人事件(仮)の捜査に加えて頂く許可を取り終えたところです。
「まさか本当に話が通るとは⋯⋯」
私の横でカムさんは信じられないと驚いている様子でしたが、よくよく考えたら私は以前、「誘拐事件をいち早く嗅ぎつけて少女を救出してなお、犯人の鎮圧にエリスへの迅速な通報」という華々しい功績を残しているので当然の事でしょう。
それに捜査は難航しているようですし、猫の手もとい天使の手も借りたい頃合いでしょう。
そもそも、順調ならば最初の殺人で犯人を突き止められるはずですから。「連続」になってしまった今、彼らの威信にかも関わる問題です。
「ねぇ、捜査に加わるって事は私達も張り込みとか聞き込みとかするのかな?」
「へ?私達は単独捜査ですよ?」
「ん?」
「許可はとっておいていた方がいいですし、何かとバックアップを受けられるかなって思いまして」
明らかに落ち込んだ様子を見せるカムさん。なんですか、エリスにでも憧れがあったんですか。
「ちょっと憧れてたんだけどなぁ。張り込みとかカッコイイし」
「期待させてごめんです」
まあ必要以上に知らない生き物と関わりたくない私が考え無しにエリスに許可を取るわけはなく、きちんと考えがあります。
カムさんにはかなり辛い思いをさせてしまう可能性がありますが。
「カムさん、死体は見られますか?」
「えと、どういう事かな」
「ですから、他殺された死体を見ることは出来ますか?」
「もしできるって言ったら?」
そんなものは決まっているでしょう。実際に被害にあった方の死体を見てもらいます。
「ま、私もそれが手っ取り早いかなって思ってたからいいよ」
カムさんならば死体に微かに付着した犯人の魔力で犯人を割り出す、そこまではいかなくても何らかの手掛かりを得ることはできそうだなと考えたのです。
死体を見せてもらうためにはエリスの許可がどうしても必要だったので。
とりあえず暇そうにしているエリスの方を見つけ、話しかけます。カムさんが。
「あの、死体見せて」
「はい?死体ですか?」
「私からもお願いします」
追撃とばかりにぺこりと頭を下げます。エリスの方は「何言ってるの?」と困惑している様子です。私も逆の立場なら困惑しまくりだと思います。
それ程までにこの案はイカれています。
「いや、レミリエルさんが考えたんだからね?」
「心の中読むのやめてください。今の独白ですから」
「魔法使いを甘く見ない事だね」
人の独白まで覗く魔法使いなんて聞いた事がありませんよ。
「あの、ダメです」
「はい?ダメ、とは」
「いくら捜査に加わる許可が出ているからって遺体を弄られるのは⋯⋯」
「弄りません、見るだけです」
「本当にアナタ、イかれていますよ!!ご自身が何を言っているのか分かっていますか!?」
エリスの方に凄い剣幕で叱られてしまったので、そそくさとカムさんの手を引きその場から退散します。本当に解決に導くのに必要な事なのですが、理解して貰えませんね。
「さっきの人めっちゃ怒ってたね⋯⋯。絶対私達信用されてないよ、マッドサイエンティスト的なあれだと思われたよ」
「そうですね。怖かったですか?」
「私は平気だけどさ、怒られた瞬間レミリエルさんがびくぅ!!ってなってて面白かった」
どうやら私の真似事らしく、カムさんはびくぅ!!と身体を震わせています。今こそ三年の歳の差を分からせてあげましょうか。
「で?どうするの?レミリエルさんの万策尽きちゃったわけでしょ?」
「本当にどうしましょう⋯⋯。ここで躓くとは思っていませんでした」
「もっと先の先考えようよ」
カムさんのごもっともな意見を素直に聞き入れ、三年の歳の差を分からせるどころか分からされてしまいました。
「まあ、落ち込む前に打開策考えようよ?ね?」
何処まで大人なんですか、カムさん。ちなみに今はエリスの本部の会議室の端っこに座りながらこの会話をしています。絶賛会議中みたいです。
エリスのお偉いさん方から「会議の邪魔だ。親指で潰すぞ」、「誰コイツら。なんで居るの?」という視線が向けられています。ただ、ここで負ける訳にはいきません。
「あーあ、本当に遺体さえ見れれば犯人が割り出せるのに」
「まだ言ってるの?駄目だって言われたじゃん」
「いやぁ、話の分かるお偉いさんが入れば話は変わると思いまして」
ブチ切れ寸前のお偉いさん達の顔をチラチラと見ます。どうやらこちらに少し興味を持っているみたいです。
「お前」
「はい、なんでしょうか?」
お、食いついてきました!これで死体を見させてもらえるでしょうか。
「お前さんやってる事が人間じゃないぞ?」
⋯⋯私は天使ですので。はい。ただ会議の妨害行為をしまくったのは謝罪してもいいですかね。
「あとうるさい。会議中」
「本当にすみません」
素直に謝って起きました。会議中に大変申し訳ありませんでした。
「レミリエルさん今日なんかヤバいよ⋯⋯」
ああ、ついにカムさんにまで引かれてしまいました。
「今日に至ってはだいぶ前から引いてるよ」
「だから独白読むのやめてください」
それされるの結構恥ずかしいんですが。
「それとお前ら、さっきの話は本当か」
「え?」
「だからさっき話してたいた事は本当の事なのか」
どうやらチャンスが舞い込みそうな予感がします。
「そういう事です。ん、話が早くて助かります」
今私たちは、犯罪撲滅組織エリスの方々に直接魔法使いによる連続殺人事件(仮)の捜査に加えて頂く許可を取り終えたところです。
「まさか本当に話が通るとは⋯⋯」
私の横でカムさんは信じられないと驚いている様子でしたが、よくよく考えたら私は以前、「誘拐事件をいち早く嗅ぎつけて少女を救出してなお、犯人の鎮圧にエリスへの迅速な通報」という華々しい功績を残しているので当然の事でしょう。
それに捜査は難航しているようですし、猫の手もとい天使の手も借りたい頃合いでしょう。
そもそも、順調ならば最初の殺人で犯人を突き止められるはずですから。「連続」になってしまった今、彼らの威信にかも関わる問題です。
「ねぇ、捜査に加わるって事は私達も張り込みとか聞き込みとかするのかな?」
「へ?私達は単独捜査ですよ?」
「ん?」
「許可はとっておいていた方がいいですし、何かとバックアップを受けられるかなって思いまして」
明らかに落ち込んだ様子を見せるカムさん。なんですか、エリスにでも憧れがあったんですか。
「ちょっと憧れてたんだけどなぁ。張り込みとかカッコイイし」
「期待させてごめんです」
まあ必要以上に知らない生き物と関わりたくない私が考え無しにエリスに許可を取るわけはなく、きちんと考えがあります。
カムさんにはかなり辛い思いをさせてしまう可能性がありますが。
「カムさん、死体は見られますか?」
「えと、どういう事かな」
「ですから、他殺された死体を見ることは出来ますか?」
「もしできるって言ったら?」
そんなものは決まっているでしょう。実際に被害にあった方の死体を見てもらいます。
「ま、私もそれが手っ取り早いかなって思ってたからいいよ」
カムさんならば死体に微かに付着した犯人の魔力で犯人を割り出す、そこまではいかなくても何らかの手掛かりを得ることはできそうだなと考えたのです。
死体を見せてもらうためにはエリスの許可がどうしても必要だったので。
とりあえず暇そうにしているエリスの方を見つけ、話しかけます。カムさんが。
「あの、死体見せて」
「はい?死体ですか?」
「私からもお願いします」
追撃とばかりにぺこりと頭を下げます。エリスの方は「何言ってるの?」と困惑している様子です。私も逆の立場なら困惑しまくりだと思います。
それ程までにこの案はイカれています。
「いや、レミリエルさんが考えたんだからね?」
「心の中読むのやめてください。今の独白ですから」
「魔法使いを甘く見ない事だね」
人の独白まで覗く魔法使いなんて聞いた事がありませんよ。
「あの、ダメです」
「はい?ダメ、とは」
「いくら捜査に加わる許可が出ているからって遺体を弄られるのは⋯⋯」
「弄りません、見るだけです」
「本当にアナタ、イかれていますよ!!ご自身が何を言っているのか分かっていますか!?」
エリスの方に凄い剣幕で叱られてしまったので、そそくさとカムさんの手を引きその場から退散します。本当に解決に導くのに必要な事なのですが、理解して貰えませんね。
「さっきの人めっちゃ怒ってたね⋯⋯。絶対私達信用されてないよ、マッドサイエンティスト的なあれだと思われたよ」
「そうですね。怖かったですか?」
「私は平気だけどさ、怒られた瞬間レミリエルさんがびくぅ!!ってなってて面白かった」
どうやら私の真似事らしく、カムさんはびくぅ!!と身体を震わせています。今こそ三年の歳の差を分からせてあげましょうか。
「で?どうするの?レミリエルさんの万策尽きちゃったわけでしょ?」
「本当にどうしましょう⋯⋯。ここで躓くとは思っていませんでした」
「もっと先の先考えようよ」
カムさんのごもっともな意見を素直に聞き入れ、三年の歳の差を分からせるどころか分からされてしまいました。
「まあ、落ち込む前に打開策考えようよ?ね?」
何処まで大人なんですか、カムさん。ちなみに今はエリスの本部の会議室の端っこに座りながらこの会話をしています。絶賛会議中みたいです。
エリスのお偉いさん方から「会議の邪魔だ。親指で潰すぞ」、「誰コイツら。なんで居るの?」という視線が向けられています。ただ、ここで負ける訳にはいきません。
「あーあ、本当に遺体さえ見れれば犯人が割り出せるのに」
「まだ言ってるの?駄目だって言われたじゃん」
「いやぁ、話の分かるお偉いさんが入れば話は変わると思いまして」
ブチ切れ寸前のお偉いさん達の顔をチラチラと見ます。どうやらこちらに少し興味を持っているみたいです。
「お前」
「はい、なんでしょうか?」
お、食いついてきました!これで死体を見させてもらえるでしょうか。
「お前さんやってる事が人間じゃないぞ?」
⋯⋯私は天使ですので。はい。ただ会議の妨害行為をしまくったのは謝罪してもいいですかね。
「あとうるさい。会議中」
「本当にすみません」
素直に謝って起きました。会議中に大変申し訳ありませんでした。
「レミリエルさん今日なんかヤバいよ⋯⋯」
ああ、ついにカムさんにまで引かれてしまいました。
「今日に至ってはだいぶ前から引いてるよ」
「だから独白読むのやめてください」
それされるの結構恥ずかしいんですが。
「それとお前ら、さっきの話は本当か」
「え?」
「だからさっき話してたいた事は本当の事なのか」
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