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師匠になりました?

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あれから2か月後、学年の学力テストがあった。
この為に2か月で学年トップの目標を立てた。

問題は簡単だから結果はもちろん満点だった。
薬草のテストは初めてだったからドキドキしたけど、
名前を答える暗記問題ばかりで、今の私の吸収力がスポンジの頭には余裕だった。

若いって素敵。

最近、タオとデイジーにも頑張ってるねと言われていて、
カイル先生にもたくさん質問をしに行って、本気で冒険者になりたいって分かってもらえるようになった。

体力は徐々に記録を伸ばしていって、今はクラスで5番目ぐらいになってる。

魔法は今まで通り。

タオとは一緒に勉強会を週の半分ぐらいしている。
デイジーとは孤児院で毎日夕飯の後にする。
3人でいるのが当たり前で、とても楽しいけど、この2人とは今年でお別れかもなぁ・・・

クラスが変わると基本的に関わることがない。
低学年のうちはクラス合同の授業がないからね。
まだ移動教室も魔法の実技と剣の授業ぐらいで少ない為、ほとんど教室で過ごしてる。

Sクラスになれるか分からないけど、このままいけばAクラスに上がれる可能性はかなり高いと思う。

まぁどこでもやってける自信はあるよ。
人見知りだったことはないし、
なにより中身は9歳じゃないからね!

それから数日後。

オリバー君に呼ばれた。
「エマ~ちょっといいか?」

オリバー君とタオとは生徒会の事で話したりしてるし、
みんなでワイワイ話すことはたまにあるけど2人で話したことはない。
まぁ男の子は男の子同士連んでるからね。

なんだろ?
「いいよー?どうしたの?」

「…俺に魔法を教えてくれっ!」

「…私がオリバー君に魔法を?私無属性だから、同じ属性の子の方がいいと思うよ。」

「このクラスで俺より魔法ができてる奴はお前だけだ!頼む!」

なんか必死だ。
オリバー君は良い子だけど同じ属性の方がよくないかな?
でもオリバー君が私が良いって言ってくれるなら良いのかな
純粋に頼まれると断れない……

しばらく悩んで
「…分かった。私でいいなら。でも、私教えた事とかないし、ちゃんと出来るか分かんないよ?」

「大丈夫だ!カイル先生がエマに教えてもらえって言ってたからな!」

カイル先生~~
「頑張るよ。」

とりあえず、放課後に1日置きで教えることに。
タオと勉強会が1日置きぐらいだから、それ以外の日だ。

オリバー君は騎士団の魔法使いになりたいんだって。
憧れの近所のお兄さんが騎士団で働いているらしい。

先生は授業以外の時間に個人レッスンをつけるのは禁止されているから、先生に授業以外で見てもらう事は出来ない。
差別とか、色々問題があるみたい。
質問には答えてくれるけどね。
って事で私らしい。

人に自分の出来ないことを言うのとか、
頼んだりするって大人でも中々出来ない事だから
オリバー君は偉いなって思う。

オリバー君は魔力調整が上手ってカイル先生が言ってた。
これが才能があるって言う事らしい。
それから使える種類も同年代の子より多いみたい。

苦手なのは魔法イメージ。
水とか風ならまだやりやすかったかもしれないけど、
雷ってあんまり実際に見る事ないもんね。

そこでまずは、図書室で色々な雷の本を読むことを勧めた。
魔法はイメージだからね。
これなら私がいなくても出来る。

絵本から始めて、だんだんリアルな絵が描いてある本まで。
なるべくたくさんの種類の雷を見てもらった。

出来ればどうやって雷が落ちるのかってところも読んで欲しいけど9歳には難しいだろうし、
オリバー君は魔法以外の分野が苦手みたいだからね。
もう少し後でも良いだろう。

それから自分がどんな雷魔法を使いたいのか、なるべく具体的に書き出してもらった。
出来ればイメージ図も描いてみてって頼んだ。

私はその間、装備の本や武器の本を読んでたり、他国の特産物について調べていた。
冒険者になったら、色々な国に行って美味しいものが食べたい。

だいたい2ヶ月が過ぎた頃、まずは静電気の仕組みについて図を書いて簡単にオリバー君に説明した。

そのあと雷の仕組みについても続けて説明した。

最初はよくわからなかったみたいだけど、何回も説明して何とか理解できたみたいだ。良かった。

それから、そのイメージとオリバー君のやりたい魔法のイメージをリンクさせていく。
ここは自分でイメージした方がいいと思ったから、私は聞かれたことにアドバイスしていく。

実際に魔法を使うの事はできないから、あくまでもイメージまで。

オリバー君はちゃんと家でも復習をしてくれているみたいで、
成長スピードが思ったより速く、教えていて楽しい。
授業中に先生に褒められていたのを見て、なんだか私まで嬉しくなった。

それから、オリバー君は私を呼ぶときに「師匠」って呼んでくるようになった。

恥ずかしいけど、元気に笑顔で言われたらなんか嫌って言えないんだよなぁ

それからもオリバー君との放課後のイメージ練習は続いた。

学力と剣も順位が上がればAクラスになれると思う。
Aクラスになれば、就職活動の時に騎士団からスカウトがあるかも。
頑張れオリバー君!

私も人に魔法を教えるのは初めてだったから、良い勉強になってる。
最初は不安だったけど、オリバー君を見てるともっとこうしてあげようとか、
こうやって話したら伝わるかな?とか
考える事も楽しくなってきた。

それに、無属性魔法以外について本と授業以外のことは
自分で掘り下げて調べたりしてなかったけど、
他の魔法についても研究してみようと思った。

めんどくさい事をなるべく避けて、のんびり自分の世界の中で楽しんでた生活だったけど、
誰かの為に何かをするっていうのは悪くないなって思った。





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