飛べない

蛙杖平八

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飛べない

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それがいつのことであったのか、今となっては知る術もない
もしかすると、初めからそんな出来事は無かったのかもしれない・・・

「昔、その昔、ずっと昔のことだ。
 人間は鳥のように空を飛べたのだ。」

と、誰かの声がした

「では、なぜ今、人間は空を飛べないのか?」

と尋ねたところ

「人間には、誰もが背負わなければならないものがあって、
 それは増えるばかりで、減ることはなかった。
 あるとき人間は、とうとうその重みに耐えられなくなってしまった。
 その重みで大地に縛られ、空を飛べなくなってしまった。
 悲観した人間は、自分が昔、空を飛んでいたことも忘れ、
 何かを忘れたことすら忘れて、
 ただ鳥たちを羨むようになった・・・。」

その背負いきれなくなったものとは一体何であるのか?と問う

「それが何であるのか、罪であるのか、
 あるいは誰かが科した罰であるかはわからない。
 しかし、仮にそれらをこう呼ぶのはどうだろう
 責任・・・と。」

私は答えを得た!
その瞬間、不思議と身体が軽く感じて、まるで宙に浮いたような
何かいい気分になった。

しかし、いい気分の余韻も、
いま会話したということさえ
すぐに別のことで頭がいっぱいになって
どこかへ忘れてしまうのだった。

そして空を見上げて思うのだ
空を自由に飛べたらなぁ・・・
 
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