異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

青き島

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 ダイダル海域深海のマッピングも順調に進み、現在八割近くが完成している。

 未見の天種も中々見当たらなくなり、そろそろ深海も終わり。


 そう思い始めていた頃、数十メートル先に、それは現れた。




「これは・・・島?というか、一種の特殊空間だね・・・。」

「そのようです。私の瞳による感知では、何も無い場所のはずでしたから・・・。」

「それはつまり・・・この特殊空間には隠蔽の効果もある、ということかな?」

「はい。あくまでも、私の予想が正しければ、ということになりますが。」


 前置きしつつも、ほぼ間違いないと思っているアクア。

 クロトもその意見に同感である。


 何も無いと思っていた故に後回しにしたエリア。

 そこに、まさか特殊空間と巨大な島が存在しているとは。


 クロトは何となく違和感を覚えていたが、これは流石に予想外であろう。


 違和感を覚えてもそちらに向かわなかった理由はただ一つ。

 厄介な場所を最後に回したい、ということだ。

 違和感を覚える場所など、大抵は大きな危険がつきまとうのだから。




 特殊空間の目前まで近づくと、やはり島があった。

 色合いは多少違えど、地面や木を含め、一面真っ青という奇妙な島が。


 クロトはアイテムボックスから適当な物を出して、特殊空間へ投げる。

 投げた物は、特殊空間の壁に阻まれることなく、内部へ入った。

 アクアの魔法で、それを引き寄せてもらったところ、手元へ戻って来た。


「どうやら、出入り自体は問題ないみたいだね。」

「一安心の事実ですね。ところで・・・投げた物は一体・・・?」


 アクアはクロトが隠蔽と遮断をかけて投げた物が気になるようだ。



「これ?僕のギルドカードだけど?」

「そんな大切なものを投げないでくださいっ・・・!」



 あっけらかんと言い放ったクロトを諫めつつ、アクアは頬を膨らませて睨んだ。

 何度も言うが、やっぱり可愛い。




 特殊空間の内部に侵入すると、マップが切り替わった。

 アクアの感知も、内部のみでの効果となったようだ。


 内部を少しだけ進んで島に上陸すると、そこには普通に空気がある。

 上陸を急いだ二人だが、それにはとある訳が。

 
「早速だけれど敵みたいだよ。」

「承知しています。」


 特殊空間内部の海には、未見の魔物が存在したのだ。

 出来る事なら地上で戦っておきたいがために、上陸を急いだのだ。


「敵は超古代深海鮫、レベル90~95。残りは戦いながらで!」

「はいっ!」


 クロトとアクアVS鮫の群れの戦いが始まった。


 まずは鮫を地上へ引きずり出す。


「アクア、津波を!」

「・・・水神魔法・神津波!」


 突然発生した津波で、鮫たちは空中へ打ち上げられる。

 その隙を逃さず、クロトが攻撃。

 天剣でしとめる手もあるが、ここは新たな技を実験。

 漆黒の十二翼を生成し、魔法を纏わせる。


漆黒の羽ダークネスフェザー!」


 クロトの翼から放たれた黒羽が、鮫たちに殺到。

 どうやら、飛び道具に含まれるようで、サジタリウスの矢の必中効果が発動。

 速度に秀で、なおかつ必中。

 鮫たちは一瞬で壊滅した。


(これは・・・純白の羽はお蔵入りかな・・・?)


 命中率が取柄である純白の羽である故に、そう結論づけたクロト。


 大量の天剣を投擲するより、準備時間が要らないのが、漆黒の羽の利点。

 また、神天魔の法衣の無限瞬間再生効果により、飛ばした羽は一瞬で元通りに。


 天剣は複製にも時間が掛かるので、二つの技は使い分けが必要だろう。


 鮫を全てを解体するのも手間がかかるので、一体だけ解体。

 深海結晶と、超古代深海鮫の鋸歯、などの貴重素材が手に入った。

 ついでに超古代深海木の解体もして、霊木と再誕の種を獲得。

 海亀と大魚の解体は、相変わらず後回しだ。


「アクア、さっきは、わざわざ補助に専念させてごめんね?」

「いえ、新技の実験をしたかったのでしょうから、どうかお気になさらず。」


 微笑みながら謝罪はいらないと本心から告げるアクア。

 本当に、いい女である。


 改めて特殊空間の内部をマップで確認。

 島と周囲の海が、未探索のエリアである残り二割を占めると分かった。


 島自体も相応に広く、最低でも、探索に一週間は掛かりそうである。

 また、魔物もほどほどに存在しているようで、大部分が未見。


 ・・・というより、すぐ傍に未見の魔物が居るのを、神の瞳が捉えている。


 クロトはヒソヒソ声で、アクアに耳打ちする。


「アクア、ちょっといいかな?」

「ひゃんっ!?は、はいっ、何でしょうか?」


 微妙に色っぽい声を上げたアクアだが、今は後回しにするようで、話を続ける。


「すぐそこにある岩、魔物みたいなんだよね・・・。」

「ふぇっ?・・・本当ですね、私の感知でも確認しました。」


 それは、三メートルはある、巨大な岩場の一部。


 超古代深海ヤドカリ、レベル90という魔物であった。

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