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…ファンタジー定番の誘拐
本当なんなのこの世界、割と冷静な私
一難去ってまた一難ですか
山あり谷あり地獄ありですか

私はガタガタと揺れる乗り物に目隠し、手足縛られ転がされている状態、この感覚は馬車か
それから私以外にも声が何個かする
マダム•マーリンとナチュリーの宣伝を兼ねてモデル兼、商品として成人未満の貴族が集まるとあるお茶会に参加してお手洗いに行った帰り、甘い匂いを嗅がされて意識を失った
あの時はドレスを着ていたけど今は着替えさせられてるようだ
その時の子供達が攫われた?としたら会場は大混乱だろう
すぐに助けが来るのがファンタジーのセオリーではあるけど、さて、この世界はそんなに甘いのか

トリムルティ様、何とかして…あぁ、今日は仕事のドレスだから指輪ないじゃん

と、目的地へ着いたのか担がれて運ばれている
周りは…森?魔物とか大丈夫?あっ森に放置で魔物に食わせる系?
と思ってたら起きてたのに気づかれてまた甘い匂いを嗅がされた
健康∞でも効くのか、、状態異常にはかからない不思議な香りなのか、、意識が、、と、お、く、、、、

次に目が覚めた時には地面は硬く冷たい
目の前には鉄格子、牢屋?本物の牢屋?そして横たわるお茶会で見た子供が5人、全員女の子だ
今は手を後ろに縛られているだけの状態か

「おっ、姫様が目を覚ましたぞ、お前がリュカか」

…顔や腕に傷がありいかにもな感じの男、こいつがボスか?
周りにも剣を持っているいかにもな男達がいる、逃げられない

「おい、聞こえてんだろうが」

足が震える、声が出ない、くそっ怖がるなこんな奴らに屈するなと頭では思うのに虐待の日々が蘇る

「まぁいい、調べはついてるからな、安心しな、大人しくしてれば何にもしない」

知ってるなら聞かないで下さい
ニタニタと嫌な顔で言われても信用できません
牢屋にいるうちは安全、連れて行かれたら終わり

「出ろ」

終わった
牢屋の鍵が空き手を引かれる
無抵抗の私

「大人しいじゃねぇか、やり甲斐がねぇな」

嫌な顔で笑いながら言うな、気持ち悪い、触るな
そう思いつつも体は抵抗をしない

「ぁっあまいにおいは何?」

「あ?」

「かがされたやつ」

「無効花香の事か?」

コクコク

「気絶させる道具だな、俺達じゃめったに手を出せない代物だが今回の依頼人は太っ腹でな、楽に連れてこられて高い報酬がもらえるなんて最高だぜ」

答えてくれるんだ

「調べられても状態異常の痕跡が残らないから足はつかないし買ったのは依頼人だから俺達は知らないで通せる、今回の依頼はローリスク過ぎて笑いが止まらねえ」

ペラペラとよく喋るな~無効花香を知らないとしても誘拐してる時点で捕まるよね、頭悪くない?だからこんなことしてんのか
ん~でも∞でも防げないものがこの世界にはあるのね、誘拐されたおかげ(?)で1つでも学ぶことがあるなんて皮肉だ

冷たく長い廊下といくつかの階段を上がるとふかふかのカーペットの上に辿り着いた
センス悪っ!!…どっかの屋敷だね

「こい」

そう言えば私がリュカかどうか聞いてきたって事は目的は私なのか?私だけ連れてこられたし…???

「これに着替えろ」

このドレスに?て言うか着替えるなら前のドレスの方が上品で可愛くて良かったと思うんだけどなぜ脱がせた

「連れてくるのに前のドレスは邪魔だったからな、途中の道で捨ててきた、早くしろ」

何?この人超能力者?気持ち悪い
そもそもこのドレス1人では着れませんが

「このドレスはひとりでは、きれない」

「あ?手伝えってことか?」

いやいや、お前に手伝われるのは嫌ですけど
しかし私の気持ちなんて汲んでくれるはずもないこの世界、男に体を触られながらも何とか着替えることができた
折角解かれていた縄をもう一度つけられた、手首には跡ついてたしキツく縛りすぎなんだよ、地獄の番人の称号があるお陰かまったく痛くは無いけどさ

「あと何年かしたら俺の女にしてやる」

勘弁してくれ

「いくぞ」

この屋敷、使用人はいないのかな?センスはないけどこんなに大きいのに
掃除も行き届いてないというかしてない?レベルだけど
宝の持ち腐れ感半端無いです

「入れ」

無駄に力強いんだって

「あら~ようやく会えたわね~♪待ってたわ~♪」

「よく来たな、私達が面倒を見てやる、ありがたく思え」

誰だこいつら?下品で派手なドレスに厚化粧の女
でっぷりしたお腹で上から目線のうざい男

「さぁさぁ、早く出しなさい~♪」

「早く金を渡せ」

はい?

「勿体ぶらなくていいのよ~♪」

「養育費を早く出せ!」

は?
養育費って子供のためのお金だからね、大人が払うやつだから
面倒を見てもらう予定はないけどもし見るならアンタらが払うんだけど?

「早くしなさい!」

わ~厚化粧の女、もう化けの皮剥がしたよ

「何をしている!早く出せ!」

いやいや、無いけど?
今は持ってないし、持ってたとしても出さないし

「知ってるのよ!賠償金とか補償金とか貰ったんでしょ!?それに働いてるって言うじゃない!全部私達が使ってあげるからだしなさい!」

「早くしろ!」

男は早くしか言えないのか

「ありませんけど」

「「なに!?」」

パンっ!頬を叩かれた、いや、殴られてる

「嘘をつくな!」

暴行は止まらない
ないものはない

「おい、話が違うぞ」

ボス男が低い声を出した

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結論から言うとアイツらは奴の親、そう、レクト•ネグーミゴの両親だった
誘拐の目的は私

アレから色々掻い潜りながら私を探し出し、モデルとしてそれなりに貴族に顔を知られている事から、私をネグーミゴの後継者にして領地を取り戻し再び貴族社会に華々しく返り咲こうとしていたとか
お金も私に入った賠償金や補償金、ナチュリーでの給料も自分達のものだとか言ってたって話だ
それで贅沢しようと思っていたらしい

しかも今回の誘拐犯の男達への報酬も私のお金から支払う予定だったとかなんとか…ボス男達もそう聞かされてたみたい
まぁ結果、アイツらと男達が揉めてくれたお陰でその隙に逃げれたから良かったけど
他の子供達は会場と騎士団への撹乱、人質、最終的に何処かへ別々に売ってお金にしようとしていたとか
にしても浅はかすぎる、無理だろ、馬鹿なのか、馬鹿なんだな

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