異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

見出された謎

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「クラリス、通信は切ったから顔を上げてほしいな?」

「あなたには、人の心というものがないのでございますか・・・!?」


 クロトを「キッ!」と睨みつけるクラリアセレスだが、涙目なので迫力がない。


「さて、アクアも来たことだし、いよいよ大詰め。僕の用件を言っていいかな?」

「・・・結局、あなたは何をしに来たのでしょうか。」


 クラリスはクロトの雰囲気が真面目なものになったことで一先ず立ち直った。


(この方たちは何をしに・・・?感謝を叩きつけること?いえ、ですが・・・。)


 最初からいまいち要領を得ないやり取りだった。

 話が繋がっているような、繋がっていないような、そんな印象。

 一体、クロトたちの真なる目的とは何なのか。


(私の過ちを許すこと・・・?ですが、それにしては簡単に諦めて・・・?)


 考えれば考える程混乱していくクラリス。

 一方のクロトも高速で思考していた。


(クラリスの意志は確認した。ヘキサアイズの件は罪であって罪でないという意識を植え付けることができた。人々からの感謝を受け取らせて、許されてもいいのではと思える土壌を作った。あとは、自分のしてきたことがどういうことなのかを認識させるだけだね。)


 クロトは最後の仕上げにかかるべく、アクアに合図を出した。

 アクアはそれを受けて、召喚石を取り出し・・・ラファエルを召喚した。


「僕の用件は・・・君が彼女の体を使って地上に降りること。」

「・・・・・・はい?」


 クラリスは今日何回目になるかわからない間抜けな声を出した。

 それは、様々な理由から上げた声だったのだが、その最大の理由は・・・


「その人は、何なのですか・・・!?理を外れていますっ!?」

「僕が生み出した生命体だからね。当然のことだと思うよ。」


 クラリスの生み出した系譜にある正規の眷属は、基本的に理内に存在する。

 だが、ラファエルはクロトが創造したために、理の外。

 クラリスの目から見ても、どのような存在なのかまるで分からない。

 解析能力があればまた別だったのが、把握している知識内には存在しないのだ。

 システムを辿って追うこともできない為に混乱している。


「あなたが生み出した・・・?ですが、生命の創造など・・・!」


 正規の手段で生まれる生命は必ずシステムの末端に位置することになる。

 その場合は生命の創造とは扱われないが、ラファエルは違う。

 この世界の理内に無いクロトが、正規でない手段で生み出した存在だ。

 故に、間違いなく生命の創造であり、それは本来最高神にしかできないこと。


「ま、抜け道はあったということだね。『創造神』と『隠密神』の合作だよ。」

「そんなはずはっ!!それだけで出来るはずがありませんっ!!」

「ん?ああ、魔法陣も使ったよ。アレは全能神の権能を一部継いでいる物だし。」

「なっ!?」


 クラリスは慌ててシステムを調べ初め・・・・・・見つけた。

 全能神の権能が一部下界に流出していることを。

 魔法陣と呼ばれるものがその一端であったことを。

 どのタイミングでどのように流出したのかも調べたところ、興味深い事実が。


「流出したのは・・・・・・えっ?」

「・・・クラリス?」


 クロトが急に黙り込んだクラリスを心配して声を掛けた。

 だが、それを聞いていたのかさえ不明な様子で、顔を青ざめさせた。


「・・・これも、あなたの仕業、ですか?」

「・・・え?何のこと?」

「とぼけないでくださいっ!!全能神の権能を流出させた件です!!」

「・・・・・・え?」


 クロトは本気で分からないという顔をした。

 本当に心当たりがなかったのだ。


「・・・ごめん。正直心当たりが無い。どうして僕がやったと・・・?」

「完全には辿れませんでしたが、あなたという存在が介入した気配があります!!」

「うん・・・?」


 クロトは少し考え込んで、やはり心当たりが無いことを確かめた。


「それっていつのこと?それに、人間がシステムに介入するなんてできるの?」

「・・・・・・いつのことかは、不明です。人間の介入も、不可能です。」

「・・・じゃあ、どうして僕がやったと?」

「それは・・・現在に至るまで、介入された形跡が全くないからです。」


 いよいよ理解不能なレベルの話になったが、クロトは彼女の言い分を理解した。


「つまり、僕が介入して、その形跡を『隠密神』の権能で消した、と?」


 クラリスは深く頷いて、その言葉を肯定した。


「そうとしか考えられません!現在までの痕跡はたとえ誰の介入であっても、私が調べれば何らかの形跡を発見できるはずなんです!!」


 どうやら、クロトにとっても完全に予想外の事態が起こったようだ。

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