異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

テレビゲーム

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 クロトが神経衰弱で勝利した後、どんな作戦で挑んでいたのかを解説した。


「――――――というやり方で、早い段階で勝負を決めにいったということ。」

「それで一つも分かるペアが無かったんだ・・・!」

「そういうこと。それで、その段階でファーナに打てる最善手は何だと思う?」

「へ・・・?」


 クロトはファーナに問題を投げかけた。

 子供の思考力を鍛えようという意図がありありと伝わってくる。

 答えを教えてあげるだけではなく、自分で考えさせることも重要なのだろう。


「・・・・・・分からない。」

「ん、それじゃあヒント。大事なのは、僕にペアを揃えさせないことだよ。」


 クロトは早い段階でペアを揃えられなければ敗北は必至。

 だから、ペアを揃えさせないようにして、なおかつ場を進めるのが最善手だ。

 ファーナはそちらに指向を集中させて、じっくりと考え始めた。

 クロトとエメラはその様子を優しく見守る。


(お父さんにペアを揃えさせない・・・。お父さんと同じように情報を絞る?)


 ファーナは思考の方向性を限定することで、その考えに辿り着いた。

 そして、情報を絞るための行動は・・・。


「あ!お父さんと同じように、既に明らかになっているカードをめくる!」

「大正解。そうすることで、エメラも同じ戦法を取らざるを得なくなるよね。」

「ん・・・。それ、で・・・完全、な・・・硬直、状態・・・。」


 三人とも同じカードしかめくらなくなれば一切場が動かなくなる。

 そうなれば、負けることもなくなるのだ。

 また、クロトに作戦の変更を余儀なくさせることにもなる。


「ま、その先の戦いでどうなるかは不明だけど、ファーナが有利のはずだよ。」

「うん!お父さんは一ペアまでだから、終盤に私が取り放題になるから!」

「はい、大変良く出来ました。」

「えへへ・・・!」


 クロトに頭を撫でられて、ファーナは幸せそうに目を細めた。











 その後もオセロや双六などのゲームで遊び、クロトが大人気なく勝利を収めた。

 そのたびにファーナがむくれて、どうにかして勝とうと頭をはたらかせた。

 いい刺激になったことであろう。


 寝る時間も迫ってきて、次で最後にしようと決まり、選ばれたゲームは・・・?


「ん・・・?クロト、これは・・・?」

「これはテレビゲームという奴だね。つい最近、ようやく完成した新作だよ。」

「お父さん、テレビって何?」

「テレビというのは・・・口で言うより見た方が早いね。」


 クロトはテレビを取り出し、電源を入れる。

 生憎電波など受信できないので何も映らないが、ゲームができれば十分か。

 ゲーム機の方も取り出し、あれこれ設定し、画面に映像が映った。


「きゃっ!?」

「ん・・・?これ、は・・・映像、が・・・?」


 初見の二人は驚きつつも、やがて食い入るように見つめだした。

 なお、目が悪くならないように設計されているので、その手の心配はいらない。

 寧ろ、視力と反応速度が上がるという結果まで出ているとんでもない代物だ。


 エメラとファーナに質問攻めにされ、ようやく落ち着いたのは数十分後。

 ゲームの操作もさくさく覚えた二人とともにゲームを開始する。

 名付けて、モンスターカート。

 レースゲームであり、運転者は見知った人間となっている。


「あ、選べるキャラクターにお父さんとエメラ姉さんもいる!」

「ん・・・。ファーナも、居る・・・。」

「まあ、僕の親しい人は大抵登録されているからね。」


 他にも、アクアやヴィオラ、何故かカリスまで居る。

 それぞれにパラメーターがあり、大変個性豊かである。


「私はアイテム取得に秀でる自分のキャラクターでやる!」

「それじゃあ、僕は操作性の高いエメラを使おうかな。」

「ん・・・!?」


 エメラはクロトに自分のキャラの使用権を奪われ、やむなく他のキャラを選ぶ。

 悩んだ末に選んだのは、妹分たるインフィアであった。

 その特徴は、爆発アイテムの威力が向上するというもの。


 カウントダウンが三秒から始まり、カーレースが始まった。

 コースは灼熱地帯のファイアード山である。


 最初に飛び出したのはクロトが操るエメラ。

 これは予想通りの展開だろう。

 その後をファーナとエメラが追うが、エメラ操るインフィは苦戦している模様。


「アイテムで天剣が!それっ!」

「あっ・・・抜かれてしまったね。」


 クロトのカートが横転している隙に、ファーナが抜き去った。

 ちなみに、回避はシステム的に不可能だ。


「んん・・・!?火口、に・・・落ち、た・・・!」

「あーあ、インフィが可哀そうだね・・・。」

「ん・・・!?クロト、わざと・・・!?」


 そう、エメラが火口に落ちたのは、クロトが設置した果物の皮が原因だ。

 狙ってやるとは、なんという悪辣さ。


「ん・・・!仕返し・・・!」

「ああ・・・爆破された・・・!エメラは自分を傷つけて遊ぶ趣味でもあるの?」

「んん・・・!?違う、よ・・・!?」


 二人が足を引っ張り合ってている間に、首位のファーナは独走態勢に。

 他のCPUカートがやや離れて間に入り、クロトとエメラは最下位争い。

 果たして、ここからの逆転はあるのだろうか。

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