上 下
243 / 381
短編2

初日の出

しおりを挟む
山を登りし者 キラティア 視点

「うっきゅっ!うっきゅう!」

現在、僕はまだ外が暗い中、1人で牛さんの着ぐるみで山の断崖を登っている。
理由は初日の出を見る為だ。

家族のみんなはまだ寝ているので僕だけで登っている。
初日の出を見たらすぐ帰って朝練をしなくてはいけないので、早く頂上でのんびりしたいものだ。

ガラッ!

ペシン!!

落石が多いなぁ…

頭上から何回も石が落ちて来てはアホ毛で払うという動作を繰り返しながら進んでいる。

「ふきゅ~?」

そろそろ休憩するかな?

ずっと登りっぱなしだったのでおやつタイムを取ることにした。

「うきゅ!」

あの出っ張りの足場にしよう!

丁度よく頭上に足場に出来る出っ張りがあったので僕は一気に登った。

「うきゃ!?」

「あきゃ!?」

その出っ張りには石を持った白いモコモコのお猿さんがした。

…ポイッ!

ヒュー…

お猿さんが石を捨てた。

「あきゃー!!!」

お前か!!!

「うきゃ!?」

「あきゃ?むきゃむきゃーあきゃ!!!」

なんだ!?って?
こっちは朝日を見に急いで登っているのに上から何度も落として邪魔なのだよ!!

「うきゃ!うきゃ!!!」

こっちも年末の掃除を急いでいる?

「むきゃ!!」

もう年明けてるわ!!

「うきゃ!?」ガクッ…

「あきゃ?むきゃむーきゃ!!むい、あきゃ!」

知らなかった?
それより物を落とす方が問題だ!!
もし、誰か怪我したら自警団に突き出すからね!

「う、うき…」

わかればよろしい!

「あきゃ!」

次は無いからね!

僕はお猿さんを置いて登り始めた。

「うきゅ!うきゅ…は!?」

休憩忘れた!?
次の出っ張りで休もう…

それからしばらくして、出っ張りを発見した。

「すちゃ!!」

到着!!

「ピヨピヨピヨピヨ…」

僕より大きいヒヨコさんが1匹いた。

「あきゃ!!」

やぁ!ヒヨコさん!!
ここで休ませてもらうよ!

「ぴーよ!」

何か食べ物が欲しい?
なら、干し芋を少し分けてあげよう!

「あい!」

僕はヒヨコさんに持っていた干し芋を少しあげた。

もきゅもきゅもきゅもきゅ…ふぅ…
さて、行くか!

「あきゃ!!」

じゃあね!!

「ぴよ!」

僕はまた登り始めた。

「キャイン!!」

「あきゃ?」

上から声と何かが落ちて来た。

「あきゃ?」しゅるる…

僕は落ちて来たモノをアホ毛で受け止めると犬さんでした。

「あきゃ?」

なんで?

犬さんは気絶していたので僕はそのまま上を目指した。
そして、しばらく登ってその原因が分かった。

上には大きな足場があり、そこでネズミさんが審判で猪さんと羊さんが押し合いをしていた。
おそらく、犬さんはその押し合いに負けて落ちたのだろう。

「ブォオオオ!!」

「メェーー!」

ドシン!!ドシン!!

「あきゃ…」

こんな所で暴れないでよ…

ピシピシ…

「あきゃ!?」

「「ぶも!?」」

2匹が暴れていた所為で足場に亀裂が入り崩れた。

しゅるしゅるしゅる…

僕はまたアホ毛を伸ばし2匹を絡めた。

しゅた!!

「ちゅう!」

ネズミさんだけはアホ毛に着地した。

「ちゅちゅ!?」

(この子ども…出来る…)

「あきゃ!?」

このネズミさん…出来る…

僕達の中で闘いたいという気持ちが生まれた。
だが、とりあえず気絶している羊さんと猪さんと犬さんが邪魔なので今登っている達人コースの裏側の一般コースに移動しよう。

「うきゅ!うきゅ!」

僕が横に移動すると広い道が現れた。
そこに移動し、アホ毛で絡めている魔物達を降ろした。

「あきゅ?」

なんであんな所で押し合いしてたの?

「ちゅ!ちゅー!」

ふむふむ…今年の1番を決めるレースをしていたと…ネズミさんはなんで審判してたの?

「ちゅう!」

去年勝ったからしばらく参加出来ない!と…
ふーん…

「うきゅ!うきゅ!」

危ないから今度から安全にも気をつけてね。

本当はネズミさんと闘いたかったが日の出まで時間がないので諦めて達人コースに戻り再開した。
再開してすぐに空が明るくなって来た。

「あきゃ!?」

急がないと!?

ぐっ!ビュン!ビュン!

僕は通常の登り方を諦め、突起を掴み跳ぶように登って行った。

「あっきゃ!!」

間に合え!!

頂上が見え力が入り頂上を飛び越えた。

ぴょん!

「あきゃ!?」

ぐい!くるくる…すちゃ!
シャキン!

僕はなんとか軌道ずらして回転して着地、ポーズを決めた。
そして、まだ朝日の登っておらず時間内に着いたようだ。

さて、おやつ…夜食を食べながら待つかな?

もきゅもきゅもきゅもきゅ…

僕は干し芋を食べながら初日の出を待つ。

「ねえ、あれ見て!牛の着ぐるみの子が頂上にいるわ!」

「本当だ!あの達人コースを登ったのか!?信じられない。」

達人コースは一般人コースより高い所が頂上なのだ。
その為、驚いているようだ。

「お!?」

丁度日の出が出て来た!!
せっかくだし雄叫びを上げよう!!

僕は干し芋を仕舞い四つん這いになった。

「もおーー!!もおーー!!」

せっかく牛さん着ぐるみなので牛さんの鳴き声をした。

「なんか神々しいわね。」

「そうだな…」

一般人コースの人達が何か言ってるが僕は完全に日の出が出るまで鳴き続けた。

「もおーー!!」

明けましておめでとう!今年もよろしく!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

明けましておめでとう御座います。
今年も頑張って書きますので応援よろしくお願い致します。

表者

追記 この話は本編とは関係ありません。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

夫に離婚を切り出したら、物語の主人公の継母になりました

魚谷
恋愛
「ギュスターブ様、離婚しましょう!」 8歳の頃に、15歳の夫、伯爵のギュスターブの元に嫁いだ、侯爵家出身のフリーデ。 その結婚生活は悲惨なもの。一度も寝室を同じくしたことがなく、戦争狂と言われる夫は夫婦生活を持とうとせず、戦場を渡り歩いてばかり。 堪忍袋の緒が切れたフリーデはついに離婚を切り出すも、夫は金髪碧眼の美しい少年、ユーリを紹介する。 理解が追いつかず、卒倒するフリーデ。 その瞬間、自分が生きるこの世界が、前世大好きだった『凍月の刃』という物語の世界だということを思い出す。 紹介された少年は隠し子ではなく、物語の主人公。 夫のことはどうでもいいが、ユーリが歩むことになる茨の道を考えれば、見捨てることなんてできない。 フリーデはユーリが成人するまでは彼を育てるために婚姻を継続するが、成人したあかつきには離婚を認めるよう迫り、認めさせることに成功する。 ユーリの悲劇的な未来を、原作知識回避しつつ、離婚後の明るい未来のため、フリーデは邁進する。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...