異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

沈没幽霊船

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「とりあえず、宝箱については後回しで問題ないよね?」

「はい。近づくまで動かないのであれば、それが良いかと。」


 ゴージャスミミックは速力ゼロなので、後回しが決定した。


「それで、船幽霊と幽霊船長、沈没幽霊船についてなんだけど・・・。」


 クロトはアクアに解析結果を伝えていった。



 まずは船幽霊皇帝種。

 レベルは55~70と幅広く、特筆すべき点は、レアスキル「船幽霊魔法」。

 近づく者に精神攻撃を行う魔法のようだが、さして脅威でも無い。




 幽霊船長レベル97は、レアスキル「烈剣術」の10を保持している。

 それと、レアスキル「氷獄魔法」も同様に10となっている。


 最も変わり種なのは、レアスキル「幽霊船同化」。

 幽霊船と同化し、船を動かすことが可能なのだとか。

 同化と言っても概念的なもので、同化状態でも剣を持って戦える。

 同化時は、互いの能力値を合計した数値を共有する。


 平均2800と平均2500が同化したら、両者とも平均5300になるのだ。

 その上で別々に戦えるのだから、良いとこどりのスキルと言える。

 なお、2800と2500という数字は、実際の平均値。



 沈没幽霊船の方は、レベル90でレアスキル「幽霊船武装」を保持。

 幽霊船武装とは、大砲や魚雷など、船に存在しうる兵器が凡そ使用可能。

 HPとMPが高めという特徴もある。



 幽霊船長と沈没幽霊船は、ともに臨界突破5であり、同時使用で最大四倍。

 その場合、平均20000を超える能力値になる。





「・・・と、余り手加減は出来無さそうな相手だね。」

「私は橙の瞳の効果を温存するとして、光輪と闇輪はどうしますか?」


 アクアの質問へ、クロトはすぐに返答した。


「光輪は無しで闇輪だけかな。宝箱も居るし、継続戦闘能力を意識しようか。」

「了解です。」


 それと、手数があった方が良さそうなので、収納内のリュノアを出すことに。


「リュノア、出番だよ?」

「キュ・・・・・・キュ?」


 スヤスヤ眠っていたリュノアを起こして、状況の説明をする。


「・・・キュッ!」

「リュノアも、そう思うんだね。じゃあ、幽霊船への対応は任せたよ?」

「キュ!」



 話もまとまったので、戦闘開始と相成った。







 まず、アクアは遠方に待機して、魔法で先制攻撃を行う。


「水神魔法・神氷絶波!」


 この初撃で、船幽霊皇帝種を一掃。

 同時に、クロトとリュノアが転移で接近。

 クロトは幽霊船長と戦い、リュノアは幽霊船と戦う。

 アクアは、派手な戦闘音を聞きつけて近寄ってくる魔物を、随時迎撃する。


「キュオオオオオッ!」


 現在レベル69のリュノアは、黒竜皇モードになり、黒竜魔法を幽霊船へ放った。

 いきなり高威力のブレス、黒炎吐息が直撃した幽霊船はマストがへし折れた。


 幽霊船長は表情など無いが、唖然としているような気がする。


 その隙に、隠密者を発動したクロトが、甲板の上に居る幽霊船長に接近。


「神天十字閃・龍絶!」


 小手調べとばかりに手加減した二連撃だったが、幽霊船長はまともに喰らった。

 HPは残り九割程へ下落。


 クロトとリュノアを脅威と判断して、直ちに幽霊船との同化を発動。

 平均能力値は、5300まで上昇し、HPも大幅に増加した。


 対するクロトは、黒天人化による能力値1.5倍で戦う。

 現在は1.7倍まで上昇させられるが、そこまではしない。

 平均能力値は4800程。


 クロトの方が劣っているが、問題はない。


「極天龍八奏連閃・神絶!」

「・・・!!」


 幽霊船長の水属性烈剣術では、全くクロトの剣術に対応できていない。

 Sランク冒険者レファイスと同等以上の剣術ではあるのだが・・・。


「神天一閃・龍絶!」

「・・・!?」


 一瞬で目の前から消えてクロトを捜そうとするも、その前に背後から一閃。

 ダメージ自体は能力値で上回っているため少なめだが、戦闘は圧倒的。


 一方のリュノアも、幽霊船を圧倒していた。

 漆黒魔法で砲弾などを迎撃し、黒竜魔法で船体を破壊。

 シンプルゆえに隙が無い戦い方だ。

 船は気持ちいいくらいに、どんどん破壊されていく。


 幽霊船長と幽霊船は同化状態ゆえに互いの状況が良く分かる。

 念話のようなもので相談し、同時に臨界突破を行使した。


 臨界突破の行使を確認したクロトは、闇輪を生成。

 両者の能力値差は二倍程に落ち着いた。


 しかし、圧倒的能力値差でも、クロトたちの優勢は変わらない。


 クロトは相変わらず剣術と立ち回りで幽霊船長を圧倒。

 やはり、対人戦においては、無類の強さを誇る。


 リュノアは、敵と能力値差が出来たために、漆黒魔法の威力が上昇。

 先程までより派手では無いが、少しずつダメージを加算していく。



 勝負の行方は見えたのだった。

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