598 / 600
第三部「全能神座争奪戦」編
クロト VS 『蒼炎神』サヴァイブ 1
しおりを挟む
クロトの踏み込みにより戦闘が開始された。
「ちっ、ミュースっ!援護しやがれっ!!」
「っ、はっ!」
サヴァイブという男はプライドが高い。
そうそう他人の力など借りないし、借りる必要もないことが大半だ。
だが、そんな男が躊躇いなく援護を要求した。
これは異常なことで、命令を受けたミュースでさえ一瞬戸惑ったくらいだ。
それも偏に、目の前のクロトを脅威だと直感的に理解したからだ。
やはり、下衆ではあれど愚者ではなかったようだ。
判断力はサラディンやソルブらと比較にならない程に高い。
「サヴァイブ様っ!『剣舞・流ノ盾』!」
「―――『神天龍十字閃・極星』!」
「っ、きゃあああっ!?」
サヴァイブとクロトの間に割って入ったミュースが全神経を注いだ受け流しを敢行するも、ほんの僅かに攻撃を逸らしただけで失敗。
衝撃をもろに受けることになり、アクアが横になっているベッドの上を通り抜け、その先にある壁に激突した。
「『神拳・蒼炎拳撃』っ!!」
「くっ・・・『神翼・神毒の守護者』っ、ぐっ・・・!」
「クロトさんっ!!」
上手く攻撃を回避したサヴァイブからのカウンターに対して、手持ちの防御技の中で最大威力を誇る『神毒の守護者』を急展開したが、その防御は破壊された。
その上で蒼い焔を纏った拳がクロトに迫り、命中。
威力の大部分が殺されていたためにダメージは些細な量で済んだが、もしガードが間に合っていなければ今の一撃で決着していただろう。
レベルが上がればそれだけ打たれ強くはなる。
HPの上昇もさることながら、防御力も上昇するのだから当然だ。
だがそれ以上に、異常なほどに攻撃の火力が上がっていく。
それは、防御面の向上が全くついて行けない程に。
つまるところ、このクラスかつ人間同士の戦いでは、大技を一撃でもまともに喰らったらそれだけでも勝負が決まりかねない。
仮に神格を持っていても、それは同じだ。
クロトは血を吐きながらも受けた拳を掴み――――
「―――『天神法術・雷走流域』っ!!」
「なっ、ぐあああああああああああっ!!!」
拳から超高電圧による雷を流され、両者ともダメージを負う。
並の人間であれば今の電流で気絶してしかるべきだが、この場に居る二人は違う。
体中を痛めながらも、次の行動に出た。
「―――『神拳・蒼炎乱撃』ぃぃぃっ!!」
「―――『神天龍十六夜連閃・三極』っ!!」
サヴァイブはユニークスキル〖蒼炎乱舞〗による<蒼炎加速>を。
クロトはユニークスキル〖神の瞳〗による<神瞳加速>を。
各々が多大なリスクを負って、相手の息を止めんと大技を繰り出した。
剣と拳がぶつかり合い、蒼炎が舞い、黒と白が入り乱れる。
衝突の余波で部屋はボロボロになり、もはや原形が分からないようになっている。
力と力のぶつかり合いは、ほんの一瞬かつ、尋常でなく長い間続いた。
当人たちからすればとても長い時間でも、傍から見れば一瞬ということだ。
最後の一撃でお互いの思惑が合致し、互いを吹き飛ばし合った。
終了後に隙を晒したまま止まることを両者共に嫌ったのだ。
十メートル程距離を置いて、膝を着く二人。
<レアスキル〈黒魔法8〉が〈黒魔法9〉になりました>
「ちっ、これでも駄目とはなっ・・・! 体中が痛ぇじゃねぇかっ!!」
「知ったことではないね。それに、貴様がアクアに与えた痛み程ではないだろうに」
「アアッ!? 俺がやりたいようにやることの何が悪いっ!! 俺はテメェみたいな、ただそこに居るだけで女が寄ってくるような奴が一番嫌いなんだよっ!!」
怒りを露わにして叫ぶサヴァイブ。
「『神拳・蒼炎重撃』っ!」
「『流星神天龍・零式』っ!」
お互いの中央で幾多もの蒼炎と天剣が衝突し、火花を散らした。
ここまでの戦いではクロトが不利。
負ったダメージ量もさることながら、HPが元より半減していたのが痛い。
能力値とスキルで互角でも、状況がサヴァイブに有利過ぎた。
クロトはまだ<隠密>を使用していないが、ここまで己を誇示してしまった以上、効き目は無いも同然だと判断して使おうとはしていない。
他に状況を打開できる手段も、思いついていない。
根本的にレベル差があり過ぎて、己の手札では有効な戦術を組み立てられないのだ。
つまり、このまま戦いが進めばクロトの負けは必至。
「動くなっ! この女がどうなってもいいのかっ!」
そして、状況は更に悪くなる。
クロトが目にしたのは、アクアに剣を突き付ける満身創痍のミュースであった。
「ちっ、ミュースっ!援護しやがれっ!!」
「っ、はっ!」
サヴァイブという男はプライドが高い。
そうそう他人の力など借りないし、借りる必要もないことが大半だ。
だが、そんな男が躊躇いなく援護を要求した。
これは異常なことで、命令を受けたミュースでさえ一瞬戸惑ったくらいだ。
それも偏に、目の前のクロトを脅威だと直感的に理解したからだ。
やはり、下衆ではあれど愚者ではなかったようだ。
判断力はサラディンやソルブらと比較にならない程に高い。
「サヴァイブ様っ!『剣舞・流ノ盾』!」
「―――『神天龍十字閃・極星』!」
「っ、きゃあああっ!?」
サヴァイブとクロトの間に割って入ったミュースが全神経を注いだ受け流しを敢行するも、ほんの僅かに攻撃を逸らしただけで失敗。
衝撃をもろに受けることになり、アクアが横になっているベッドの上を通り抜け、その先にある壁に激突した。
「『神拳・蒼炎拳撃』っ!!」
「くっ・・・『神翼・神毒の守護者』っ、ぐっ・・・!」
「クロトさんっ!!」
上手く攻撃を回避したサヴァイブからのカウンターに対して、手持ちの防御技の中で最大威力を誇る『神毒の守護者』を急展開したが、その防御は破壊された。
その上で蒼い焔を纏った拳がクロトに迫り、命中。
威力の大部分が殺されていたためにダメージは些細な量で済んだが、もしガードが間に合っていなければ今の一撃で決着していただろう。
レベルが上がればそれだけ打たれ強くはなる。
HPの上昇もさることながら、防御力も上昇するのだから当然だ。
だがそれ以上に、異常なほどに攻撃の火力が上がっていく。
それは、防御面の向上が全くついて行けない程に。
つまるところ、このクラスかつ人間同士の戦いでは、大技を一撃でもまともに喰らったらそれだけでも勝負が決まりかねない。
仮に神格を持っていても、それは同じだ。
クロトは血を吐きながらも受けた拳を掴み――――
「―――『天神法術・雷走流域』っ!!」
「なっ、ぐあああああああああああっ!!!」
拳から超高電圧による雷を流され、両者ともダメージを負う。
並の人間であれば今の電流で気絶してしかるべきだが、この場に居る二人は違う。
体中を痛めながらも、次の行動に出た。
「―――『神拳・蒼炎乱撃』ぃぃぃっ!!」
「―――『神天龍十六夜連閃・三極』っ!!」
サヴァイブはユニークスキル〖蒼炎乱舞〗による<蒼炎加速>を。
クロトはユニークスキル〖神の瞳〗による<神瞳加速>を。
各々が多大なリスクを負って、相手の息を止めんと大技を繰り出した。
剣と拳がぶつかり合い、蒼炎が舞い、黒と白が入り乱れる。
衝突の余波で部屋はボロボロになり、もはや原形が分からないようになっている。
力と力のぶつかり合いは、ほんの一瞬かつ、尋常でなく長い間続いた。
当人たちからすればとても長い時間でも、傍から見れば一瞬ということだ。
最後の一撃でお互いの思惑が合致し、互いを吹き飛ばし合った。
終了後に隙を晒したまま止まることを両者共に嫌ったのだ。
十メートル程距離を置いて、膝を着く二人。
<レアスキル〈黒魔法8〉が〈黒魔法9〉になりました>
「ちっ、これでも駄目とはなっ・・・! 体中が痛ぇじゃねぇかっ!!」
「知ったことではないね。それに、貴様がアクアに与えた痛み程ではないだろうに」
「アアッ!? 俺がやりたいようにやることの何が悪いっ!! 俺はテメェみたいな、ただそこに居るだけで女が寄ってくるような奴が一番嫌いなんだよっ!!」
怒りを露わにして叫ぶサヴァイブ。
「『神拳・蒼炎重撃』っ!」
「『流星神天龍・零式』っ!」
お互いの中央で幾多もの蒼炎と天剣が衝突し、火花を散らした。
ここまでの戦いではクロトが不利。
負ったダメージ量もさることながら、HPが元より半減していたのが痛い。
能力値とスキルで互角でも、状況がサヴァイブに有利過ぎた。
クロトはまだ<隠密>を使用していないが、ここまで己を誇示してしまった以上、効き目は無いも同然だと判断して使おうとはしていない。
他に状況を打開できる手段も、思いついていない。
根本的にレベル差があり過ぎて、己の手札では有効な戦術を組み立てられないのだ。
つまり、このまま戦いが進めばクロトの負けは必至。
「動くなっ! この女がどうなってもいいのかっ!」
そして、状況は更に悪くなる。
クロトが目にしたのは、アクアに剣を突き付ける満身創痍のミュースであった。
0
お気に入りに追加
6,337
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。